咲姉と恵実ちゃん、優貴くんにさよならをして、わたしはすっかり日が落ちた道を歩く。
ずっとしまっていたスマホを取り出せば、画面には出雲と恭介からのメッセージがあった。恭介からは、『ごめん』とだけあった。それだけだけど、恭介が何を思ったのかは伝わってくる。恭介も、わたしと同じように胸に渦巻くなにかがあったのだろうか。苦しくて辛くて、何かの形で吐き出さないと石になって胃に溜まっていくような、なにかが。それを助けられるのは、わたしかもしれないし、わたしじゃないかもしれない。わたしは「だいじょうぶだよ」と同じく短いメッセージを送った。
次に開いた出雲からのメッセージは、『調子、大丈夫?』というものだった。絵文字もスタンプもないそれは、だけど、わたしをいたわる気持ちがあふれている。
わたしは、深呼吸をする。そして、アプリから通話を選択した。出雲はすぐに電話に出てくれて、「もしもし!?」と珍しく焦ったような声で言った。
『笹倉、よかった……既読つかないから、心配してた』
「ごめんね、出雲」
安堵の息と共に呟かれた言葉に、わたしは素直に謝罪する。そして同時に、一つのお願いを彼にした。
「話したいことがあるの」
だから、今から会いたいと。突然のわたしの言葉に、出雲は一瞬言葉に詰まったようだった。だけどすぐに、いつもの調子で『わかった。待ち合わせ、通学路の朝日公園でいい?』と言ってくれた出雲に、わたしは泣き笑いの顔になったのを自覚する。
好きだよ、出雲。だから二人で、これからの話をしよう。
一歩を踏み出す。夏の夕焼けに染まった世界がうそみたいに綺麗に見えて、今日はいい日だとわたしは小さく呟いた。
