「友香ー!今日もさっそく行っちゃおうか!」
「オッケー!原宿の新しいクレープ屋だよね葉月!」
大学の講義が終わるやいなや、木谷 友香は松川 葉月と共に教室を飛び出した。毎週金曜日の終わりに、2人で都内のスイーツ巡りをするのがお決まりとなっている。
今日のターゲットはクレープ。北海道から東京に初めて進出し、先月オープンしたばかりの店だ。開店間もなく話題が沸騰し、今でも客足が絶えないという。
学校から電車で揺られること30分。話題のスイーツを食べられるとあって、移動中も2人はどこか浮足立っていた。
「楽しみだよねー!あのお店、小さいのに店構えからもうオシャレでー!」
「うんうん、動画で見た!クレープの方もデコが可愛くて、フルーツも美味しそうなの使ってた!」
話題は今日行くお店のことで持ち切りだ。電車内だというのについつい盛り上がってしまう。
都心にしてはそこそこ長い移動時間を経て、ようやく原宿駅に到着。そこから少し歩けば、お目当ての店はすぐに見つかる。
「ありゃ、すごい並んでるね」
「さすが人気店。これはちょっと、覚悟するしかないねー」
「私はいくらでも並ぶよ葉月。ここのクレープ、どれだけ待っても食べたいもん」
「私も!それにこんな行列ができるってことは、それだけ期待できるってことだもんね」
15人はいるだろう長蛇の列。2人は大人しく、その最後尾についた。
今か今かと待ちわびながら、話が弾む。たとえ列が進むのがどれだけ遅くても、友香達の会話が途切れることはない。長い待ち時間を要しても退屈と感じることはないから、2人で一緒に来て良かったと、お互いに思う。
列に並んでからさらに20分。ようやく友香達の番が回ってきた。
「いらっしゃいませー!ご注文を伺います」
「はい!私はチョコベリーをひとつ!」
「じゃあ私は…チョコバナナにします!」
「かしこまりました!少々お待ちください」
「わー、美味しそー!」
「うんうん!見た目可愛いし、盛り方もキレイだよねー」
席についても2人は落ち着かない様子。待ち焦がれたクレープをようやく手にして、興奮が冷め止まない。
「それじゃあさっそく…」
「待って友香、まだ写真撮ってないよ!」
「ああいけない!危なかった、あやうく口付けちゃうところだったよー」
「友香はそそっかしいなー。ハイ、チーズ」
慣れた手つきで葉月はSNSに写真をあげた。これもスイーツ巡りの日課だ。
「私も撮れたよ。それじゃあそろそろ…行っちゃいます?」
「うん行っちゃお!せーので行こう」
「オッケ。…せーの!」
掛け声と共に、同時にクレープにかじりついた。その瞬間、2人の口に魅惑の世界が広がった。
友香が注文したチョコバナナクレープ。フレッシュなバナナが丸ごと1本使われた、贅沢なクレープ。飾りつけやトッピングのあちこちにチョコ菓子が使われていて、忍ばせているチョコクリームの量も背徳的だ。それをもっちり焼かれたクレープ生地で優しく包み込んでいる。
ふんわりあたたかい、焼きたてのクレープ生地。やさしい甘さを持ちながら、生地とはまた別のふんわり感を与えてくれる生クリーム。鮮度バツグンのバナナが、みずみずしさと果物特有の自然な甘さを与えてくれる。しかし最後にやってくるのは、チョコクリームが潜ませていた暴力的なまでの甘さ。まるで頭が溶けてしまいそうなほどに強烈だ。
ほのかで、やさしくて、みずみずしくて、鮮烈な、まったく異なる甘みが一体となって襲ってくる。どう表現すれば良いか、友香にはわからない。幸せ。これに尽きてしまう。
「「おいしーい!」」
「このチョコバナナ、なんかもうすっごく甘くて美味しいよ!メロンとかと悩んだけどやっぱりこれにして良かった!」
「こっちのチョコベリーも美味しいよ!イチゴが甘酸っぱくてチョコとすごく合うんだよねー」
「というかクレープ生地もクリームも美味しいよね。ねね、一口くれない?私のも一口あげるからさ」
