クラスメイトの地味な男子は私が推してるアイドルでした!?

ゆいと別れた帰り道。私は限定グッズを手に入れるため、少し離れた駅前のCDショップに向かっていた。

裏路地のショートカットを歩いていると、不意に路地裏のビル影から綺麗な歌声が聞こえてきた。

アカペラなのに、体の芯に響くような圧倒的な表現力。
このフレーズ、この声の伸び——まさか。

(えっ……嘘でしょ? ルミナスの代表曲「愛しくて」のアカペラアレンジ……!?)

吸い寄せられるように路地を覗き込むと、そこには一人の男が立っていた。

前髪をかき上げ、スマートフォンの画面で振り付けを確認しながら、軽やかにステップを踏んでいる。

メガネは外され、夕日に照らされたその素顔は——

「……っ!?」

心臓が跳ね上がった。通った鼻筋、涼しげで印象的な目元、圧倒的な存在感。リクくんだ。
私が一番推している、あのリクくんがそこにいる。
彼は、変装もせずにダンスの練習をしていた。

「リ、リクくん……!?」

思わず声が漏れてしまった。
彼はビクッと肩を揺らし、目を見開いて私を振り返った。

「しらいし……!?」

彼の口から出たのは、私の名前だった。

え? なんで私の名前を知ってるの?
なんで、認知されてるの!?