拝啓、最愛の君へ。

「翔。会いにきたぞ。」

翔が死んでから6年。
俺は翔のお墓参りに来ていた。

俺は今年から葬儀場で働いている。
今、この仕事をしているのは翔のお葬式に出た時に興味をもったからだ。

「俺もついに社会人だよ。お前が生きてたらどんな仕事してたんだろうな。」

翔は勉強も得意だったし、ピアノも上手だった。
もしかしたらピアニストになっていたかもしれない。

「おばさん、最近ガーデニング始めて楽しそうだぞ。」

落ち込んでいたおばさんも最近は楽しそうな表情が増えてきて俺も少しほっとしている。
翔も少しは安心できているだろうか。

「みんな前に進み始めてるんだ。俺も、もっと頑張んないとだよな。俺、頑張れてるか?」

翔のお墓に来るたびに俺は、頑張れているのか心配になる。
そう思うと返事がない事が分かっていても尋ねてしまう。

「翔が安心出来るように頑張るから見ててな。」

そう言った瞬間、風がぶわっと俺の背中を押すように勢いよく吹いた。

『洸なら平気。頑張ってね。』と翔の声が聞こえた気がした。

「また、来る。」

泣きそうになったのをぐっとこらえて翔のお墓に白いカーネーションと桔梗を置いてその場を後にした。

次に来る時には、胸を張って頑張ったと言えるようになりたい。

そう思った。