春が来て、晴れて私は高校生になった。初めは慣れないこともたくさんあったけど、2週間くらい経つと自然と慣れてきた。今日から部活動体験が始まるらしいけど、何部に入ろうかな。
「ねえねえ凪彩ちゃんは何部考えてる?」
この子は席が前後で仲良くなった翠(すい)ちゃん。翠ちゃんも中学の頃はバスケ部に入ってたらしい。と言っても地区が違ったからほとんど試合したことがなくて、翠ちゃんは私がバスケ部だったことを知らない。
「うーん、本読むのとか小説書くのとか好きだから文芸部入ろっかなって考えてる」
「そうなんだ、いいね文芸部。中学は何部入ってたの?」
来た、聞かれると思ってた質問が。聞かれるだろうと予測して考えに考え抜いた末、こうやって答えることに決めた。
「中学のときは卓球部の幽霊部員やってたよ」
うちの中学からこの高校に来た生徒はほとんどいない。このウソがバレる心配はほとんどない。私がボロを出さなければ…
「そっか、卓球部ね。なんかぽいわ」
何を納得したのか、翠ちゃんは1人で頷いている。
「私はもちろんバスケ部入るよー。そんなに上手じゃないけどね」
「かっこいいねバスケ部」
「ふふふ、ありがと」
翠ちゃんは嬉しそうに笑った。
私たちが入学してもうすぐ1年。時間経つのが早すぎる、高校生になってからそんなことを思うようになった。今日は金曜日。重いリュックを背負いながら教室を出て、体育館を通り過ぎようとしたとき、中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。翠ちゃんだ。
「ナイスディフェンス!ナイスシュート!」
先輩たちに負けない声量で頑張っている。
「楽しそうだな。。。」
いつのまにかそんな声が漏れていた。でもだめだめ。もうバスケはしないって決めたんだから。また妬まれて陰で悪口言われるのは嫌だ。その日はイヤホンで音楽を聴きながら一直線に家に帰った。
それから1週間が経ち、今日は土曜日。私は今隣の高校の体育館の前にいる。昨日、他クラスの男バスの子が明日練習試合があると言っていたのを偶然耳にして結局来てしまった。来たところで自分を追い詰めるだけだとはわかっていたのだけど。でも見るだけなら、まだバスケを少しは好きでいられるかもしれない。そう思って足を運んだ。女バスも練習試合があると言っていたから、見に行ってみようかと思ったけど、翠ちゃんに見つかったら絶対声かけられると思ってやめた。でも、男バスには知り合いはいないから今日見に来てても大丈夫。この時はまだそう思っていた。
最終クォーター残り8分、うちの学校は出ていたメンバー5人とも交代した。おそらく、ある程度点差がついていたから1年生を出すことにしたのだろう。交代で出てきた5人の中に見覚えのある人物を見つけた。え?中学の同級生咲月と双子の瑞樹くんだった。バスケの強い高校行ったはずじゃなかったの?私が困惑している間もおかまいなくゲームは進んでいく。咲月そんなこと一言も言ってなかったのに。その瞬間、コートに立つ瑞樹くんと目が合ったような気がした。いや、おそらく気のせいだろう。こっちは私服だし、今日はコンタクトじゃなくて眼鏡だし、こんなに観客がいるのだから気づくはずがない。とはいえ、もし気づかれていたら困るから、試合が終わってすぐ私は会場を後にした。咲月に瑞樹くんバスケで高校行くんじゃなかったの?って聞きたかったけど、スマホを買ってからいろいろ忙しくて一回も咲月に会えなかったから連絡先持ってないんだった。くそ。
「ねえねえ凪彩ちゃんは何部考えてる?」
この子は席が前後で仲良くなった翠(すい)ちゃん。翠ちゃんも中学の頃はバスケ部に入ってたらしい。と言っても地区が違ったからほとんど試合したことがなくて、翠ちゃんは私がバスケ部だったことを知らない。
「うーん、本読むのとか小説書くのとか好きだから文芸部入ろっかなって考えてる」
「そうなんだ、いいね文芸部。中学は何部入ってたの?」
来た、聞かれると思ってた質問が。聞かれるだろうと予測して考えに考え抜いた末、こうやって答えることに決めた。
「中学のときは卓球部の幽霊部員やってたよ」
うちの中学からこの高校に来た生徒はほとんどいない。このウソがバレる心配はほとんどない。私がボロを出さなければ…
「そっか、卓球部ね。なんかぽいわ」
何を納得したのか、翠ちゃんは1人で頷いている。
「私はもちろんバスケ部入るよー。そんなに上手じゃないけどね」
「かっこいいねバスケ部」
「ふふふ、ありがと」
翠ちゃんは嬉しそうに笑った。
私たちが入学してもうすぐ1年。時間経つのが早すぎる、高校生になってからそんなことを思うようになった。今日は金曜日。重いリュックを背負いながら教室を出て、体育館を通り過ぎようとしたとき、中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。翠ちゃんだ。
「ナイスディフェンス!ナイスシュート!」
先輩たちに負けない声量で頑張っている。
「楽しそうだな。。。」
いつのまにかそんな声が漏れていた。でもだめだめ。もうバスケはしないって決めたんだから。また妬まれて陰で悪口言われるのは嫌だ。その日はイヤホンで音楽を聴きながら一直線に家に帰った。
それから1週間が経ち、今日は土曜日。私は今隣の高校の体育館の前にいる。昨日、他クラスの男バスの子が明日練習試合があると言っていたのを偶然耳にして結局来てしまった。来たところで自分を追い詰めるだけだとはわかっていたのだけど。でも見るだけなら、まだバスケを少しは好きでいられるかもしれない。そう思って足を運んだ。女バスも練習試合があると言っていたから、見に行ってみようかと思ったけど、翠ちゃんに見つかったら絶対声かけられると思ってやめた。でも、男バスには知り合いはいないから今日見に来てても大丈夫。この時はまだそう思っていた。
最終クォーター残り8分、うちの学校は出ていたメンバー5人とも交代した。おそらく、ある程度点差がついていたから1年生を出すことにしたのだろう。交代で出てきた5人の中に見覚えのある人物を見つけた。え?中学の同級生咲月と双子の瑞樹くんだった。バスケの強い高校行ったはずじゃなかったの?私が困惑している間もおかまいなくゲームは進んでいく。咲月そんなこと一言も言ってなかったのに。その瞬間、コートに立つ瑞樹くんと目が合ったような気がした。いや、おそらく気のせいだろう。こっちは私服だし、今日はコンタクトじゃなくて眼鏡だし、こんなに観客がいるのだから気づくはずがない。とはいえ、もし気づかれていたら困るから、試合が終わってすぐ私は会場を後にした。咲月に瑞樹くんバスケで高校行くんじゃなかったの?って聞きたかったけど、スマホを買ってからいろいろ忙しくて一回も咲月に会えなかったから連絡先持ってないんだった。くそ。


