天界物語①『女神アフディーの初恋』

 黄金の光が降り注ぐ天上界。万物の父、最高神ゼオスは重々しく宣言なさいました。

「いったい誰だ。私の老眼鏡にハッピーニューイヤーの飾りをつけたのは。それも強力な接着剤で」

 天界の神々は、最高神のあまりにシュールな姿を前に笑うことも許されず、呼吸困難に陥りながら必死に震えておられました。

 アフディー様はしなやかに跪き、品よく答えました。

「はい。私でございます。パパ」

「これこれ。パパではない。いくら親子でも、今は最高神様と言いなさい」

「はい。最高神様」

 ゼオスは困った顔を見せ、頭をかきます。

「ところでアフディー。もうそろそろ。成人の姿になってはどうだろう。仮にも「愛を司る女神」を掲げていることだし」

 神々は不老不死。生まれた時から成人の姿である者もいれば、アフディー様のように幼少期から、成人の姿になる者もおられました。

 この時アフディー様のお姿は、十歳ぐらいの少女のような容姿をなされていました。

 アフディー様は跪いたまま、そっと一度ゼオスに視線を向け――そして、深くおしとやかに目を閉じると、凛とした声で語りました。

「お言葉ですが最高神ゼオス……なれないのでございます」