ハッピーエンドバター

 自分のクラスに戻ってから椅子に座り頭を抱えた。あれから葉山美鈴たちはどうなったんだろう。わたしの発言がグループ崩壊のきっかけになったりしたりなんかしたら、と考えれば考える程に心臓が痛くなる。それに、と思う。ようやく薔薇色の高校生活を手にしたばかりなのだ。どう考えたってわたしはついていた。こんなにも短期間でこのカーストの位置を手に出来る女の子はそうはいない。わたしの居場所。わたしの世界。もう絶対に手放したくない。きっと、この感情は大人には分からないだろう。かつては自分も通ってきたはずなのに、皆忘れてしまっている。わたしたち高校生が生きる世界は繊細で残酷だからこそ、ほんの些細な出来事ひとつで世界がひっくり返ってしまうということを。

「莉子」

 ふいに声がして、振り返る。櫂が不思議な生き物をみるかのような目でわたしをみていた。

「なに?」
「なんかあった?」
「どうして分かるの」
「いや、目の前で頭抱えてる人間をみたら誰でもそう思うだろ」

 したり顔で指をさされ、ああなるほどと納得をする。

「昼休み、食堂いける?」

 問いかけると、櫂は「おう」と頷いた。