さて、また今週も金曜日がやってくる。友香と葉月が楽しみにしている、恒例のスイーツ巡りの日だ。
水曜日の夜。明日の講義の準備をする前に、葉月は部屋でひとり、SNSのチェックを始めた。
「これをやらないと、葉月に付いていけないもんなー…」
やらなければいけないことがあるのはわかっているが、これをしないと落ち着かない。毎日少なくとも1時間は、新作スイーツを探してネットサーフィンをするのが、もはや日課になっていた。
「おお、今日もスイーツがいっぱい…」
スマホを取り出せば、欲しい情報はいくらでも手に入る。多すぎて、逆に処理できないくらいに。
友香はこうするたび、何度も思う。東京はすごいと。毎日のように新しいものが入ってきて、街は目まぐるしく変わっていく。スイーツもまた然り。気付かぬうちに新しいお店が出てきて、見たこともないスイーツが毎日毎日生まれている。新しいスイーツが絶えず世に出されているから、どれだけ見ても食べても飽きることは決してない。
新しいものが次々入ってくるということは、世間の注目が移り変わるのも速くなる。だから友香は流行を見逃すのが怖い。少しでも目を離すと、ついていけなくなってしまいそうで。
止まることなく変わっていく流行に乗り続けるのが、負担に思うこともある。
それでも遅れたくない。
(葉月と一緒じゃないと…私一人ぼっちになっちゃうもん)
他に親しい友人はいない。都会に出て1人寂しく生活するのは耐えられない。
だから必死で、付いて行くのだ。
「でも、見たことあるようなものばっかりだなあ…」
流れゆく情報を見つけては眺め、写真が目に留まっては開く。それでも最先端を追う彼女の心は満たされない。
オシャレなカフェが新商品として出した、季節のフルーツのパンケーキ。
カスタードと生クリーム、2つのクリームをたっぷり詰めたシュークリーム。
お隣の国で流行り、東京でも屋台でたまに見かけるフルーツの飴。
ちょっと格式のある洋菓子店が変わらない味で長年作り続ける、バームクーヘン。
彼女の世界はスイーツで溢れている。スマホは情報を与え続けてくれるが、毎日やっていればどうしてもマンネリ化するというもの。
そんな代わり映えのしない情報の山から、友香は根気強く最新情報を引き当てようとする。
(あ、これは…ちょっと懐かしいかも)
タピオカミルクティー。これも数年前、隣の国で話題になり日本にやってきたものだ。コンビニでも何度も見かけたし、東京に出て間もない頃にカフェで頼んで飲んだことだってある。しかし写真を見た感想が「懐かしい」だ。その時点でもう流行に遅れたものであることは、疑いようがないだろう。
続けて見つけたのはマリトッツォだ。確か、イタリアのお菓子だったと記憶している。焼いたパンにたっぷりのクリームを挟んで食べるのだ。シンプルな見た目ながらストレートに美味しい贅沢なスイーツだと、一時期流行した。だがこれもひと昔前のことだ。友香だって、もう食べたことがある。
(お、これは面白そう)
ショート動画で流れてきた、スイーツ製作の実演映像。ミントらしい青いアイスにチョコクッキーを砕いて混ぜて、鉄板に広げる。するとアイスは冷え固まり、ヘラで取るとキレイなロール状に仕上がるのだ。作っていたのは、どうやらロールアイスだったらしい。
ロールアイスは友香も食べたことがない。興味はあったが、大学から少し距離がある。行列が絶えないというウワサも聞いており、足が未だに延ばせずにいる。
(大学だって、忙しいもんね)
勉強しないといけない。アルバイトで軍資金を稼ぐ必要もある。時間は有限だ。…そこまで勉強してないじゃん、というセルフツッコミはしまっておくことにする。
引き続き友香はスイーツ情報をリサーチしていく。するとひとつ、目を引く写真を見つけた。