「あ、食べたい食べたい!私もチョコバナナ、興味あったんだよねー。こっちのも王道な組み合わせだけど、なかなか行けますぞ?」
「やったあ!じゃあ葉月、あーん」
お互いにクレープをお裾分け。これもよくあることだ。2人で頼めば別々の味を選べて倍楽しめる、と。
チョコベリーの甘酸っぱさを大事に味わう友香。彼女の口と頭はもう、幸せで満たされていた。
「いやー、来て良かったねえ。店もオシャレでキレイで」
「クレープも1個1個ていねいに焼いてくれるから、すごく美味しかったよね。素材も良いもの使ってるみたいだし」
「それに何より映えるからね。SNSであれだけ人気になってたら、そりゃ気にもなりますって」
この店の話題を持って来たのは、いつものように葉月である。彼女は流行へのアンテナを広く持ち、最新情報を常にチェックしているのだ。
東京で人気のオシャレスイーツ。それをゴホウビと称して食べに行くために、今日も2人は生きている。
『すみません!ここ隣良いですか?』
『あ、良いですよ。私、田舎から出てきて連れもいないので』
友香と葉月は、大学の入学式で隣になった。
授業が始まるといきなり再会してびっくり。同じ文学部で同じ学科。出身も福島と山形で、地方からひとり寂しく出てきた者同士だった。空気も趣味も合い、2人はすぐに意気投合した。
『ねえねえ友香!このマカロン、可愛いと思わない?』
『あ、ホントだ!カラフルで可愛い!どこのお店?』
『渋谷のデパ地下ー。このお値段なら私達の小遣いでも、手が届くんじゃないですかね?』
『だねー、バイト代を貯めてたまに買ったりしたいな。…あでも今授業中だから、おしゃべりは程ほどにしなきゃ』
講義を受けるのも隣の席、カフェテリアで昼食をとる時も一緒。アルバイト先だって、一緒の場所に決めた。
大学に入ってからずっと一緒に過ごしている。他に話す相手がいない訳ではないが、2年生になった今でも動く時は2人でいるのが常だ。
休日でもシャレたカフェやお出かけスポットに一緒に出掛けたり、学校以外でも共に過ごす時間が増えた。単位が危ない時はお互いに泣きついて、試験勉強に勤しむことも。去年の夏休みには、日帰り旅行まで行ったくらいだ。
何故友香と葉月、はここまで波長が噛み合うのか。2人の行動原理は、根本が似ていた。
『葉月、私さ。東京出てきて良かったって、最近いつも思う』
『急にどうしたのさ?』
『だって東京ってさ、いつも何かあるじゃん。毎日新しいものが入ってきてさ、スイーツだって新しい店とかバンバンできる』
『あー言えてる。うちらみたいな田舎じゃ、なーんにも変わんないもんね』
『そうそう。近所のおばちゃんがずーっとやってる小さなお店くらいしか、お菓子屋さんもなくってさー。ちょっと街の方に出ても、数年に1回新しいお店ができるくらいで。おばちゃんのお菓子はいつも美味しかったけど、そればっかりだと飽きちゃうよね。だから私、先に都会に出て行ったお姉ちゃんが羨ましかったのかも』
『なるほど?でも私もおんなじだわ。刺激のない田舎暮らしにマジでうんざりして、親父黙らせて都会に出てきた』
『アハハ…葉月は豪快だね。そんなに嫌だったの?地元で暮らすの』
『うちの周り、山と田んぼと雪くらいしかない』
『ああ、それはわかるかも。うちも同じ感じだったし』
友香の学校で地方からの上京組は少ない。都会での刺激溢れる生活にこれだけ強く飢えていたのも、この2人くらいのものだった。
友香と葉月はこれまで静かな田舎で暮らしていたうっぷんを晴らすように、刺激を求め続けた。SNSを欠かさずチェックし、話題のスイーツショップを見つければ必ず食べに行く。食べに行く店も、最近できたとか、新商品が出たとか、そんな最新の人気店ばかりだ。流行の最先端ばかりを、常に追っている。
