天界物語①『女神アフディーの初恋』

 空の雲の切れ目から、日差しが森の葉を抜け、降り注ぎました。

 沈黙していた「孔雀」は、その日差しを浴びるように、ゆっくりとその羽を扇のように広げました。

 その羽は宝石を散りばめたようにキラキラと輝き、七色の虹をその場に描き出します。

 二人は心を奪われ、アロンは「本当に七色だ……」と、夢を見るように呟きました。

 真剣な眼差しで孔雀を見つめるアロンの横顔。アフディー様はその横顔を覗き込み、そっと問いかけました。

「ねえ、どうするの? ……捕まえるの?」

 アロンはしばらく考えると、孔雀を驚かせないよう、静かに後ずさりしながら茂みから抜け出しました。

 アフディー様も戸惑いながらも後に続きます。
 立ち止まったアロンは、決意を秘めた重い口を開きました。

「いや。……やめとくよ」

「えっ? だって、それじゃあ……証拠がないじゃない。また他のみんなに、嘘つきだって言われてしまうわよ?」

 案じるような女神の問いに、アロンの表情から険しさが消え、ふっと和らぎました。

 彼はアフディー様を真っ直ぐに見つめ、穏やかに答えたのです。

「いいんだ。信じてもらえなくても。……俺を信じてくれた、アフディーが目の前に居る。それだけで、もう十分だから」

 自分のために必死になってくれた「初めての理解者」への、少年の精一杯の感謝でした。