クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った

 うちのモンスター達鬼つぇえ! 

 というテンションよりも、うちのモンスター達俺がステータスにブーストかけていたとはいえ、簡単に……それこそ手を振るうだけで人を殺せることに若干の恐怖を覚えた。

 いや、俺がやれって命令したけど、モンスターの暴力性を人に向けるとこうなるのか……。

 モンスター達にはよくやってくれたって礼は言うけど、それとは別に気分がよい光景ではない。

「藤原さんは大丈夫か?」

「ちょっとお昼ご飯がこみ上げてきたけど、直ぐにキングスライム達が清掃してくれたから何とか……悪い人とはいえ、こう……人が簡単に死んでしまうのは慣れないと思う」

「そりゃそうだ、それが普通の感性だから……俺も気を張っているけど、普通にきつい」

 若干顔を青くしながらも、俺達は手頃な岩があったので、それをベンチ代わりに加工して呼吸を整えた。

「大丈夫2人共」

 ミンナ達が俺達のことを心配そうに見ているが、ミンナ、マリー、アリスはさっきの光景を見て大丈夫だったのかと質問する。

「私は特に……悪人だったし……見習いとはいえ宮廷魔道士だから悪人の処刑に立ち会ったり、直接手を下した時もあったし」

「うーん、私も特にかな? 生前だったら顔を青くしていたかもしれないけど、ゴーストになっていた期間や魔人になったことで感性が変化したのかも」

 ミンナとマリーは大丈夫そう。

 アリスはというと、

『悪人でしたし、主様や皆さんを攻撃しようとしたのですから当然の報いなのでは?』

 と、機械的な反応をする。

 というかアリスからすると同じ人間でも別種だから同族が殺されたって感覚ではないのかもしれないが……。

 若干人造人間みを感じた。

 それにヤバいことにも気がついてしまった。

 人間を倒すと経験値効率が異様に良い。

 20人倒しただけで、俺のレベルは53から60まで上がった。

 森のモンスターをキングスライム軍団に1日倒し続けて貰って、1レベルから2レベル上がっていたくらいだったのが、今の一瞬で7レベルも上がったのは異常と言える。

「これは知らない方がよかったかもな……」

 とはいえレベリングの為に悪人狩り……みたいな事をやれる精神性を俺がしているかって言えば否である。

 これが異世界ラノベの主人公だと平然とやり始める作品とかあるが……普通に狂ってると思うわ。

 一応思いついてしまったこともあるよ……賊の生き残りを捕まえたらどうなるのかって……モンスターに合成したらどうなるのかって俺の中の悪魔が囁いたけど……ちゃんと理性が留めてくれた。

 そんな考えが一瞬でも浮かんでしまった自分がヤバいわ。

 賊の痕跡は賊が身につけていた衣服や装備品と、賊が連れていた馬達だけになってしまった。

「馬には罪はないもんなぁ……」

 せっかくだし捕まえることに。

 俺の方を見てじっとしている賊の馬達を俺は次々に捕まえていき、角うさぎと合成できるっぽいので合成していく。

 すると、合成したらユニコーンへと進化した。

 モンスターと動物だとモンスターになるっぽいな。

 角うさぎではなく、鳥系と合成するとペガサスになれるっぽい。

 とりあえず20頭馬は居たので、ユニコーン10頭のペガサス10頭に合成しておくのだった。





 賊の衣服や武器類はそんなに質が良いわけじゃないので、全て素材に直してしまい、彼らの生きた痕跡は完全に消し去った。

 そしてアリスが読み取った知識を元に領主が美人や美少女の旅人を賊に襲撃させて、奴隷として他所に売買しているという情報を手に入れたので、ミンナが報告書……いや、告発書を書き出した。

「これを冒険者ギルド経由で王都に送れば国が調査に動いてくれると思うわ。アリスが奴隷の密売をしている拠点だったり、賊の拠点が町の中に普通にあるってことが分かれば領主がどんなに言い訳したとしても失態は隠しきれることじゃないからね」

