拝啓、最愛の君へ。

時計を見ると夜の11時。

書いた文章を見直してペンを机の上に置く。

この時間まで俺が書いていたもの。それは"遺書"だ。

遺書というと自殺するのかと勘違いされそうだが、自殺するつもりはない。

(自殺なんてしたら姉さんに申し訳ないし。)
俺は7年前にこの世を去った姉さんの事を思い浮かべていた。

ちょうど姉さんが亡くなったのは姉さんの14歳の誕生日の事だった。

突っ込んで来た車から俺を助けようとして代わりに犠牲になった。

だからこそ、誰かの誕生日が来ると怖くなる。
いつ大切な人が居なくなるかわからないのだと。

今日は、大切な恋人の洸の誕生日だ。
だから俺は思った。もし俺が死ぬような事があっても洸が前を向けるように準備しておこうと。

姉さんが死んだ時俺のそばには洸がいた。
洸がいたからこそ立ち直れたし後追いなんてしたら姉さんに申し訳なくないのかと言って目を覚ましてくれたのも洸だ。

ただ、俺が死んでしまったらそばにいてやれない。
それに、俺にとっての洸のような人が居るとも限らない。

仮に俺が死んだら俺のせいで、洸の残りの人生が悲しいものになるなんて許せない。

そんな事を考えながらベットに入った。

洸のこれからの人生に俺は居たい。
けれど、誰しもずっといるとは限らない。

だから、この手紙がもしもの時洸の支えになりますように。そう願って俺はまぶたを閉じた。