(これ…なんか可愛いな)
ピスタチオのエクレアだった。上にかかっているのは緑色のクリーム。純粋なチョコレートではなく、ピスタチオが練り込まれているようだ。
ピスタチオは今も話題にあがるし、この店にはまだ行ったことがない。調べてみると、去年海外から東京にやってきたお店らしかった。
(よし、明日はこれを葉月に勧めてみよう)
お目当てのものが見つかり、ようやく安心して寝床に就く友香だった。
◆ ◇ ◆
「ねー友香、明日のスイーツ巡りだけどさー」
「それなんだけどさ、明日はこれを食べに行こうよ!」
友香は昨夜見つけた、エクレアショップの投稿を見せた。
「ピスタチオエクレアだって!先月出たばかりの新商品みたいだし、興味あるでしょ?ピスタチオって今も熱いし!」
「えー?それちょっと古くない?」
「えっ…」
喜ばれると思って出した友香の提案。しかし葉月は、予想よりはるかに食いつきが悪かった。
「ピスタチオが流行ったのって、去年のことでしょ?それを今も擦るのはさすがにどうかなー…」
「で、でも!このエクレア見た目可愛いし、味も美味しいってネットじゃ評判だったよ!?」
「友香。わかるでしょ?都会のスイーツなんて、見た目可愛くて美味しいなんて当たり前じゃん。それが最低条件で、そうじゃないものはすぐに淘汰されていくの。その上で新しいものが次々入ってるから、東京は激戦区になってるんだよ」
「そ、それは…そうかもしれないけど…」
「今の流行りはこれだよ友香。見てみ」
葉月はスマホを取り出し、SNSのある投稿を見せる。隣の国で誕生した新感覚スイーツのお店が、東京に進出したというものだった。
「クルンジって言うんだって。パリパリ食感と背徳感で、もうたまんないらしいよ。オープンしたのは先週」
「ほ、ほんとだ…。知らなかった」
「まだまだ勉強が足りないぞ友香よー。気を抜いてると、あっという間に流行に置いて行かれるぞよ?」
「うん…。ごめんね、葉月はすごいや」
「いやいや、これでも色々努力してるからね。という訳で明日は、このクルンジのお店に行くってことで!」
葉月に押し通される形で明日のターゲットが決まる。いつものスイーツ巡りが楽しみなはずなのに、友香の心はどこか晴れずにいた。
◆ ◇ ◆
電車で揺られること20分。翌日の授業終わりに、予定通り2人はクルンジを食べに店を訪れた。
しかし予想はしてたが、今日のお店も長蛇の列。先週の比ではない。これは相当待たされそうだ。
「楽しみだねークルンジ!クロワッサンを潰して焼くってどんな食感になるんだろ?」
「さあ…。実際に食べてみないとわからないよ」
2人はどうも落ち着かない。しかし何かが引っ掛かっている友香と純粋にスイーツを楽しみにしている葉月では、内容がまるで違う。
「きっとバターと生地でパリパリッ!って感じなんだろうなー。チョコクリームとかチップもたっぷりかかって、甘くて幸せの味がしそう。やみつきになったりして!」
「どうかなー。葉月は飽きっぽいからさ、またすぐ新しいお菓子を探しに行っちゃうんじゃないの?」
「あ、私が気にしてることをしれっと言ったな?まあ事実だけど。それにしてもすごいよね、向こうで話題になったスイーツがすぐ日本にも来る訳でしょ?最高じゃん。いつか日本のスイーツが全部、お隣さん生まれのものに移り変わっちゃったりして」
「そ、それはないんじゃないかな…」
「…なんか友香、今日は元気ないね。熱でもある?」
「大丈夫だよ。私は平気だから…」
普段よりずっと長い待機列。葉月との会話も今は気まずい。
『まだまだ勉強が足りないぞ友香よー。気を抜いてると、あっという間に流行に置いて行かれるぞよ?』
昨日のことが蘇る。葉月の最新情報をキャッチする能力はすごい。しかし友香には、そこに追いすがるだけで精一杯だ。
