天界物語①『女神アフディーの初恋』

「……これが、女神アフディー様が、私たちの住むこの地上で知った、いくつもの『愛』の形です」

 女教師は、聞き入る生徒たちを静かに見渡し、語りかけます。

「みなさんは、この物語の中にいくつの愛を見つけることができたでしょうか。『弱き者を助ける愛』、『信じ抜く愛』、そして何より『互いを思いやる友情という名の愛』。……その尊い経験があったからこそ、今も人々を見守る『愛を司る女神』がいらっしゃるのです」

 ベンがおそるおそる手を挙げると、女教師は冷徹な視線を向け、「どうぞ」と短く頷きました。

「……アフディーは、その後どうなったんですか?」

 その瞬間、女教師は鬼のような形相で教卓を叩きました。
 バンッ!という鋭い音に、教室中の生徒が肩を震わせます。

「アフディー「様」と呼びなさい!」

 ベンは震え上がりながら、必死に言い直しました。

「ア、アフディー様は……神々の国に戻られた後、どうなされたのですか?」

「アフディー様は人間との友情を知り、今もなお、天上から皆さんのことを見守っていらっしゃいますよ」

 続いてメアリーが、切なげな瞳で手を挙げました。

「アフディー様とアロン少年は、その後、二度と会えなかったんですか?」

 女教師の厳しい表情が、一瞬だけ、夕暮れのような影を帯びました。