 奴隷については別に禁止されているわけじゃないが、犯罪者や債務者とかの理由が普通で、旅人を襲って奴隷にするのは普通にアウトである。

 人権とかは法律で記載されているわけじゃないけども、奴隷の扱いは犯罪、債務者、そして農奴系を除いて禁止らしい。

 農奴はちょっと特殊らしいが、村から出ることを禁止された人物達で、村の中で結婚したり財産を持ったりすることはできるらしい。

 まぁそれもこの国での法律なので、別の国……ジパングとかでは冒険者の子供が奴隷として売られたり、色々あるらしいが……。

 奴隷についてはそれくらいで、一度町に戻るのだった。







 町に戻った俺達は直ぐに町の冒険者ギルドに向かい、王都の冒険者ギルドに向けて密告書を提出し、これが王都のギルドに届けば、ギルド職員から王国の上層部に話が向かうとのこと。

 王都にいる貴族の中には領地を持ちたい貴族が沢山いるので、弱点を晒した貴族は集中攻撃されて追い落とされるとのこと。

 ここの町の貴族は金のためか女に飢えていたのか分からないが、馬鹿な事をしたなぁ……。

「こんな気味悪い貴族の領地なんか早く出て、違う町で泊まろう」

「そうだな」

 賊に襲われたとはいえ、予定よりも早いので、そのまま次の町へと移動するのだった。







 日が少し傾いてきた15時過ぎに別の町に到着した。

 この町ではミミックの養殖で栄えている町らしく、町全体が活気にあふれていたり、アイテムボックスを売る錬金術師の店が結構な数並んでいた。

 店のショーウィンドウに並べられていたアイテムボックスを見ると、王都よりも3割くらい安い値段で売られていた。

 王都のシノンの店も悪くなかったが、やっぱり産地の値段には敵わないってことかな? 

「アリス、このアイテムボックスだったら、また改良することはできるか?」

『うん、できるよ。そんなに手間もかからないと思うけど、何個か買うの?』

「そうだな……」

 自分の貯金で追加で買っておくか……安いし……。

 ミンナに宿を取ってもらって、他のメンバーは錬金術師の店をハシゴしていき、安くて良さげな商品を探していく。

 観光客向けにぼったくり価格で売っている装飾だけ派手で性能がそんなんでもないのもあれば、装飾は質素だけど、性能が高いのもあったり……まぁ俺が選ぶのはアリスが加工できるので、ミミックの養殖をしている牧場の直売所。

 ミミックの未加工の箱が1個500シンクで売られていたり、ミミック焼きなるたこ焼きみたいな料理が売られていたりして、結構面白かったし、ミミック焼きは普通に美味しかった。

 ミミックの箱は結局今後も使うからと1万シンク分の20個購入。

 ちょうどぶらぶらしていたら待ち合わせ場所にミンナが待っていた。

「どう? アイテムボックスは買えた?」

「うーん、アイテムボックスの素材の方を買った。アリスが性能良いの短時間で作れるらしいから、20個分の素材を調達して……あ、これお土産」

 俺はミミック焼きをミンナに渡す。

「ミミック焼きかぁ……王都でもお祭りの時とかに売られるのよねぇ……そっか、ミミックを養殖していたらここの特産品として売られるよね」

 ハフハフと美味しそうに食べていた。

 味や食感は完全に鰹節がかかってないたこ焼きそのもの。

 内陸の町故に鰹節とかは手に入りにくいのだろう。

 そう考えると、王都は内陸なのに鰹節っぽい食材売ってたな。

 あれは王都の物流がすごいのか? 

