夕方、下を向いたままバイト先へ向かう。
駅裏の路地を、わざわざ通る人は少ないので、どうせこの時間は誰も居ないと思い込んで、アスファルトの道を歩く。
誰かの肩にぶつかって始めて、人が歩いていた事を知る。
顔を上げて謝ろうとした刹那、こみあげて来た怒りで自分の表情が歪むのが分かり、相手の胸倉を掴んでいた。
砂子に嫌な思いをさせ、浅黄に乱暴をしようとしたのだろう男達。
その中でもリーダー格である金髪の男は胸付近の洋服を掴まれた事で、おれに敵意を向けている。
手を離し、右手で思いっきり、そいつの頬を殴った。
近くの中華料理店の裏に積んであるゴミ袋の山の方へ吹っ飛んだそいつに、周りの男三人が駆け寄る。
口々に「船堂《せんどう》さんに何しやがる」と叫ぶ男たちを見ながら、あの金髪の男は船堂というのかと冷静に思った。
「謝れよ」
激情的になっているはずなのに、思考は静かで、四人で向かって来られたらまずいと思うのに、言葉が止められない。
「浅黄と砂子にした事、謝れ」
悔しくてたまらなかった。
生まれつき自分の体が男なら良かったと思う反面、船堂達のように、自分が男である事が当たり前の奴の中には、他者に自分の欲求を向けるのは当然で、人を傷つけようと構わない奴が居る事が。
「それとも、謝る事すら出来ないの? 下半身が脳みそみてぇなもんだもんな」
おれの発言に船堂が立ち上がり、右手で殴りかかって来る。
自分の左頬に衝撃が掛かった後、船堂を殴り返した。
お互い、二度、殴り合った後、おれと船堂が睨み合っていると、船堂の周りの男達が船堂を止める。
「人が出て来た。やばいっすよ」
周りの奴に言われて、船堂が辺りに視線を向ける。
この道は通行人が少ないが、いくつか店は立ち並んでいる為、騒いでいると周辺の店の人間が見に来るのだ。
中華料理店だけではなく、クリーニング屋や床屋の、店主やアルバイトが店から出て来て、全員が船堂達に鋭い視線を向けている。
この周辺で、船堂達の評判は良くない。近くの店でバイトをしていたのに、船堂達にしつこくナンパされたせいで、バイトを止めざるを得なくなった女の子も居ると聞く。
「もう二度と来るな!」
逃げるように走って行く船堂達に、中華料理店の店主が言い捨てた。
周りの人が、おれを見て笑ってくれる。みんな船堂達には困っていたのだろう。
騒ぎに気づいて駆けつけてくれた店長は何も言わず、おれの頭に手を置いた。
駅裏の路地を、わざわざ通る人は少ないので、どうせこの時間は誰も居ないと思い込んで、アスファルトの道を歩く。
誰かの肩にぶつかって始めて、人が歩いていた事を知る。
顔を上げて謝ろうとした刹那、こみあげて来た怒りで自分の表情が歪むのが分かり、相手の胸倉を掴んでいた。
砂子に嫌な思いをさせ、浅黄に乱暴をしようとしたのだろう男達。
その中でもリーダー格である金髪の男は胸付近の洋服を掴まれた事で、おれに敵意を向けている。
手を離し、右手で思いっきり、そいつの頬を殴った。
近くの中華料理店の裏に積んであるゴミ袋の山の方へ吹っ飛んだそいつに、周りの男三人が駆け寄る。
口々に「船堂《せんどう》さんに何しやがる」と叫ぶ男たちを見ながら、あの金髪の男は船堂というのかと冷静に思った。
「謝れよ」
激情的になっているはずなのに、思考は静かで、四人で向かって来られたらまずいと思うのに、言葉が止められない。
「浅黄と砂子にした事、謝れ」
悔しくてたまらなかった。
生まれつき自分の体が男なら良かったと思う反面、船堂達のように、自分が男である事が当たり前の奴の中には、他者に自分の欲求を向けるのは当然で、人を傷つけようと構わない奴が居る事が。
「それとも、謝る事すら出来ないの? 下半身が脳みそみてぇなもんだもんな」
おれの発言に船堂が立ち上がり、右手で殴りかかって来る。
自分の左頬に衝撃が掛かった後、船堂を殴り返した。
お互い、二度、殴り合った後、おれと船堂が睨み合っていると、船堂の周りの男達が船堂を止める。
「人が出て来た。やばいっすよ」
周りの奴に言われて、船堂が辺りに視線を向ける。
この道は通行人が少ないが、いくつか店は立ち並んでいる為、騒いでいると周辺の店の人間が見に来るのだ。
中華料理店だけではなく、クリーニング屋や床屋の、店主やアルバイトが店から出て来て、全員が船堂達に鋭い視線を向けている。
この周辺で、船堂達の評判は良くない。近くの店でバイトをしていたのに、船堂達にしつこくナンパされたせいで、バイトを止めざるを得なくなった女の子も居ると聞く。
「もう二度と来るな!」
逃げるように走って行く船堂達に、中華料理店の店主が言い捨てた。
周りの人が、おれを見て笑ってくれる。みんな船堂達には困っていたのだろう。
騒ぎに気づいて駆けつけてくれた店長は何も言わず、おれの頭に手を置いた。
