クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った

「よぉ、斎藤……今日は1人か?」

「いや、この混み具合だろ。皆バラバラで座ってるよ」

「そうか……俺のメンバーもバラバラに座っている」

 少しの沈黙の後に俺から近況について話た。

「俺数日後にはこの町を離れようと思う」

「やっぱり稼ぎが辛いのか?」

「いや、稼ぎについては何とかなっているんだが……監視の目がな」

「監視? 何かしたのか?」

「いや、転移者が何か仕出かした時に処分されるって話を付添い人の人から聞いてないか?」

「そんな話は聞いてないな」

「王都だと何か仕出かした時に直ぐに処分か厳重に管理される可能性が高いって判明してな。非戦闘職だから大丈夫だと思うが、うちのメンバーの藤原さんが上位職に転職することに成功したんだが、貴族達からも狙われるような貴重な役職になってしまってな。だから貴族の多いこの町から離れようってことになった」

 一応後藤に話している内容はミンナが教えてくれた報告書に書かれた内容までである。

 俺のステータス情報は後藤でも開示することができない。

「俺達の方は森で討伐をすることで、生活にも余裕が出てきたし、斎藤が教えてくれた薬草の群生地のおかげで装備を整える金を調達することができた……お前のおかげで軌道に乗ることができた……せっかくだ、ここの飯は俺に奢らせてくれ」

「いや、悪いよ」

「それだけ恩に感じてるってことだ。受け取ってくれ」

「じゃあお言葉に甘えるよ」

「おう」

 近況の話いから俺はどこを目指すんだって質問を後藤からされた。

「俺達はジパングっていう迷宮国家に行こうと思う。ここゲルマ王国の属国だが、過去の転移者が作り出した国らしく、食文化はそこまで変わらないらしい」

「迷宮国家……ジパング」

「冒険者として名を挙げることは俺の能力じゃ難しいが、仲間に凄腕の魔法使いが加わったから、そいつを全力で俺と藤原さんはバックアップするつもりだ」

「大丈夫なのか? それって冒険者の中で嫌われる寄生行為なんじゃ」

「うーん、共存関係だと俺は思っているが……」

「一度しっかり話しておいた方が良いぞ」

「かもな……忠告ありがとう」

 ところで……と俺は、後藤はなんで松田の事をいじめていたんだって聞いてみた。

 後藤の異世界に来てからの行動を見ていると、とてもいじめのリーダーをやるような奴には思えなかった。

「他の奴には黙っておけよ……言っちゃ悪いが、松田のあの金持ちなのにノンデリの終わってる性格だとどうしても敵を多く作るからな。軽いいじめ……まぁジュース買ってこさせるくらいのパシリにしておくことで、他のいじめグループから守っていた感じか。アレでも一応クラスメイトだからな」

「あぁ、なるほど……松田へのいじめが行き過ぎないように調整していたんだな」

「松田からは恨まれただろうがな……ヘイトが俺に行くんだったら問題ねぇが、より弱い者に行くのは看過できないからな……藤原さんの方に行きかけた時は斎藤が守ってくれて助かったと思った」

「そうか……もっと腹を割って話せていたら高校にいた頃でも仲良くできたかもしれなかったのにな」

「しゃーねぇ、緊急時故に普段見せない顔を見せる羽目になったからな。あと結果的にだから松田を見捨てる選択を取ったのは事実だ。あいつは1人でどう生活しているのやら……」

