「んー、なんていうか」
滝川はオレから視線を外し、相田と女子の方を向いた。
すらっとした長身で机に軽く腰掛けている。悔しいが確かに王子様だよな、とは思う。棒読みロミオだけど。
オレは落ち着こうと、水筒のキャップを外して麦茶を一口含んだ。
滝川がニコッと笑って口を開く。
「すっごく美人だよ。発光してるんだ」
ぶーーっ! ごほごほ。今度こそ吹いた。
どっから出て来たその表現。
美人でもないし発光もしてない。発光していいのはかぐや姫と宇宙人と富山のホタルイカだけなんだよ!
相田たちの会話にクラス中が聞き耳を立てている。みんな、滝川たちの方を見ずに肩を震わせている。そりゃ笑うだろうよ。
「ほおおお?!」と女子。
「ひゃっはっは!!」と相田。膝を手で叩いてウケている。
相田が目に涙を浮かべながら突っ込む。
「発光て!」
「だってすごく……。でも、オレがその人をいいなと思ったのは、見た目じゃないんだ」
滝川は、オレに聞かれていると思っているのか(聞いてるが)、キリッとした顔で『好きになった理由は見た目じゃない』を強調してきた。
いや、その強調いらないから! 顔で好かれたとか思ってないから!!
これで、
『付き合っているのは高津』
なんて言おうものなら、クラス中大爆笑だよ。オレが宇宙人って呼ばれるから、富山帰れって言われるから黙っててくれ!
「じゃ、どこよ?」と相田がニヤニヤしている。
頼むから『文芸部と演劇部を掛け持ちしている所がかっこよくて』とか、個人が特定されるようなこと言うなよ。
言うなよ、言うなよ。
「どこって、そりゃーーその」
先生! 早く来てくれ。
キンコンカーンとチャイムが鳴り始める。教室が急にざわつく。
あ、良かった、助かった。
そう思った瞬間、滝川が少し赤い顔で声を張った。
「全部! 全部好きなんだ!」
「ほぉーーっ」
「ひゅーーっ」
教室中から口笛が飛ぶ。素敵じゃん!と女子の声。
机の揺れる音、椅子の引かれる音。前方のドアから教師が入ってくる。
滝川も、クラスメイトたちに振り返られながら自分の席に向かっていく。オレの横を通り過ぎるとき、着席しているオレに視線をあわせてきた。
オレは、なにも聞いていません風な真顔で、教科書を開きながら滝川をチラ見したけどーー
『オレ、全部好きって言えたよ! ほめてよ』とでも言いたそうに、にこっと無邪気に笑われて、慌てて教科書の間に顔を埋めた。
あ、くそっ、オレのバカ野郎! 照れてると勘違いされるじゃないか!
とにかく、早いとこ滝川を掴まえて、クラスメイトにばらさないよう口止めをしないといけない。
と、とりあえずランチに誘おう。
見られないように、ひと気のないところへ!
滝川はオレから視線を外し、相田と女子の方を向いた。
すらっとした長身で机に軽く腰掛けている。悔しいが確かに王子様だよな、とは思う。棒読みロミオだけど。
オレは落ち着こうと、水筒のキャップを外して麦茶を一口含んだ。
滝川がニコッと笑って口を開く。
「すっごく美人だよ。発光してるんだ」
ぶーーっ! ごほごほ。今度こそ吹いた。
どっから出て来たその表現。
美人でもないし発光もしてない。発光していいのはかぐや姫と宇宙人と富山のホタルイカだけなんだよ!
相田たちの会話にクラス中が聞き耳を立てている。みんな、滝川たちの方を見ずに肩を震わせている。そりゃ笑うだろうよ。
「ほおおお?!」と女子。
「ひゃっはっは!!」と相田。膝を手で叩いてウケている。
相田が目に涙を浮かべながら突っ込む。
「発光て!」
「だってすごく……。でも、オレがその人をいいなと思ったのは、見た目じゃないんだ」
滝川は、オレに聞かれていると思っているのか(聞いてるが)、キリッとした顔で『好きになった理由は見た目じゃない』を強調してきた。
いや、その強調いらないから! 顔で好かれたとか思ってないから!!
これで、
『付き合っているのは高津』
なんて言おうものなら、クラス中大爆笑だよ。オレが宇宙人って呼ばれるから、富山帰れって言われるから黙っててくれ!
「じゃ、どこよ?」と相田がニヤニヤしている。
頼むから『文芸部と演劇部を掛け持ちしている所がかっこよくて』とか、個人が特定されるようなこと言うなよ。
言うなよ、言うなよ。
「どこって、そりゃーーその」
先生! 早く来てくれ。
キンコンカーンとチャイムが鳴り始める。教室が急にざわつく。
あ、良かった、助かった。
そう思った瞬間、滝川が少し赤い顔で声を張った。
「全部! 全部好きなんだ!」
「ほぉーーっ」
「ひゅーーっ」
教室中から口笛が飛ぶ。素敵じゃん!と女子の声。
机の揺れる音、椅子の引かれる音。前方のドアから教師が入ってくる。
滝川も、クラスメイトたちに振り返られながら自分の席に向かっていく。オレの横を通り過ぎるとき、着席しているオレに視線をあわせてきた。
オレは、なにも聞いていません風な真顔で、教科書を開きながら滝川をチラ見したけどーー
『オレ、全部好きって言えたよ! ほめてよ』とでも言いたそうに、にこっと無邪気に笑われて、慌てて教科書の間に顔を埋めた。
あ、くそっ、オレのバカ野郎! 照れてると勘違いされるじゃないか!
とにかく、早いとこ滝川を掴まえて、クラスメイトにばらさないよう口止めをしないといけない。
と、とりあえずランチに誘おう。
見られないように、ひと気のないところへ!



