怒りを堪え、深呼吸をする女官長。
「とりあえず、今はお二方のお祓いが先です。これ以上陛下をお待たせするわけにも参りません。さ、神祇伯様、始めますわよ。お二方も、こちらの祓所へ移動をお願いします」
美津子と咲夜の二人は、祓所へ移動させられる。
祓所はお祓いのための部屋。
清浄を保つためのお香が焚き染められ、四隅には清めの塩が盛られている。
「こちらの敷物の上にお座りください、それから神祇伯様がよいとおっしゃるまで目を閉じてください」
二人は、敷物の上に並んで座る。
目を閉じれば周りの景色は一切見えない。
大幣が揺れる音、気配だけが感じられる。
「祓い給え、清め給え」
清めの言葉が聞こえる。
二人が緊張しながらしばらくじっとしていると、やがて声がかかる。
「儀式は終わりました。もう目を開けていただいてよろしいですよ」
二人が恐る恐る目を開くと、そこに大幣を持った神祇伯がいる。
次の部屋はいよいよ謁見の間。
帝がおはす、この国で最も神聖な場所。
女官長は、襖を開ける。
「美津子様、咲夜様、ご入室なされます」
二人は自分の足音にさえ気を付けながら伏目がちに一歩ずつ進む。
襖を抜けた先の部屋は前の部屋より一段と薄暗い。静寂に満ちている。
二人は席に着き、衣の裾を整えながら、深く伏す。すると部屋の奥の御簾から声がかけられる。
それは紛れもなく高貴なる帝の御声であった。
「面を上げよ」
その声と共に二人はゆっくりと顔を上げる。
奥にある灯篭の明かりが帝の姿を御簾に映す。
影しか見えない。表情すらうかがい知れぬこの状況で、ただ、圧倒的な存在感だけが目の前にある。
「……また厄介な人形が増えたか……余は、お前たちのように人形になるつもりはない。ゆえにお前たちを愛することも無い」
続けて吐き出されたのはあまりに冷たい言葉。
「他に用事も無いのなら、これにて下がれ」
謁見が始まってすぐ、まともに言葉を交わすまでもなく追い返されようとする二人。
いつの間にか陛下の気に障るような失態を犯してしまったのだろうか。美津子も咲夜も恐ろしさのあまり、声も出せずに固まってしまう。
「とりあえず、今はお二方のお祓いが先です。これ以上陛下をお待たせするわけにも参りません。さ、神祇伯様、始めますわよ。お二方も、こちらの祓所へ移動をお願いします」
美津子と咲夜の二人は、祓所へ移動させられる。
祓所はお祓いのための部屋。
清浄を保つためのお香が焚き染められ、四隅には清めの塩が盛られている。
「こちらの敷物の上にお座りください、それから神祇伯様がよいとおっしゃるまで目を閉じてください」
二人は、敷物の上に並んで座る。
目を閉じれば周りの景色は一切見えない。
大幣が揺れる音、気配だけが感じられる。
「祓い給え、清め給え」
清めの言葉が聞こえる。
二人が緊張しながらしばらくじっとしていると、やがて声がかかる。
「儀式は終わりました。もう目を開けていただいてよろしいですよ」
二人が恐る恐る目を開くと、そこに大幣を持った神祇伯がいる。
次の部屋はいよいよ謁見の間。
帝がおはす、この国で最も神聖な場所。
女官長は、襖を開ける。
「美津子様、咲夜様、ご入室なされます」
二人は自分の足音にさえ気を付けながら伏目がちに一歩ずつ進む。
襖を抜けた先の部屋は前の部屋より一段と薄暗い。静寂に満ちている。
二人は席に着き、衣の裾を整えながら、深く伏す。すると部屋の奥の御簾から声がかけられる。
それは紛れもなく高貴なる帝の御声であった。
「面を上げよ」
その声と共に二人はゆっくりと顔を上げる。
奥にある灯篭の明かりが帝の姿を御簾に映す。
影しか見えない。表情すらうかがい知れぬこの状況で、ただ、圧倒的な存在感だけが目の前にある。
「……また厄介な人形が増えたか……余は、お前たちのように人形になるつもりはない。ゆえにお前たちを愛することも無い」
続けて吐き出されたのはあまりに冷たい言葉。
「他に用事も無いのなら、これにて下がれ」
謁見が始まってすぐ、まともに言葉を交わすまでもなく追い返されようとする二人。
いつの間にか陛下の気に障るような失態を犯してしまったのだろうか。美津子も咲夜も恐ろしさのあまり、声も出せずに固まってしまう。