特に葉月は、流行への執着があまりに強かった。米農家に生まれ、本人が言ったように家の周りは山と水田ばかり。のどかな原風景と言えば聞こえは良いが、彼女の心を満たすにはあまりに変化に乏しかった。
彼女の父は家業を継いでほしいと願っていた。しかし中学生の時にスマホを与えられて以降、彼女の興味は次第に遠い遠い街へと引き寄せられていった。
『米作っても儲かんないって、親父いつも文句言ってんじゃん。そんなんで私が米作りたーいなんて思うと思ってんの?』
『稼ぎがどうとかの問題じゃないんだよ。日本の食を変わらず支えることが、俺達の生きがいで…』
『知らないよ。私は意地でも家出てやるからね』
『んなこと言って、お前勉強出来ねえじゃねえか。都会の大学なんか、受かる訳ねえ』
『やってみなきゃわかんないだろ!東京のどっかの大学、受かるまで受けてやる!』
『お、おい葉月…』
そうして大学にひとつ合格し、本当に出てきてしまった。田舎に閉じ込められそうになった過去があるから、葉月は東京への執着が強い。最新情報を常に追いかけ、アルバイトで軍資金を確保し、刺激に満ちた都会の生活を謳歌している。実家に呼び戻されないように、進級できるように勉強も最低限は欠かさない。
葉月はとても充実した毎日を送っている。そんな活き活きとした姿を見るのが友香も好きだ。
その勢いはあまりに激しく、彼女に付いて行くのが少し大変なこともあるが。
友香と葉月は切っても切れない、最高の友人だ。
「なーんか私達、ずっとこんな感じだよね。一緒にスイーツ食べて、一緒に勉強して、一緒に出掛けて。いつも一緒だね?」
「私は楽しいよ、友香と一緒にいるの。同じ田舎者同士で、ウマが合うっていうか。考えてること大体同じだから」
「そうだね。…また一緒に行こうよ、人気スイーツ巡り」
「もちろん。新たなスイーツがまた、私達を待ってるぜ!」
クレープを食べ終え、笑い合う2人。
来週もまた、こうしてスイーツ巡りをするだろう。
「オッケー!原宿の新しいクレープ屋だよね葉月!」
大学の講義が終わるやいなや、木谷 友香は松川 葉月と共に教室を飛び出した。毎週金曜日の終わりに、2人で都内のスイーツ巡りをするのがお決まりとなっている。
今日のターゲットはクレープ。北海道から東京に初めて進出し、先月オープンしたばかりの店だ。開店間もなく話題が沸騰し、今でも客足が絶えないという。
学校から電車で揺られること30分。話題のスイーツを食べられるとあって、移動中も2人はどこか浮足立っていた。
「楽しみだよねー!あのお店、小さいのに店構えからもうオシャレでー!」
「うんうん、動画で見た!クレープの方もデコが可愛くて、フルーツも美味しそうなの使ってた!」
話題は今日行くお店のことで持ち切りだ。電車内だというのについつい盛り上がってしまう。
都心にしてはそこそこ長い移動時間を経て、ようやく原宿駅に到着。そこから少し歩けば、お目当ての店はすぐに見つかる。
「ありゃ、すごい並んでるね」
「さすが人気店。これはちょっと、覚悟するしかないねー」
「私はいくらでも並ぶよ葉月。ここのクレープ、どれだけ待っても食べたいもん」
「私も!それにこんな行列ができるってことは、それだけ期待できるってことだもんね」
15人はいるだろう長蛇の列。2人は大人しく、その最後尾についた。
今か今かと待ちわびながら、話が弾む。たとえ列が進むのがどれだけ遅くても、友香達の会話が途切れることはない。長い待ち時間を要しても退屈と感じることはないから、2人で一緒に来て良かったと、お互いに思う。
列に並んでからさらに20分。ようやく友香達の番が回ってきた。
「いらっしゃいませー!ご注文を伺います」
「はい!私はチョコベリーをひとつ!」
「じゃあ私は…チョコバナナにします!」
「かしこまりました!少々お待ちください」
「わー、美味しそー!」
