光岡くんとは同じ窓


 午前中の授業が終わると、わたしはお弁当を友人たちと食べる。
「あれ?」
「どうしたの、万里」
「うん。水筒、入れ忘れたみたい。ちょっと飲み物買ってくるね」
 小銭入れを鞄から取り出して立ちあがった。階段を下りて、自動販売機が置かれている渡り廊下に向かう。
 体育館に続く渡り廊下では、バスケットボールを持つ男子生徒が立ったままパンを食べていた。
 その中に光岡くんもいることを目の端で確認する。焼きそばパンを食べていた。
 教室にはいないと思っていたけれど、こんなところで食べていたんだ。
 もっとしっかり見たいけれど、光岡くん以外の男子の方が先にわたしに気づきそう。自動販売機で飲み物を買うために背を向ける。
 悪いと思いつつ、飲み物を買うのに迷っているふりをして会話に耳を澄ました。
「なあ。あれ、どうなった?」
「うん? 順調といえば順調だけど。三分の一くらいかな」
「結構行っているな。でもさ。レアキャラ説得するの難しくないか?」
「レアキャラって……。まあ言いたいことは分かるけどさ」
 光岡くんがしているゲームの話かな。スマホのゲームだろうか。
 わたしはゲームには詳しくない。もし、詳しくても光岡くんと話すなんて出来ないけれど。でも、少しだけ光岡くんの世界を覗けた気がした。ミルクティーと迷っていたところをコーヒー牛乳のボタンを押す。
 出て来たパックを持って離れるときも横目で見てみたけれど、他の男子に隠れて見えなかった。