「では、始めましょうか。レディ」
「ええ、そうね。竜ちゃん」
昼下がり、王宮の中庭。
今日もとある淑女と紳士の密会が始まる。
「第1582回」
「「我らのダーリンの良いところ語ろうの会!!」」
わ〜ぱちぱち、と小さく盛り上げて始まったのは、
紛うことなき――――恋バナである。
————————————
さて、あまりにツッコミどころが多い。
情報をまとめよう。この会に参加しているのはとある紳士と淑女。
その2人が恋バナをする……まあ、ここまでは良い。
件の人物「ダーリン」とは、この王国の騎士団で最も地位の高い団長であり、また、2人の恋人でもある。
「この間ね、一緒に歩いてて、階段あったんだけど……サッと手を差し出してエスコートしてくれて」
「さすが、といったところですね。羨ましい」
「でも、竜ちゃん、一緒に戦場で戦えるんでしょ? そっちも羨ましいわ〜」
「ずっと一緒、という訳には行きませんよ。彼は団長。僕はただのいち魔法騎士です」
「そんなこと言って……聞いたわよ、この間たった2人の騎士が魔物の群れを瞬く間に討伐したらしいじゃない?」
「それはそれは。優秀な騎士がいたものです」
「もう! 憎たらしい笑顔がお上手!」
遠目から見れば優雅なお茶会でしかないが、話のトーン青春を謳歌する少年少女のようである。内容は……万人に共感を得るのは難しいかもしれない。
さて、会話の内容に耳が慣れてきたところで、こんなことに気がつくかもしれない。
竜ちゃん、と呼ばれた男性。彼の頭に生えるヤギやヒツジのような形の真っ黒な角。
レディ、と呼ばれた女性。彼女の背中にある、鳥の翼の根元のような器官。
……まるで、この2人が人間でないとでも伝えているようで。
「それで……1番好きなところは?」
「え〜恥ずかしいわ……そうね、せーので言いましょう。せーのっ」
「「生まれ変わっても私達/僕達を見つけてくれた事」」
きゃー、ふふ、と非常に可愛らしい声が庭に響く。これがいつものお約束。
今回で1582回目だと言うのに、ドキドキを忘れない。まさに恋する乙女の鑑。
さて、これは完全に別件の話だが。
この王国、2人の謎の人物がいる。
誰もが口を揃えて、「あの人は自分が新兵の時から全く姿が変わってない」と証言される、魔法騎士が。
また、王国のお抱えの信じられないほど知識が深く、研究熱心なうら若き宮廷魔術師が。
紳士の名は、ユレー=コスモクロア・ルーンドルフ
淑女の名は、リーリ=カサブランカ・ソーサレス
「……今日は早く帰ってくるかしら」
「ええ、きっと」
件の人は、どうやら最近帰宅が遅いらしい。
紳士と淑女の恋人にして、この王国の最強の騎士、騎士団の団長を務める人間……それが、エリオ=ノア・メモフォードである。
今日も今日とで仕事におわれる彼は……恋人たちが自分の噂をしていることを、今はまだ、知らない。
「ええ、そうね。竜ちゃん」
昼下がり、王宮の中庭。
今日もとある淑女と紳士の密会が始まる。
「第1582回」
「「我らのダーリンの良いところ語ろうの会!!」」
わ〜ぱちぱち、と小さく盛り上げて始まったのは、
紛うことなき――――恋バナである。
————————————
さて、あまりにツッコミどころが多い。
情報をまとめよう。この会に参加しているのはとある紳士と淑女。
その2人が恋バナをする……まあ、ここまでは良い。
件の人物「ダーリン」とは、この王国の騎士団で最も地位の高い団長であり、また、2人の恋人でもある。
「この間ね、一緒に歩いてて、階段あったんだけど……サッと手を差し出してエスコートしてくれて」
「さすが、といったところですね。羨ましい」
「でも、竜ちゃん、一緒に戦場で戦えるんでしょ? そっちも羨ましいわ〜」
「ずっと一緒、という訳には行きませんよ。彼は団長。僕はただのいち魔法騎士です」
「そんなこと言って……聞いたわよ、この間たった2人の騎士が魔物の群れを瞬く間に討伐したらしいじゃない?」
「それはそれは。優秀な騎士がいたものです」
「もう! 憎たらしい笑顔がお上手!」
遠目から見れば優雅なお茶会でしかないが、話のトーン青春を謳歌する少年少女のようである。内容は……万人に共感を得るのは難しいかもしれない。
さて、会話の内容に耳が慣れてきたところで、こんなことに気がつくかもしれない。
竜ちゃん、と呼ばれた男性。彼の頭に生えるヤギやヒツジのような形の真っ黒な角。
レディ、と呼ばれた女性。彼女の背中にある、鳥の翼の根元のような器官。
……まるで、この2人が人間でないとでも伝えているようで。
「それで……1番好きなところは?」
「え〜恥ずかしいわ……そうね、せーので言いましょう。せーのっ」
「「生まれ変わっても私達/僕達を見つけてくれた事」」
きゃー、ふふ、と非常に可愛らしい声が庭に響く。これがいつものお約束。
今回で1582回目だと言うのに、ドキドキを忘れない。まさに恋する乙女の鑑。
さて、これは完全に別件の話だが。
この王国、2人の謎の人物がいる。
誰もが口を揃えて、「あの人は自分が新兵の時から全く姿が変わってない」と証言される、魔法騎士が。
また、王国のお抱えの信じられないほど知識が深く、研究熱心なうら若き宮廷魔術師が。
紳士の名は、ユレー=コスモクロア・ルーンドルフ
淑女の名は、リーリ=カサブランカ・ソーサレス
「……今日は早く帰ってくるかしら」
「ええ、きっと」
件の人は、どうやら最近帰宅が遅いらしい。
紳士と淑女の恋人にして、この王国の最強の騎士、騎士団の団長を務める人間……それが、エリオ=ノア・メモフォードである。
今日も今日とで仕事におわれる彼は……恋人たちが自分の噂をしていることを、今はまだ、知らない。