「うんうん!見た目可愛いし、盛り方もキレイだよねー」
席についても2人は落ち着かない様子。待ち焦がれたクレープをようやく手にして、興奮が冷め止まない。
「それじゃあさっそく…」
「待って友香、まだ写真撮ってないよ!」
「ああいけない!危なかった、あやうく口付けちゃうところだったよー」
「友香はそそっかしいなー。ハイ、チーズ」
慣れた手つきで葉月はSNSに写真をあげた。これもスイーツ巡りの日課だ。
「私も撮れたよ。それじゃあそろそろ…行っちゃいます?」
「うん行っちゃお!せーので行こう」
「オッケ。…せーの!」
掛け声と共に、同時にクレープにかじりついた。その瞬間、2人の口に魅惑の世界が広がった。
友香が注文したチョコバナナクレープ。フレッシュなバナナが丸ごと1本使われた、贅沢なクレープ。飾りつけやトッピングのあちこちにチョコ菓子が使われていて、忍ばせているチョコクリームの量も背徳的だ。それをもっちり焼かれたクレープ生地で優しく包み込んでいる。
ふんわりあたたかい、焼きたてのクレープ生地。やさしい甘さを持ちながら、生地とはまた別のふんわり感を与えてくれる生クリーム。鮮度バツグンのバナナが、みずみずしさと果物特有の自然な甘さを与えてくれる。しかし最後にやってくるのは、チョコクリームが潜ませていた暴力的なまでの甘さ。まるで頭が溶けてしまいそうなほどに強烈だ。
ほのかで、やさしくて、みずみずしくて、鮮烈な、まったく異なる甘みが一体となって襲ってくる。どう表現すれば良いか、友香にはわからない。幸せ。これに尽きてしまう。
「「おいしーい!」」
「このチョコバナナ、なんかもうすっごく甘くて美味しいよ!メロンとかと悩んだけどやっぱりこれにして良かった!」
「こっちのチョコベリーも美味しいよ!イチゴが甘酸っぱくてチョコとすごく合うんだよねー」
「というかクレープ生地もクリームも美味しいよね。ねね、一口くれない?私のも一口あげるからさ」
「あ、食べたい食べたい!私もチョコバナナ、興味あったんだよねー。こっちのも王道な組み合わせだけど、なかなか行けますぞ?」
「やったあ!じゃあ葉月、あーん」
お互いにクレープをお裾分け。これもよくあることだ。2人で頼めば別々の味を選べて倍楽しめる、と。
チョコベリーの甘酸っぱさを大事に味わう友香。彼女の口と頭はもう、幸せで満たされていた。
「いやー、来て良かったねえ。店もオシャレでキレイで」
「クレープも1個1個ていねいに焼いてくれるから、すごく美味しかったよね。素材も良いもの使ってるみたいだし」
「それに何より映えるからね。SNSであれだけ人気になってたら、そりゃ気にもなりますって」
この店の話題を持って来たのは、いつものように葉月である。彼女は流行へのアンテナを広く持ち、最新情報を常にチェックしているのだ。
東京で人気のオシャレスイーツ。それをゴホウビと称して食べに行くために、今日も2人は生きている。
『すみません!ここ隣良いですか?』
『あ、良いですよ。私、田舎から出てきて連れもいないので』
友香と葉月は、大学の入学式で隣になった。
授業が始まるといきなり再会してびっくり。同じ文学部で同じ学科。出身も福島と山形で、地方からひとり寂しく出てきた者同士だった。空気も趣味も合い、2人はすぐに意気投合した。
『ねえねえ友香!このマカロン、可愛いと思わない?』
『あ、ホントだ!カラフルで可愛い!どこのお店?』
『渋谷のデパ地下ー。このお値段なら私達の小遣いでも、手が届くんじゃないですかね?』
『だねー、バイト代を貯めてたまに買ったりしたいな。…あでも今授業中だから、おしゃべりは程ほどにしなきゃ』
講義を受けるのも隣の席、カフェテリアで昼食をとる時も一緒。アルバイト先だって、一緒の場所に決めた。
大学に入ってからずっと一緒に過ごしている。他に話す相手がいない訳ではないが、2年生になった今でも動く時は2人でいるのが常だ。
