クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った

 翌日……朝食を食べて身支度を整えてから中継地点の町を出発した。

 この町から次の町までは100キロ離れており、普通の旅人は道中にある複数の村で宿泊していくらしいが、そこは普通にスルー。

 その隣の町も行程的に飛ばせると判断して、移動をしていった。

 すると途中で大きな河川にぶつかった。

 河川の広さは数キロにも及び、巨大な運河ともいえる。

 ミンナ曰く、ここから北に向かえば大きな湖に、南に向かえば海へと出るらしいが、アリスが魔法で飛行できるので、俺を背負って、他の人達は捕獲状態で対岸まで渡れば40キロ近くの距離の短縮ができるとのこと。

「ちょうど一息つける場所だし……新しく覚えた技の確認をしてみるか」

「ん? レベルアップしてたの?」

「まーね」

 賊を倒してのレベルアップしたこと伝えてなかったな……いっけね……。

「とりあえず、新しく覚えた技はクリエイティブモードっていうのだ」

「「『クリエイティブモード?』」」

 ミンナ、マリー、そしてアリスの3人には馴染みが無い言葉だろう。

「ゲームとかで自由に物資を使ったり、建築できるモードだよね?」

「そうそれ……たぶん物資は生み出したりすることはできないだろうけど、インベントリの素材を自由に置けたりする技だと思うけど……」

 実際に俺がクリエイティブモードを使ってみると、俺の体が薄くなった。

「わ! ゴーストみたいになった」

「こっちの声は聞こえるか?」

「聞こえるよ」

 体が薄くなっても声は普通に聞こえるらしい。

 藤原さんに俺の体に触れられるか試してみると、すり抜けた。

 ミンナに低威力の魔法攻撃をしてもらったが、それもすり抜けた。

 俺から逆に何かに触れようとしてもすり抜けるっぽい。

 藤原さんの肩に触れようとしてもすり抜けてしまって駄目。

 ただ浮かび上がる事が出来て、スーッと天高くまで上昇し、雲よりも上に行っても、空気が薄くて苦しいって感じは無い。

 地面に降りて、地中もすり抜けられるか試してみると、数メートルは潜ることができたが、真っ暗で自分の位置が分からなくなるし、その状態でクリエイティブモードを解除すると地上に弾き飛ばされた。

「地中に潜るのは無理っぽいけど、壁抜けとかはできるっぽいな」

 で、クリエイティブモードでインベントリの物は置けるっぽくて、穴を掘るで土をインベントリの中に入れて、それを地面に置くと、四角いキューブ状態か、平べったいハーフブロック状態、薄く敷くカーペットみたいな状態に量を分けて置くことが出来た。

 これ作るで土壁にしてから設置してみたら簡単に置くことが出来た。

 木材で設置してみたら、接続部分がガッチリ組み合っており、家造りとか凄い楽になりそう。

「よっと……いや、これヤバいのクリエイティブモードだと物理も魔法攻撃も無効になれるのに、仲間のモンスターは出し放題って言うのがヤバい」

 クリエイティブモードだと物体に干渉することはできないが、技を経由することで壁を作ったり、穴を掘ったりすることはできるので、色々無法な技を思いつくことができるし、もしダンジョンとかで床抜け、壁抜けができるってことはトラップをほぼ無効化できるということである。

 隠し部屋のギミックとかを無視して突破可能……なんならボスとかを倒さないで先に進めたり、ジパングのダンジョンは地下に繋がっているってミンナが言っていたし、この前買った攻略本にも書かれていたから……床抜けで地下の移動を短縮できてしまう。

「あーあ、神様やっちゃったなぁ……異世界生活ぶっ壊れたわ……」

 あかんでしょ……攻撃無効でやりたい放題するのは……。

 そして壁抜け、床抜けは無法そのものよ……。

 とりあえず今はそれは良いけど、皆を捕獲状態にして、クリエイティブモードにし直し、俺は川の上をスイーッと進むと、短時間で大河を突破。

 皆も外に出し直して、俺達はキングスライムに乗って先を急ぐのだった。





『とうちゃーく!』

 町に到着してテンションが上がっているアリスに続いて、俺達も衛兵に身分証を見せて町の中に入る。

 アリスの身分証作るの忘れてたな。

 普通にステータス見せてたけど、ラック以外2500のステータスにここの衛兵は顎が外れるくらい驚いていたので、この冒険者ギルドでプレート作ったほうが良さげか。

「ミンナ、藤原さん、マリーは宿探ししてくれない? 俺はアリスの身分証……冒険者ギルドに冒険者登録してくるから」

「了解。じゃあ宿が決まったら3人で冒険者ギルドに向かうね」

「わかった」

 というわけで、アリスの冒険者登録を行いに行く。

 夕方ということで、冒険者ギルドも混んではいたが、王都のギルドに比べるとそこまでの人混みではない。

 だいぶ田舎に来たというのもあるが、王都で聞いた冒険者でも義勇兵として魔王との戦争に旅立った人が多いのだろう。

 窓口の多くは新人っぽい少年少女が大多数だからな。

「すみませんこの子に冒険者登録を行いたいんですけど」

「あ、はい! 新規の方ですね」

 王都で聞いたのとほとんど同じ説明を受けて、アリスは水晶を触ってステータスを記録されるが、受付嬢は、

「なに……この高ステータス……ああ、金持ちでステータスの種を大量に摂取したのかな?」

 と、謎に納得していたが、ごめんなさいね。

 彼女これが素の能力なんですよ……。

 無事にアイアンのプレートをアリスは受付のお姉さんから渡されて、嬉しそうに異空間に仕舞っていた。

(そっか……アリス、認識阻害しているだけで全裸なんだよなぁ……服着るの嫌だって言っていたし……一応異空間に収納する魔法が使えるから困らないっちゃ困らないけど……)

