一日の実習が終わって更衣室に行くと、七海がわたしを見つけて寄ってきた。
「なんか疲れてない?」
「うん。精神的にね」
「帰りにどっか行く?」
「行こうかなぁ」
そんな話をしていると、ロッカーの中でスマホが振動する音が響いた。
急いでスマホを見ると坂下さんからだった。
「未来ちゃん? 坂下だけど、まだ学校?」
「今から帰るとこです」
「良かった! あのね、今駅前で署の筋肉たちと飲んでるんだけど、友達誘って来ない? 奢ってくれるって!」
「ちょっと待ってください。聞いてみます」
スマホを保留にして、近くにいた七海と香奈に話をする。
「何歳の人たちなの?」
香奈に聞かれ
「坂下さん、みなさん何歳くらいの方なんですか?」
と聞いた。
「待ってね」
そう言うと、坂下さんが順番にスマホをまわしたらしく、
「27。23。25。22」
と、いろんな声が聞こえた後、
「最後の22は嘘だよ。29だから」
という坂下さんの声がした。
わたしの横で耳を澄ませていた七海と香奈が「OK」と合図をしてきた。
「3人で行ってもいいですか?」
「待ってる! 駅前の『風鈴』っていう居酒屋なんだけどわかる? 駿大予備校の道路渡ったとこ」
「その塾知ってるんで大丈夫です」
「眞白はいないからね」
「関係ないですよ」
「そう? じゃあ待ってるね!」
坂下さんの後ろで何か騒いでいるような声が聞こえて電話が切れた。
駅に向かう途中、2人にどういう知り合いか聞かれ、コンビニでコーヒーをこぼされて東奈消防署に行ったいきさつを話した。
「でも、その眞白さんという人は来ないんだよね?」
「そう言ってた」
「なーんだ。未来の気になる人見たかったな」
「わたしも見たかった」
「気になってないし、そう言うんじゃないから」