「死んだって報告は無いから……生きては居るだろう。初期資金も普通に生活していれば1ヶ月半は生活できるし……」

「他のクラスメイトに迷惑をかけてないと良いが……」

 すると天ぷらうどんが到着し、ズルズルと麺をすする。

 うん、美味しい。

 天ぷらも揚げ立ててサクサクしている。

 エビは流石に無いけど、カボチャ、とり天、かき揚げが良い感じにうどんの旨味を掻き立てる。

 あっという間に食べ終わって、後藤に奢ってもらい、俺は店を出た。

「じゃあな後藤」

「おう、斎藤も頑張れよ」

 女性陣が店から出てくるのを待って、久しぶりに前の世界について思いを寄せるのだった。







 異世界転移して23日目。

 2日間あいにくの雨だっだが、その間に宿で十二分に休むことができた。

「よし、じゃあ出発しますか……バーバラさんお世話になりやした」

「いいのよ! また王都に戻る事があったらぜひうちの宿に泊まってちょうだい!」

「はい!」

「あとこれ……お弁当」

「いいんですか?」

「いいのよ! それじゃあ行ってらっしゃい」

 女将のバーバラさんに見送られて、俺達は王都を出発するのであった。





『それでお弁当を私が食べてもいいんですか?』

 町の外に出て少し移動した後に、アリスに俺の分の弁当を渡した。

「女将さんは俺達4人分しか作ってないからな。それに捕獲状態はお腹が空かないとはいえ、これから外で活動するんだから食べてエネルギー補給はしとかないとだろ? アリス全部食べちゃっていいから」

『なら遠慮なく! いただきます!』

 キングスライムに乗って移動しながらアリスはご飯を食べる。

 キングスライム達は時速60キロくらいで移動中であり、風が俺達の体に当たらないように、風よけの薄い壁を体を変形させて囲ってくれた。

 それにビーズクッションみたいに体を沈めながら座ることができるのと、滑るように移動するので揺れがほとんどない。

 車で移動するよりも快適な旅ができていた。

 ちなみに護衛も兼ねて、エレキマッスル3体やテディベア3体もキングスライムに乗って俺達の周囲を囲んで警護してくれているし、先頭ではクラリンが気持ちよさそうに滑って移動している。

 あと九尾と仙人ダヌキは仙人ダヌキが作り出した雲に乗って2匹で空の旅を満喫しているっぽい。

 道中オオカミのモンスターが追いかけてこようとしたが、追いつけずに走り負けてしまって諦められたり……というイベントを挟んだが……4時間近くのドライブ? 移動で、昼頃には今日宿泊を予定していた町に到着してしまった。

「ちょっと早くない?」

「予定工程より早いね。どうする? ご飯を食べてあと1時間半進めばとなり町に行けるけど……」

 ミンナの意見に賛成し、俺達は飯を食べることに。

「おいおい、めっちゃ美人なねぇちゃんいるぞ……」

「金髪の嬢ちゃんもべっぴんさんじゃね……」

「他2人の女性も味があって良いな……けっ! 男連れかよ!」

「1人で独占しやがって……」

 町を歩いていると、そんな言葉を言われまくった。

 なんだ……俺では女性陣と釣り合わないってか? 

 昼食を食べるために入った店でその事を愚痴っていたら、店主が、

「気にしなくて良いですよ。この町で美人美女達は大抵婚約者か既婚者で、そうでない男がよそ者の女連れの男性を僻むのはよくあることなので……ただちょっと気になる噂があってね」

「噂?」

「ここから少し離れた街道に賊が出るらしいんだ。しかも美女な女性は執拗に狙われるって話だ……兄さん気をつけなよ」

「ご忠告感謝します」

 ちなみに昼メシのメニューはステーキにニンニクのソースたっぷりかかった物とポテトサラダにライスで、マリーがヴァンパイアだからニンニク大丈夫かと思ったが、普通におかわりしていたので大丈夫そう。

