ショットクロックが動くまで

それからというもの、私は志望校を大幅に変更して、県内トップの公立の進学校を目指すことにした。顧問の先生には、せっかくスカウトされたんだから私立の強豪校行けばいいのにと何回も言われたが、私は他にやりたいことができたからと言って断った。本当は海咲たち女バスメンバーが強豪校へ行くという話を聞いて、もし私も強い学校でバスケ部に入ったら練習試合やら公式戦やらで顔を合わせることになるのは当たり前で、それは避けたいと思ったから。もう会いたくない。それに、お兄ちゃんがその高校に通ってて楽しそうだったし。
咲月も最初は驚いていた様子だったが、最終的には凪彩が決めたことなら応援するって言ってくれた。
その日から、勉強漬けの日々が始まった。私の今の実力だと受かる確率は五分五分。あと半年で特に苦手な数学の点数を上げていかないといけない。中3になってから、数学の点数が下がり始めた。これまでなら学校の定期テストでも模試でも9割は毎回取れていたのに、最近は8割しか取れない。図形の証明問題の当たり外れによっては7割台まで落ちることもある。塾の先生に相談すると、基礎ができていないわけではないから、ひたすら演習だねって言われて、過去問を解きまくる毎日。そんなこんなで気づけば受験当日。できることはやった。あとはそれを出すだけ。私ならできる、絶対できる。そう思いながら受験会場に向かった。

「ただいまー」
「おかえり凪彩。どうだった?できた?」
無事入試が終わり帰宅。生姜焼きのにおいがするリビングからお母さんが出てきた。
「うん、結構できたよ。受かってるはず」
「そう!!お疲れ様」
合格発表まであと1週間。毎日ドキドキが止まらない。受かっているだろうとは思いながら、内心ちょっと心配していた。もし、落ちてたら?いやいや受かってるでしょ。そんなことを毎日考えていたら合格発表当日になった。最近は感染症の影響で、スマホから合否が見られるようになっている。お兄ちゃんのときは、高校まで見に行かないとだめだったけど、それって落ちた人かわいそすぎん??インターネットのほうが絶対いいって。
「凪彩ー、もうすぐ9時よ」
「わかってるって」
呑気にテレビを見ていたらお母さんに声をかけられた。合格発表は9時から。私は急いでタブレットを開く。あと、30秒。20,10、3、2、1 
「9時になった!!」
画面に合格者の受験番号がずらりと並ぶ。私の番号は0082。0060まで来た。0077、0080。肩に力が入る。0081、そしてゆっくりスクロールすると、、、
「0082あった!!」
私の声を聞いてお母さんが笑顔で部屋に入ってきた。
「受かったの?おめでとう、頑張ったね。これでスマホGETだね」
そう、うちの家ではスマホは高校生から。お兄ちゃんも、第一志望受かってやっと買ってもらってた。
「じゃあ学校まで書類もらいに行こか」
「うん!!」
「お父さん仕事午前だけって言ってたから、午後からお父さんとスマホ買いに行ってらっしゃい」
「は〜い」
その後、お母さんと学校まで行って書類をもらい、午後からお父さんとスマホを買いに行った。最新機種のiPhoneゲット!!