ファンタジーワールドにSFが落ちて来た!

 夜、なんか轟音が聞こえた。

 なんだと外に出たら火球がこちらに向かって来るのが見えた。

「人類消滅の危機か!?」

 と覚悟したら火球が制動の炎を上げて裏山に落ちた。

「ここは、夢のない剣と魔法のファンタジーワールドなんだがな。エイリアン襲来とか勘弁してくれよ」

 転生して慎ましく穏やかに暮らしていたのに宇宙戦争勃発とか嫌すぎる。ボクはまだ十七歳なのに。どうせ死ぬなら恋の一つでもしてから死にたいよ。今生も独り身とか呪われすぎだ。

 今のボクにどうこうする力はないのでさっさと寝るとする。起きたら新たな命に転生してますように。

 なんて願いが叶えられるわけもなく、清々しい朝を迎えられた。

「平和だな」

 山火事にもなっておらず、未知の生物が襲って来ることもなし。裏山から黒煙がいくつか上がっているくらいだった。

「行ってみるか」

 制動をかけたのは見間違えで、隕石が落ちただけかもしれんからな。

「……そんなわけもなかったか……」
 
 全長五十メートルくらいの流線型の宇宙船が地面に突き刺さっていた。

 制動をかけたからか、船体の損傷は酷くはない。所々黒ずんでいるくらい。ただ、飛べるかどうか怪しいくはある。

「形からして人型はしているっぽいな」

 それに、装甲になんか英語らしき文字が描かれている。戦闘機か?

 放射線とか心配なので近寄ることはしない。三十メートルくらいのところで眺めていたらプシューって音がした。なんか開いたか?

 音がしたほうに回ってみると、アニメ的デザインをしたスーツを纏った銀髪の少女が開放したコクピットらしきところに立っていた。

 人間? にしては綺麗な姿をしている。重力下で生きてこなかったから成せ得た体か?

「……だ、大丈夫?」

 言葉が通じるかわからんが、とりあえずファーストコンタクトを行ってみた。

 首にしている首輪に手を伸ばした。通訳機か?

「現地人かしら?」

「そうだよ。そちらは宇宙人かい?」

 問い返したらびっくりした顔をした。

 そりゃまあ、この世界の文化レベルでは世界って概念もないのに、宇宙とか言ったら驚かれるのも当然だわな。

「……ボクも宇宙人みたいなもの。あなたとは違う星の記憶がある者だ。あなたを害するつもりはない。武器でも身体能力でもあんたに勝てないだろうからな」
 
 ここからでは見えないが、なんか右手に握っている体勢っぽい。あのスーツも強化服みたいなものだろうよ。

「その宇宙船が動くならあちらの方向に向かうといい。大きな町があるから。情報を得て仲間を探すなり、ここで生きるなり好きにしたらいいよ」

 ちょっと寂しかった。一緒に暮らすなら大歓迎だよ!