光岡くんとは同じ窓



 次の日から、わたしはすぐ近くにいるはずの光岡くんを避けるようになってしまった。
 朝のあいさつですら、早めに登校して光岡くんが現れる頃に席を外す。朝のホームルームが始まる頃に席に戻るから、あいさつすらしないことが多かった。
 でも、安心して逃げ回っていられるのも最初の内だけだった。次第に焦りを覚えたのは、光岡くんが着実にツーショット写真を撮り続けているせいだ。
 光岡くんは休み時間になる度に、廊下に出て声をかける。
「はい。こっち向いて」
「大丈夫だって! 変な顔しても何度も撮り直せばいいんだからさ!」
 持ち前の明るさで、あまり関りがなさそうな生徒とも撮影を成功させていた。思わず見てしまうけれど、光岡くんがこっちを見そうになったら慌てて顔をそらした。
 気づかれたら、きっと米原さんも写真を一緒に撮ろうと声をかけられてしまう。そのまま何も見なかったふりをして早歩きで遠ざかる。
 写真を撮ってしまえば終わりだ。きっとわたしは上手く笑えなくて、それでも光岡くんは褒めてくれる。そして、転校の日に別れを告げてみんなと一緒に見送る。
 そんな未来が簡単に想像できた。いつになるか分からないけれど、それでも無駄なあがきで先延ばしにしようと光岡くんから逃げていたんだ。