天界物語①『女神アフディーの初恋』

 自身の部屋に戻ったアフディー様は、ピンクと白をあしらった、ふかふかのベットの上に、身を投げ出されました。

 天井を見つめ、布団に身を沈み込ませながらも、たった一人、静かな部屋で考え耽ります。

「別に私が大人にならなくても」

 この時アフディー様は、こうお考えになったのです。

 なぜ皆、せっかくの楽しい子供の姿を捨ててまで大人になりたいのか。前に進まなくたって、今が楽しければそれで十分ではないかと。

 どうせ嫌でも大人になる日が来るのなら、何も今すぐ焦る必要などない。それまでの間、人間界でたくさんの愛を実らせておけば。
 実績さえグイグイ上げておけば、パパだって誰も文句は言えないはずだと。

 はしゃぐ様な笑顔を取り戻すと、勢いをつけ起き上がり、ベットの下から、大きなホタテを引き摺り出しました。

 それはスーツケースぐらいの大きさの「瞬間移動装置」でした。

「よし。早速人間界に行くとするか」

 アフディー様は目をつむり、人差し指をくるくる回し、小さく唱えました。

「ウホマイシラバスハレコ」

 すると巨大なホタテは、上蓋を開け、華麗な賛美歌とともに、輝く光を放ちました。
 アフディー様はホタテに乗り込みます。

「うんしょ」

 そして、目的地の『人間界』を頭の中で描くと、ミルミル吸い込まれ粒になり、お姿ごとホタテも。部屋から消えていました。