「マリー、ニンニク大丈夫なのか?」

「食べるとめっちゃ舌がヒリヒリするし、喉がかゆくなるけど、自動治癒で数秒もせずに治るし、問題ないよ」

「それアレルギー症状出てるんじゃ……」

 美味しいから問題無しって、地球でアレルギーに苦しむ人に喧嘩売っているような発言であるが、治癒魔法が使えれば、アレルギーと大丈夫というのは大きな発見かも。

 というか回復の力技で種族的に毒な物を食べるって日本人みたいだな……。

 昼食を食べて、藤原さん、ミンナ、マリーの3人は喫茶店でちょっとお茶したいと言うので、お茶を飲みに。

 俺とアリスは王都には無かった本を探しに本屋に向かった。

『手を握れば知識が得られますけど、本で勉強するのもいいですね。私これを趣味にしましょうかね?』

「いいんじゃないか? 読書が趣味って結構ベターだし……やっぱり王都に比べると品揃えは悪いか……でも農業書とか技術書系は結構種類があるな……小説や伝記系は……少ないか」

『それでも面白そうなのが何種類かありますね! あ、これなんかジパングのダンジョンの冒険について書かれた本らしいですよ』

「完全攻略……ジパングダンジョン30階層まで丸裸……おいおい、こんな離れた場所で売っていて良い品なのか?」

『少なくともジパングのダンジョンは100階層近くある巨大迷宮らしいので、30階層まででも買って損はないんじゃないですかね? 傾向とかも調べられますし……』

「一応買っておくか……他には挿絵付きのモンスター百科事典っていうのが気になるくらいか……5000シンクもするけど、これも購入だな」

 王都に無かったからそういう図鑑が無いのだと思っていたが、王都の周りは森以外に出てくるモンスターもそう多くないし、図鑑で調べなくても、他の冒険者から実際に戦った声を聞くことができるし、冒険者ギルドでも教えてくれるからモンスター図鑑の需要がほぼ無いのか……。

 図鑑の中身も子供向けではなく大人かつ冒険者向けに作られているらしく、素材の正しい捌き方や調理方法、倒し方なんかが細かく記載されていた。

「うん、値段の割には良い品だった」

『よかったですね』

 本屋で時間を潰して、藤原さん達女性陣も十分に休憩が取れたらしく、町の外に出て、キングスライムに乗って移動を開始した。

 町から出て10分後に馬に乗った賊が登場。

 絶対町で俺たちのことを見ていて、それを賊に密告したんだろうな。

 もしくは遠方と連絡が取れる能力持ちやマジックアイテムを使ったか……。

「オラオラ待ちやがれ!」

 こっちに近づいてきたので、俺はキングスライム達の動きを止めて、エレキマッスルやテディベア達に殲滅を指示する。

 するとエレキマッスル達はキングスライムから降りて、ボキボキと指を鳴らすと、賊に突っ込み、本気のパーンチ。

 ブチュ

 殴られた賊はトマトが潰れるような音と共に、肉体が弾け飛び、凄惨が現場が作られた。

 テディベアも可愛らしい見た目だが、腕を振り下ろすと、賊の上半身が弾け飛んだり、キングスライム軍団も動き出して、賊を腕で串刺しにしたり、抱きついて窒息させたりとやりたい放題。

 20人近くいた賊は一瞬で壊滅し、両腕消し飛んで今にも死にそうな生き残りの賊にアリスは首を掴むと、情報を抜き取った。

『ふーん、なるほど』

 掴むのをやめた瞬間にキングスライムがさっきまで生きていた賊に群がって捕食し始めて、モンスターはモンスターなんだと再認識。

 ちなみにクラリンも戦闘には参加したが捕食はしていない。

 曰く普通の料理の方が美味しいからだと。

 キングスライム達が凄惨な肉塊とか血の跡を食べていくので、直ぐに何も残らなかったが、アリス曰く、ここの領主と賊が手を組んで、旅人を襲っていたらしい。

 馬鹿な領主もいたもんだ……。

 直ぐにミンナが報告書を作成し、先ほどの町に戻って、王都の冒険者ギルドに手紙を送ることを依頼していた。

 賊は今ので壊滅したため、手紙は無事に届くことだろう。

 そしてここの貴族の悪行がバレるのは俺達がジパングに到着してから数ヶ月経過してからのことになるのだった。