用済みだと言われた男装の麗人は、女の子だと思っていた元幼馴染の軍神に娶られる


 その後、雪緒の父は禁忌とされている魔物召喚の罪で捕らえられ、現在も投獄されている。
 洋輔と華代は雪緒監禁の罪に問われ、裁判を待つ身だ。華代は魔物に殺されかけたショックから人が変わったかのように大人しくなり、今は遠い親戚を頼ってひっそりと暮らしているそうだ。
 三枝家は近いうちに取りつぶしになるだろう。何の罪もない華代の子が、健やかに育ってほしい。実家に対する雪緒の願いはただそれだけだった。
 雪緒と景は騒動のあと、互いの愛を確かめ合い、真の夫婦となっていた。
 最近では対外的な事情から女性の格好をすることが増えた彼女を、景はどことなく不満そうに見ている。
「雪緒の可愛さを知っているのは私だけでいいんだが……」
「何を言っているんだ。冗談はほどほどにしておいてくれ」
 それを聞いた彼はやれやれとため息を吐いた。
「まったく君は自分の見目に頓着が無さすぎる」
「景殿に言われたくないな。そもそも貴方の前でしか見せていない姿なんて、いくらでもあるだろう」
「まあ私に愛を囁くときの雪緒は、本当に可愛いが」
「……面と向かって言われるのは恥ずかしいからやめてくれ」
 顔を赤くする雪緒を、愛おしそうに景は抱き寄せた。彼女の少し伸びた髪をすくように撫で、耳元でささやく。
「雪緒、愛している」
「……私も愛している」
 かわす口づけはどこまでも甘く、身も心も満たしてゆく。
 かつての幼馴染は最愛のひととなり、これからもずっと傍に在りつづける。
 ふたりの満ち足りた笑顔が、陽の元で輝いていた。