どれだけ時間を費やし、どれだけ注意しても。世界は絶えずアップデートされていく。
時代の流れは早すぎる。
「お待たせしましたー!ご注文をどうぞ!」
「それじゃ食べよっか、葉月」
「こらこら友香。また写真撮影忘れてるぞー」
「ああごめん!冷めると嫌だしすぐ撮っちゃうね」
またしても凡ミス。葉月に言われなければ食べ終えるまで気付かなかっただろう。
慣れた手つきでスマホを出し、葉月と写真を撮り合った。
「ちょっと友香、表情硬いぞー。もっと笑って、せっかく美味しいもの食べるんだからさ」
「ごめんね?これでも頑張ってはいるんだけど…」
「まあそんな日もあるか。それじゃあアップも終えたし、いただきまーす」
「うん、いただきます」
2人は同時にクルンジをかじる。友香が頼んだストロベリー味は、パリパリに焼かれたバター生地とストロベリーソースの甘酸っぱい風味で脳がとろける。…はずなのだが、どこか味気ない。
「うわ美味しい!クロワッサンをさらに焼くなんて贅沢だねえ!考えた人は天才だと思うわ」
「……」
「こっちのチョコ味はかなりリッチな味わいですよ。甘すぎてくどくならないように、ちょっとビターなテイストになっております。そっちのストロベリー味はどう?」
「え?あ、うん美味しいよ。一口食べてみる?」
「良いの!?じゃあ一口もらうー。こっちのも食べて良いよ?」
「あ、じゃあもらおうかな…」
これも先週に似たやり取りをしたはずなのに、ぎこちない。
(私、なんか変)
昨日から何かがおかしい。葉月と話してからだ。流行に遅れていると言われたから?葉月にけなされたと思ったから?提案をあっさり却下されたから?
悩んでも答えは出ない。毎週楽しみにしているはずのスイーツ巡りが、今の友香にとっては重たい。そう感じていることだけは、間違いなかった。
(楽しいはずなのに。美味しいはずなのに。私、どうしちゃったのかな…)
水曜日の夜。明日の講義の準備をする前に、葉月は部屋でひとり、SNSのチェックを始めた。
「これをやらないと、葉月に付いていけないもんなー…」
やらなければいけないことがあるのはわかっているが、これをしないと落ち着かない。毎日少なくとも1時間は、新作スイーツを探してネットサーフィンをするのが、もはや日課になっていた。
「おお、今日もスイーツがいっぱい…」
スマホを取り出せば、欲しい情報はいくらでも手に入る。多すぎて、逆に処理できないくらいに。
友香はこうするたび、何度も思う。東京はすごいと。毎日のように新しいものが入ってきて、街は目まぐるしく変わっていく。スイーツもまた然り。気付かぬうちに新しいお店が出てきて、見たこともないスイーツが毎日毎日生まれている。新しいスイーツが絶えず世に出されているから、どれだけ見ても食べても飽きることは決してない。
新しいものが次々入ってくるということは、世間の注目が移り変わるのも速くなる。だから友香は流行を見逃すのが怖い。少しでも目を離すと、ついていけなくなってしまいそうで。
止まることなく変わっていく流行に乗り続けるのが、負担に思うこともある。
それでも遅れたくない。
(葉月と一緒じゃないと…私一人ぼっちになっちゃうもん)
他に親しい友人はいない。都会に出て1人寂しく生活するのは耐えられない。
だから必死で、付いて行くのだ。
「でも、見たことあるようなものばっかりだなあ…」
流れゆく情報を見つけては眺め、写真が目に留まっては開く。それでも最先端を追う彼女の心は満たされない。
オシャレなカフェが新商品として出した、季節のフルーツのパンケーキ。
カスタードと生クリーム、2つのクリームをたっぷり詰めたシュークリーム。
お隣の国で流行り、東京でも屋台でたまに見かけるフルーツの飴。
