ファンタジーワールドにSFが落ちて来た!

 バッタバッタと薙ぎ倒す。

 なんて表現がしっくりくるくらいジージーが無双しております。スゲー。

 あの重い剣を持ちながら軽やかに、でも力強い動きをしている。前に見た上位冒険者にも匹敵しそうだ。

 やっぱり冒険者を勧めたほうがいいかな? 仲間を捜すなら組織に属さないほうがいいと思ったが、あそこまで強いと目を付けられるだろう。なら、最初から入っていたほうがいいんじゃなかろうか? ジージーと話し合ってみるか。

 五分もしないでグレゴフは地に伏せてしまった。

「息切れもしないか」

 かなりの運動量なのに、息切れどころか汗一つかいてない。剣を二、三度振ったような顔をしているよ。

「手応えはあった?」

「まあまあかな。生き物を斬るってこんな感じだったのね」

「慣れてないと嫌悪感で吐いちゃったりもするけど、まったく表情が動くことはなかった。なにか精神制御されたりするの?」

 いくら宇宙で戦う兵士とは言え、照準器越しと自らの手で人を殺すのではまったく違う。人間性を持っていたらなんらかしらの抵抗感は出るはずだ。それが出ないっておかしいだろう。ジージー、感情が死んでいるわけじゃなかったしな。

「ええ。戦闘モードに切り替えたわ。わたしたちの脳には近接戦がインプットされているのよ」

 肉体も強化されてるよね、それ! 完全にサイボーグになってんじゃん! 

「行き着くところまで行くと、そうなっちゃうんだね。でも、同じくらいの身体能力を出せる存在がいるから気を付けてね。それ、無理すると体に負担を掛ける代物でしょう?」

「そこまでわかるものなの?」

「想像力だけなら千年先を行っていたからね。凡そは理解出来るよ」

 まだ人が想像出来る内の科学力だ。しかも、ジージーは一般兵士。そこまで改造する費用は掛けてもらえないはずだ。

「あれだけ動けばお腹空くんじゃない?」

「そうね。エネルギー補給がしたいわ」

 そこは食べないといけないってことか。まあ、トイレ行ってたしな。

「じゃあ、クルーミーを調理しようか。グレゴフの血が充満したら他の魔物は寄って来なくなるからね」

 グレゴフを食う魔物は少ない。その血も嫌っている。好んで近寄っては来なくなる。冒険者から教えてもらった知恵だ。

 小川に移り、捌いたクルーミーをよく洗い、水を切ったら火にかけた。

 ほどよく焼き目が付いてきたら塩を振り掛けると、いい香りが漂って来た。

「まだ?」

 我慢出来ないって顔だ。ある意味、暴力的な匂いだからな。仕方がない。

「もうちょっとだよ」

 クルーミーはじっくり焼いてこそ。最高の焼き加減で食べるのが礼儀である。