薔薇の心中〜傾国の華は真実を嗤う〜

昔々、中華の縁国の花街にそれはそれは美しいもの揃いの最も格式の高い妓楼──薔薇楼(ソウビろう)があった。
その中に飛び切り容姿がずばぬけた「蝶よ花よ」と謳(うた)われた最高位の妓女がいる。傾国の華──と称されていた。

漆(うるし)のような長い艶(つや)のある髪、誰もが目を引く美貌(びぼう)。心を揺さぶる悲しい瞳(ひとみ)、美しくしなやかな身体(からだ)。白く、おしろいの必要のない肌。

全てが重なり合い、人とは思えぬ妖艶な綺麗さと儚くなりそうで、どこかまだ幼い顔立ちの可愛らしさ。国が傾くとまで言われた美しさを持つ少女は人間にあたった光の影を映す。