「宿取ってきたよ。6人部屋になるけどいい?」

「6人部屋を5人で使うってことだろ? 女性陣はいいか? 俺も一緒で」

「か、構わないよ!」

『主様と一緒〜』

「私も構いませんわ」

「オッケー。夕食と朝食セットだから、今日は宿でゆっくりだね」

「風呂ってどうなってるんだ?」

「お風呂は男女別の大浴場がついていたよ。天然温泉何だってね」

「お、そりゃ良いな!」

 俺達はミンナに案内されて宿に向かうのだった。





「6人部屋1泊朝夕食付きで500シンクか……本当に王都から離れれば物価も安くなるんだな」

「田舎に行けば行くほど物価は安くなるよ。ジパングに近くなればもう少し物価は高くなるけど、それでも王都に比べると全体的に5%から10%くらい安いんじゃないかな」

「なるほどねぇ……」

 物価の安さの有難みを感じつつ、夕食を頂く。

 昼間に凄惨な現場を見ていたから、食べられるか不安だったが、俺って思ったよりも図太いかも。

 普通に肉やご飯を食べることができた。

 藤原さんも大丈夫かと思ったが、いつもよりは量を食べれてないけど、全然食が進まないって感じではなく、ちゃんと今日消費したエネルギー分は食べてそう。

 そのまま天然温泉で汚れや気持ちの整理をつけた後に部屋に戻って、ベッドの上でゴロゴロしていた。

 少しすると女性陣も風呂に入ってきたらしく、皆肌がツヤツヤになっていたし、風呂上がりの色気って言えばいいか……皆色っぽく見える。

『主様、アイテムボックスの素材出してください。今の時間に作っちゃいますから』

「別に急がないからゆっくりでも良いよ?」

『いえ、復活して初めて温泉に浸かれて元気満タンなのです! やる気に満ちあふれているのでやらせてください!』

「お、おう」

 アリスはやる気マックスで俺からアイテムボックスの素材を受け取ると、加工を開始し、マリーは思ったよりも移動で疲れたのか直ぐに爆睡。

 いびきも小さくて、時々寝言を言っているので可愛らしい。

 ミンナは地図とにらめっこしながら明日の行程を考え、藤原さんは王都で買った傑作の恋愛小説を読んでニヤニヤしていた。

(俺もレベルアップしたからステータスを確認するか)

 ステータス画面を開き、確認していく。

 名前 サイトウ・タカシ
 年齢 17
 性別 男
 職業 農家/ファーマー
 レベル 60
 体力 S
 気力 B
 知力 B
 器用 C
 筋力 C

 技
 ・捕まえる
 ・合成する
 ・鍛える
 ・道具を作る
 ・収納する
 ・大豊作
 ・図鑑
 ・名付ける
 ・範囲を拡大する(レベル1)
 ・穴を掘る
 ・鍬ワープ
 ・釣る
 ・繁殖する
 ・剥ぎ取る
 ・肥料を作る
 ・クリエイティブモード

 新たに覚えた技は肥料を作るとクリエイティブモード。

 後者は色々ヤバそうであるが、肥料を作るから見ていく。

 肥料を作る……金属以外の素材を選択した状態で肥料を作るを選択すると、投入された素材の量に応じて肥料を作ることができる。

 素材によっては副産物もできる。

 と書かれていた。

「これ……ハーバー・ボッシュ法いけるんじゃね?」

 ハーバー・ボッシュ法……空気中の窒息と水素を結合させることで窒素肥料を作り出す方法である。

 これを利用すると火薬とかも大量に作れるのであるが……試しに空気と空気を合成してみる……と、1キロの窒素肥料が完成した。

「ヤバい、空気から肥料生み出せるとかヤバすぎる!」

 絶対神様が想定していた使い方じゃないけど、できてしまうから有効活用させてもらう。

 まぁ将来火薬を使える道具を作ることができるようになったらではあるけど……。

 あとは自分の畑とかを手に入れてからか? 

「で、クリエイティブモード……これなんだ?」

 説明によると、浮遊状態に成れるって書かれているだけで、特に説明はない。

 明日旅の道中で試してみるか……。