ファンタジーワールドにSFが落ちて来た!

 朝になり、朝食を終えたら昨日の話の続きをする。

 と言ってもジージーは仲間のところに向かいたいようで、昨日の夜に通信を試みていたよ。もちろん、返信はなかったけど。

「レイ。わたし、仲間のところに向かうわ」

「なら、取引しよう。あの宇宙船、ボクに譲ってくれたら大きい町まで付き合うよ。それなりにこの周辺の常識は教えてやれるし、金もあげる。まったく情報のないところから始めるよりマシだと思うけど、どうかな?」

「宇宙船を? もう動かなくなるのも時間の問題よ……」

「動かなくとも十年二十年で消えるわけでもないでしょう? 宇宙技術に触れるだけでおもしろいものだよ。数百年、数千年の技術の結晶なんだかね」

 少年のような心を持つ者としては動かなくとも宇宙船ってだけでロマンだ。おもしろいってだけで価値があるんだよ。

「使えるものは持って行ってくれて構わない。なんならボクを搭乗者登録して欲しい。宇宙の話を聞けるのも楽しそうだしね」

 ファンタジーワールドにSFの価値観が役に立つかとかはどうでもいい。知りたいって欲求に役に立つとか立たないとか関係ないのだ。

「……あなた、変わっているわね……」

「そのせいで家を追い出されたよ。今じゃこんな人里離れたところで一人暮らしさ」

 これでもいいところの生まれ。由緒正しい家系の血筋である。ちょっと家宝の魔剣を砕いてしまって親父に追い出されてしまったんですよね。アハハ。 

「…………」

「興味のあることには突っ走ってしまう性格なんだよね」

「わ、わかったわ。シャレインを譲るわ。でも、そう長いことプレアは持たない。それでもいいのね?」

「オッケーオッケー。オールオッケーよ」

 笑顔でサムズアップすると、呆れた顔でため息を吐かれました。

「じゃあ、登録変更をするわ」

 宇宙船シャレインに向かい、ハッチから中に入った。

 全長五十メートルくらいあるが、中は狭い。整備路みたいなところ辿ってコクピットに向かった。

 コクピットは意外とシンプルだ。操縦桿はなく、計器類もなし。どうやって操縦すんの、これ?

「このレックーを被って。シャレインを動かすルガとなっているわ」

 レックーがヘルメットでルガはキーってところか。

「わたしの言葉を繰り返して。ゆっくりしゃべるから」

 なんかよくわからん言葉をゆっくりしゃべり、それを復唱していった。

 ヘルメットのバイザーによくわからない文字が上から下へと流れて行き、イエス╱ノーみたいなものが出た。

「右の文字を集中して」

 集中すると文字が光り、また文字が流れて網膜パターンを取るような光が走った。

「これで登録変更完了よ。シャレインはあなたのものになったわ」