翌日、約束の時間に来てくれたヒカリは、以前と比べ少し痩せていたけれど、その表情には笑顔がみられた。それだけで諦めず誘ってよかったと嬉しくなる。
最初は周囲を気にする素振りを見せていたヒカリだったけれど、予想通り、同年代のいない公園では気兼ねなく遊べた。
遊具エリアから聞こえる子供の無邪気な声に、風に揺れる葉の擦れる音。散歩中の犬やお年寄りが時折近くを通るものの、比較的人の来ない静かな一角。
日当たりのいい木の机にビーズやチャームなんかのキラキラの材料を転がして、宝探しのように組み合わせてオリジナルデザインのめじるしアクセサリーを作りながら、わたしたちは以前と変わりなく穏やかに話すことが出来た。
「できた~! やば、めちゃくちゃかわいいよね!?」
「ええ、とっても。……ふふ、宝物が出来たわね」
トップにはお揃いの型で作ったレジンの猫チャームをつけて、周りにはそれぞれの好みのパーツをつけた。わたしは水色、ヒカリはピンクベースで、よりペア感がある。そして猫の隣に、わたしは小さな紙飛行機のチャームを添えた。
「えへへ……わたしの、宝物」
最後に白いシリコンの輪っかをつけて、試行錯誤の末に仕上がった世界に一つだけのめじるしアクセサリー。
太陽の光にかざすとキラキラと輝いて、とても可愛かった。
ちらりと横目に見ると、ヒカリも同じように掲げて、満足そうに笑みを浮かべていた。
「ねえ、ヒカリ。明日、これつけて学校行こうよ!」
「え……でも……」
「あっ、でも明日は暑くなるらしいから……つけるのは傘じゃなくてさ、ハンディファンとかペットボトルにでもいいよね。手元にあった方がいいし!」
「そう……ね。手元にあれば、教室でもアヤミがそばにいてくれる気がするものね」
「うん! めじるしだけじゃなくわたし本体も、休み時間や放課後に会いに行くよ!」
「ふふ……なら、明日は行こうかしら」
「ほんと!? やった、約束ね!」
今日の遊びがいい気分転換になったのか、ヒカリは明日の登校を約束してくれた。無理強いはよくないと知りつつ、わたしはやっぱりヒカリと学校に行きたいのだ。嬉しくなって、お揃いのめじるしアクセサリーを乾杯のようにぶつけ合う。
お互い笑い合って、あとは買ってきたお菓子やジュースを片手に、夕暮れの中穏やかな時間を過ごす。
最近あった学校のことや、飼い猫のこと。最近気になる、三雲先生に少し似ている好きなアイドルの話をして、暗くなる前に公園を出て、分かれ道で手を振って別れる。
テーマパークやカラオケみたいな定番の遊びとは違っても、お互いがいれば十分だ。久しぶりにゆっくりヒカリと過ごしてあらためて感じる。やっぱりふたりの時間は何よりも楽しかった。
「それじゃあ、ヒカリ。今日は楽しかった、来てくれて本当にありがとう! また明日ね!」
「……ええ、また明日」
また明日。そんな当たり前のような挨拶を交わせるのが嬉しくて、わたしは何度も何度も振り返って、ヒカリの後ろ姿が見えなくなるまで手を振り続けた。