ちょっと格式のある洋菓子店が変わらない味で長年作り続ける、バームクーヘン。
彼女の世界はスイーツで溢れている。スマホは情報を与え続けてくれるが、毎日やっていればどうしてもマンネリ化するというもの。
そんな代わり映えのしない情報の山から、友香は根気強く最新情報を引き当てようとする。
(あ、これは…ちょっと懐かしいかも)
タピオカミルクティー。これも数年前、隣の国で話題になり日本にやってきたものだ。コンビニでも何度も見かけたし、東京に出て間もない頃にカフェで頼んで飲んだことだってある。しかし写真を見た感想が「懐かしい」だ。その時点でもう流行に遅れたものであることは、疑いようがないだろう。
続けて見つけたのはマリトッツォだ。確か、イタリアのお菓子だったと記憶している。焼いたパンにたっぷりのクリームを挟んで食べるのだ。シンプルな見た目ながらストレートに美味しい贅沢なスイーツだと、一時期流行した。だがこれもひと昔前のことだ。友香だって、もう食べたことがある。
(お、これは面白そう)
ショート動画で流れてきた、スイーツ製作の実演映像。ミントらしい青いアイスにチョコクッキーを砕いて混ぜて、鉄板に広げる。するとアイスは冷え固まり、ヘラで取るとキレイなロール状に仕上がるのだ。作っていたのは、どうやらロールアイスだったらしい。
ロールアイスは友香も食べたことがない。興味はあったが、大学から少し距離がある。行列が絶えないというウワサも聞いており、足が未だに延ばせずにいる。
(大学だって、忙しいもんね)
勉強しないといけない。アルバイトで軍資金を稼ぐ必要もある。時間は有限だ。…そこまで勉強してないじゃん、というセルフツッコミはしまっておくことにする。
引き続き友香はスイーツ情報をリサーチしていく。するとひとつ、目を引く写真を見つけた。
(これ…なんか可愛いな)
ピスタチオのエクレアだった。上にかかっているのは緑色のクリーム。純粋なチョコレートではなく、ピスタチオが練り込まれているようだ。
ピスタチオは今も話題にあがるし、この店にはまだ行ったことがない。調べてみると、去年海外から東京にやってきたお店らしかった。
(よし、明日はこれを葉月に勧めてみよう)
お目当てのものが見つかり、ようやく安心して寝床に就く友香だった。
◆ ◇ ◆
「ねー友香、明日のスイーツ巡りだけどさー」
「それなんだけどさ、明日はこれを食べに行こうよ!」
友香は昨夜見つけた、エクレアショップの投稿を見せた。
「ピスタチオエクレアだって!先月出たばかりの新商品みたいだし、興味あるでしょ?ピスタチオって今も熱いし!」
「えー?それちょっと古くない?」
「えっ…」
喜ばれると思って出した友香の提案。しかし葉月は、予想よりはるかに食いつきが悪かった。
「ピスタチオが流行ったのって、去年のことでしょ?それを今も擦るのはさすがにどうかなー…」
「で、でも!このエクレア見た目可愛いし、味も美味しいってネットじゃ評判だったよ!?」
「友香。わかるでしょ?都会のスイーツなんて、見た目可愛くて美味しいなんて当たり前じゃん。それが最低条件で、そうじゃないものはすぐに淘汰されていくの。その上で新しいものが次々入ってるから、東京は激戦区になってるんだよ」
「そ、それは…そうかもしれないけど…」
「今の流行りはこれだよ友香。見てみ」
葉月はスマホを取り出し、SNSのある投稿を見せる。隣の国で誕生した新感覚スイーツのお店が、東京に進出したというものだった。
「クルンジって言うんだって。パリパリ食感と背徳感で、もうたまんないらしいよ。オープンしたのは先週」
「ほ、ほんとだ…。知らなかった」
「まだまだ勉強が足りないぞ友香よー。気を抜いてると、あっという間に流行に置いて行かれるぞよ?」
