バイト先に居たおれに会いに来た砂子が怒っていた事が有る。
浅黄と店を出て行った男達は、砂子を口説こうとし、勝手に砂子の体を触って来ようとしたそうだ。
砂子は「他の女の子にも似たような事をしていると思う。女の子が嫌がっているようなら、助けてあげて」と、おれに話してくれた。
息が切れるほど走った頃、この付近に突き当りが有る事を思い出す。
走り過ぎて痛み始めた横っ腹を押さえながら、行き止まりを目指した。
壁に背を預けて座り込み、一人で俯いている少女を見つけて、「浅黄!」と声を上げる。
黄色いカーディガンを半端に脱がされた浅黄は、刃物で切り刻まれたようになっている白いTシャツから素肌を覗かせながら、「鴇さん……」と顔を上げた。
きちんとベルトが閉められたままのジーンズを身に付けた太ももの上に、はだけたTシャツの白い布が掛かっている。
はっきり見える浅黄の胸元を見て、躊躇した。
今の浅黄は、どう見ても、おれには顔の綺麗な男の子にしか見えない。
「あの人達も、騙しやがってと言いました。やっぱり人は、見た目でしか判断してくれないのかな」
何も言えないおれを見た浅黄が、ため息をつく。
「世の中は馬鹿ばっかりに見えるのに、どうしてその馬鹿相手に愛想を振りまかないと生きて行けないんだろう。疲れた」
浅黄は、おれの戸惑いに気づいたようで、すれ違うようにして、おれの真横を通り過ぎる
おれは、浅黄を後ろから抱き締めた。
「彼女は無理かもしれない。でも、友達にならなれる」
自分の体から、おれの腕を外して、「友達なんて要らない」と浅黄が笑う。
「私がどんな姿をしていても、女の子だと言ってくれる人に出会いたい。でも、鴇さんには無理でしょ?」
言葉に詰まる。浅黄は、おれを見限ったのだ。
「私を女の子だと思ってくれる人なら、誰でも良かったけれど、そんな人居なかったし、誰かに着いて行っても空しいだけだから、もう止める」
後ろ姿のままの浅黄が「さようなら」と、おれに最後の言葉をくれた。
どんどん小さくなっていく浅黄の姿を見ながら、今までおれが振った彼女達も、こんな気持ちだったのかなと思う。
もう要らないと一方的に言われる事が、どれだけ相手を傷つけるか、おれはようやく理解した。
浅黄と店を出て行った男達は、砂子を口説こうとし、勝手に砂子の体を触って来ようとしたそうだ。
砂子は「他の女の子にも似たような事をしていると思う。女の子が嫌がっているようなら、助けてあげて」と、おれに話してくれた。
息が切れるほど走った頃、この付近に突き当りが有る事を思い出す。
走り過ぎて痛み始めた横っ腹を押さえながら、行き止まりを目指した。
壁に背を預けて座り込み、一人で俯いている少女を見つけて、「浅黄!」と声を上げる。
黄色いカーディガンを半端に脱がされた浅黄は、刃物で切り刻まれたようになっている白いTシャツから素肌を覗かせながら、「鴇さん……」と顔を上げた。
きちんとベルトが閉められたままのジーンズを身に付けた太ももの上に、はだけたTシャツの白い布が掛かっている。
はっきり見える浅黄の胸元を見て、躊躇した。
今の浅黄は、どう見ても、おれには顔の綺麗な男の子にしか見えない。
「あの人達も、騙しやがってと言いました。やっぱり人は、見た目でしか判断してくれないのかな」
何も言えないおれを見た浅黄が、ため息をつく。
「世の中は馬鹿ばっかりに見えるのに、どうしてその馬鹿相手に愛想を振りまかないと生きて行けないんだろう。疲れた」
浅黄は、おれの戸惑いに気づいたようで、すれ違うようにして、おれの真横を通り過ぎる
おれは、浅黄を後ろから抱き締めた。
「彼女は無理かもしれない。でも、友達にならなれる」
自分の体から、おれの腕を外して、「友達なんて要らない」と浅黄が笑う。
「私がどんな姿をしていても、女の子だと言ってくれる人に出会いたい。でも、鴇さんには無理でしょ?」
言葉に詰まる。浅黄は、おれを見限ったのだ。
「私を女の子だと思ってくれる人なら、誰でも良かったけれど、そんな人居なかったし、誰かに着いて行っても空しいだけだから、もう止める」
後ろ姿のままの浅黄が「さようなら」と、おれに最後の言葉をくれた。
どんどん小さくなっていく浅黄の姿を見ながら、今までおれが振った彼女達も、こんな気持ちだったのかなと思う。
もう要らないと一方的に言われる事が、どれだけ相手を傷つけるか、おれはようやく理解した。