 そして受付嬢についでにこの町で美味しい飯屋ってあるか聞き、夕食をそこで食べたいのだと言うと、冒険者ギルドの料理長が色々な町を巡って修行した凄腕で、道楽で冒険者ギルドの厨房をきり盛りしているらしく、冒険者ギルドの飯が一番美味しいとのこと。

 確かによく見ると若い人達が美味しいそうに夕食を食べている。

「俺達も宿で飯が付いてなければ冒険者ギルドで食べるか」

「あ、ここらへんの宿は皆さん冒険者ギルドで飯を食べるので、素泊まりがほとんど……ワンランク上でもお風呂付き程度でご飯は冒険者ギルド頼りなんですよ」

 と、受付嬢が教えてくれた。

 じゃあメニューでも見て待っているかと宿を予約した女性陣を待つこと十数分……ミンナ、マリー、藤原さんが冒険者ギルドに到着し、やっぱり素泊まりの宿しか空いてなかったとのこと。

「ごめん、お風呂付きの宿ももう部屋が空いて無いって」

「この町って公衆浴場はある感じ?」

「いや、夜はやってなかったはず……」

 となると俺が作った仮設のシャワールームが役立つ時が来たか。

 流石に裏庭とかを一時的に借りるのは許してくれるだろう。

「ちょいど良かった……この町で一番美味しい飯が出るのって冒険者ギルドらしいから今日はここで食べようか」

「へぇ……そうなんだ。メニュー表見せて」

「あいよ」

 俺は対面の席に座ったミンナとマリーにメニュー表を見せる。

 ちゃっかり俺の横を藤原さんがキープしていて、抜け目ない。

「へえ、色々メニューが多いのね」

「あ、今日渡った大河が近いからそこの魚料理が豊富っぽいね」

 魚料理はあまり食べたことが無かったから楽しみってマリーが楽しそうに言う。

 せっかくなので俺も川魚のメニューを注文しようとメニュー表を見ると、

「アーモンドバター魚肉カレー……だと!」

「え! カレーあるの!」

 異世界に来てからカレーをそう言えば見てなかったと思い出し、香辛料やスパイスが大量に必要なので、カレーに適したスパイスが無いのかと思ったら、カレーが普通にメニューにあるではないか! 

「じゃあ俺カレー」

「私もカレーにする」

 俺と藤原さんがカレーにするって言ったので、興味を持った他3人もカレーを注文。

 すると注文して直ぐにカレーが到着した。

 野菜はとろとろに煮込まれて崩れているのか、魚肉の塊だけが形を残し、ほぼペースト状のカレーに黄色いバターライスになっていた。

 しかも値段が安い。

 20シンクという驚きの値段だ。

 よく見ると他にもカレーを美味しそうに食べている冒険者達が多く居たので、名物メニューなのであろう。

「いただきます」

 スプーンで掬って一口目……うん、美味しい。

 砕かれたアーモンドカレーとバターライスがベストマッチ。

 風味と旨味が口の中で爆発する。

 そして淡白な味わいの魚肉がこれを邪魔しないで、確かな満足感を与えてくれる。

「ヤバい、食べるのが止まらない!」

 中辛程度の辛さで、初心者でも比較的食べやすい辛さなのもポイント高い。

 マリーは汗を滝のように描きながらも美味しそうに食べていたし、アリスは顔を真っ赤にしていた。

 ちょっと辛かったのかな? 

 コップに水を何回も魔法で入れ直して、冷たい水をごくごく飲んでいた。

「ごちそうさまでした」

「美味しかった〜」

 いやぁ久しぶりに食べたカレー滅茶苦茶美味しかった。

 マリーとアリスは風魔法で風を起こして涼んでおり、2人にはちょっと辛かったぽい。

「カレー美味しかったです。このスパイスって売ってませんか?」

 俺は恥を忍んで料理を提供してくれたシェフに食器を返却するついでに聞くと、

「受付でスパイス売ってるよ。ここの町の特産品なんだよこのスパイスは」

 普通にカレー粉に調合したスパイスが売っていた。

 何の料理にも合うので、数キロ単位でカレー粉を受付で購入し、インベントリにカレー粉の入った袋を詰めてから宿に向かうのであった。





 宿では素泊まりだが、庭に仮設のシャワールームを作っちゃ駄目かと宿の店主に聞くと、別に良いけど……と不思議そうに俺がシャワールームを作るのを眺めていた。

 実際に作って、仕組みを説明すると、

「これもう1組作れないか? 作ってくれれば宿代タダにするけど!」

 と興奮気味に言われた。

 仕組みとしてはお湯が出る魔石を天井の桶に置いて、シャワーノズルを取り付けて、レバーを下げると魔石が反応してシャワーが出るだけなので簡単に作れるし、整備も楽である。

「宿をやっているんだが、部屋数の割にシャワーの数が足りてなくて……仮設でもこれだけしっかりしたシャワーを設置してくれるなら本当に助かる!」

 とのこと。

 結局仮設仕様の木製ではなく、枠組みを石材にグレードアップさせたり、シャワーノズルの向きを少し変えられるようにしたりと利便性を高めた状態で店主に提供してあげた。

 滅茶苦茶感謝されて、6人部屋の予定だったが10人の広くて、宿の中で一番グレードの高い部屋をタダで使ってくれて構わないと言われ、お言葉に甘えて、良い部屋を5人で使わせてもらうのだった。