休日でもシャレたカフェやお出かけスポットに一緒に出掛けたり、学校以外でも共に過ごす時間が増えた。単位が危ない時はお互いに泣きついて、試験勉強に勤しむことも。去年の夏休みには、日帰り旅行まで行ったくらいだ。
何故友香と葉月、はここまで波長が噛み合うのか。2人の行動原理は、根本が似ていた。
『葉月、私さ。東京出てきて良かったって、最近いつも思う』
『急にどうしたのさ?』
『だって東京ってさ、いつも何かあるじゃん。毎日新しいものが入ってきてさ、スイーツだって新しい店とかバンバンできる』
『あー言えてる。うちらみたいな田舎じゃ、なーんにも変わんないもんね』
『そうそう。近所のおばちゃんがずーっとやってる小さなお店くらいしか、お菓子屋さんもなくってさー。ちょっと街の方に出ても、数年に1回新しいお店ができるくらいで。おばちゃんのお菓子はいつも美味しかったけど、そればっかりだと飽きちゃうよね。だから私、先に都会に出て行ったお姉ちゃんが羨ましかったのかも』
『なるほど?でも私もおんなじだわ。刺激のない田舎暮らしにマジでうんざりして、親父黙らせて都会に出てきた』
『アハハ…葉月は豪快だね。そんなに嫌だったの?地元で暮らすの』
『うちの周り、山と田んぼと雪くらいしかない』
『ああ、それはわかるかも。うちも同じ感じだったし』
友香の学校で地方からの上京組は少ない。都会での刺激溢れる生活にこれだけ強く飢えていたのも、この2人くらいのものだった。
友香と葉月はこれまで静かな田舎で暮らしていたうっぷんを晴らすように、刺激を求め続けた。SNSを欠かさずチェックし、話題のスイーツショップを見つければ必ず食べに行く。食べに行く店も、最近できたとか、新商品が出たとか、そんな最新の人気店ばかりだ。流行の最先端ばかりを、常に追っている。
特に葉月は、流行への執着があまりに強かった。米農家に生まれ、本人が言ったように家の周りは山と水田ばかり。のどかな原風景と言えば聞こえは良いが、彼女の心を満たすにはあまりに変化に乏しかった。
彼女の父は家業を継いでほしいと願っていた。しかし中学生の時にスマホを与えられて以降、彼女の興味は次第に遠い遠い街へと引き寄せられていった。
『米作っても儲かんないって、親父いつも文句言ってんじゃん。そんなんで私が米作りたーいなんて思うと思ってんの?』
『稼ぎがどうとかの問題じゃないんだよ。日本の食を変わらず支えることが、俺達の生きがいで…』
『知らないよ。私は意地でも家出てやるからね』
『んなこと言って、お前勉強出来ねえじゃねえか。都会の大学なんか、受かる訳ねえ』
『やってみなきゃわかんないだろ!東京のどっかの大学、受かるまで受けてやる!』
『お、おい葉月…』
そうして大学にひとつ合格し、本当に出てきてしまった。田舎に閉じ込められそうになった過去があるから、葉月は東京への執着が強い。最新情報を常に追いかけ、アルバイトで軍資金を確保し、刺激に満ちた都会の生活を謳歌している。実家に呼び戻されないように、進級できるように勉強も最低限は欠かさない。
葉月はとても充実した毎日を送っている。そんな活き活きとした姿を見るのが友香も好きだ。
その勢いはあまりに激しく、彼女に付いて行くのが少し大変なこともあるが。
友香と葉月は切っても切れない、最高の友人だ。
「なーんか私達、ずっとこんな感じだよね。一緒にスイーツ食べて、一緒に勉強して、一緒に出掛けて。いつも一緒だね?」
「私は楽しいよ、友香と一緒にいるの。同じ田舎者同士で、ウマが合うっていうか。考えてること大体同じだから」
「そうだね。…また一緒に行こうよ、人気スイーツ巡り」
「もちろん。新たなスイーツがまた、私達を待ってるぜ!」
クレープを食べ終え、笑い合う2人。
来週もまた、こうしてスイーツ巡りをするだろう。