「うん…。ごめんね、葉月はすごいや」
「いやいや、これでも色々努力してるからね。という訳で明日は、このクルンジのお店に行くってことで!」
葉月に押し通される形で明日のターゲットが決まる。いつものスイーツ巡りが楽しみなはずなのに、友香の心はどこか晴れずにいた。
◆ ◇ ◆
電車で揺られること20分。翌日の授業終わりに、予定通り2人はクルンジを食べに店を訪れた。
しかし予想はしてたが、今日のお店も長蛇の列。先週の比ではない。これは相当待たされそうだ。
「楽しみだねークルンジ!クロワッサンを潰して焼くってどんな食感になるんだろ?」
「さあ…。実際に食べてみないとわからないよ」
2人はどうも落ち着かない。しかし何かが引っ掛かっている友香と純粋にスイーツを楽しみにしている葉月では、内容がまるで違う。
「きっとバターと生地でパリパリッ!って感じなんだろうなー。チョコクリームとかチップもたっぷりかかって、甘くて幸せの味がしそう。やみつきになったりして!」
「どうかなー。葉月は飽きっぽいからさ、またすぐ新しいお菓子を探しに行っちゃうんじゃないの?」
「あ、私が気にしてることをしれっと言ったな?まあ事実だけど。それにしてもすごいよね、向こうで話題になったスイーツがすぐ日本にも来る訳でしょ?最高じゃん。いつか日本のスイーツが全部、お隣さん生まれのものに移り変わっちゃったりして」
「そ、それはないんじゃないかな…」
「…なんか友香、今日は元気ないね。熱でもある?」
「大丈夫だよ。私は平気だから…」
普段よりずっと長い待機列。葉月との会話も今は気まずい。
『まだまだ勉強が足りないぞ友香よー。気を抜いてると、あっという間に流行に置いて行かれるぞよ?』
昨日のことが蘇る。葉月の最新情報をキャッチする能力はすごい。しかし友香には、そこに追いすがるだけで精一杯だ。
どれだけ時間を費やし、どれだけ注意しても。世界は絶えずアップデートされていく。
時代の流れは早すぎる。
「お待たせしましたー!ご注文をどうぞ!」
「それじゃ食べよっか、葉月」
「こらこら友香。また写真撮影忘れてるぞー」
「ああごめん!冷めると嫌だしすぐ撮っちゃうね」
またしても凡ミス。葉月に言われなければ食べ終えるまで気付かなかっただろう。
慣れた手つきでスマホを出し、葉月と写真を撮り合った。
「ちょっと友香、表情硬いぞー。もっと笑って、せっかく美味しいもの食べるんだからさ」
「ごめんね?これでも頑張ってはいるんだけど…」
「まあそんな日もあるか。それじゃあアップも終えたし、いただきまーす」
「うん、いただきます」
2人は同時にクルンジをかじる。友香が頼んだストロベリー味は、パリパリに焼かれたバター生地とストロベリーソースの甘酸っぱい風味で脳がとろける。…はずなのだが、どこか味気ない。
「うわ美味しい!クロワッサンをさらに焼くなんて贅沢だねえ!考えた人は天才だと思うわ」
「……」
「こっちのチョコ味はかなりリッチな味わいですよ。甘すぎてくどくならないように、ちょっとビターなテイストになっております。そっちのストロベリー味はどう?」
「え?あ、うん美味しいよ。一口食べてみる?」
「良いの!?じゃあ一口もらうー。こっちのも食べて良いよ?」
「あ、じゃあもらおうかな…」
これも先週に似たやり取りをしたはずなのに、ぎこちない。
(私、なんか変)
昨日から何かがおかしい。葉月と話してからだ。流行に遅れていると言われたから?葉月にけなされたと思ったから?提案をあっさり却下されたから?
悩んでも答えは出ない。毎週楽しみにしているはずのスイーツ巡りが、今の友香にとっては重たい。そう感じていることだけは、間違いなかった。
(楽しいはずなのに。美味しいはずなのに。私、どうしちゃったのかな…)
