白い半袖シャツのクラスメイトたちがいる教室の中は、なんだか眩しく見える。窓から見える樹々の葉も瑞々しくて涼しそう。
そんなことを思うのは、きっとわたしが五日ぶりに学校に出て来たからだ。
休んでいる間に衣替えがあり、クラスメイトたちは長袖から半袖に変わっていた。わたしも着ている糊のきいた半そでのシャツも、清潔感のある風が通り抜けていくようだ。
「万里。もう風邪大丈夫なの?」
「おはよう。うん。もう全快」
わたしは鞄を机に置いて笑顔で振り返る。友達は病み上がりのわたしを気遣ったように声を落としていた。
学校を休んでいたと言っても、一昨日には風邪は治っていた。お母さんに止められたことをLINEで伝えていたけれど忘れられたのだろう。
心配してくれた友人も一人だけ。他の友人たちはおしゃべりに夢中だ。
慣れた高校二年生の教室だというのに、相変わらず教室の隅が定位置のようだ。
「おはよう! 光岡!」
「光岡くん、おはよう!」
振り返ると、教室のドアで手厚い歓迎を受けている人物が入ってきている。
光岡慎太くんだ。登校してくるなり、挨拶のシャワーを受けていた。光岡くんもひとりひとりに八重歯を見せた笑顔を返している。
彼がいる場所はいつも明るい日向に見えた。
「米原さん、おはよう」
「……おはよう、光岡くん」
光岡くんは右斜め前の席で、登校して近くにわたしがいたら話しかけてくれる。
「風邪治ったんだ。季節の変わり目だし、風邪っぽいって俺の母さんも言ってた」
「そうなんだ」
挨拶だけじゃなくて、話しかけてくれている。ほんの世間話のようなことでも、わたしは上手く言葉を返せなくて口を小さく動かしていた。
「みつーおーかー。あのさ」
会話はほんの一瞬のことで、近くに来たクラスメイトにすぐに興味は移される。彼の世界から切り離されて、ほっとしたような、残念なような不思議な心地だ。
それでも、五日分教室から切り離されていた心が一気に満たされた気がした。


