クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った

「え? え? ミンナさん捕まえられちゃった?」

 俺めっちゃ困惑である。

 すると俺のステータス画面に手持ちという欄が現れ、そこにミンナさんの文字が記入されていた。

 名前 サイトウ・タカシ
 年齢 17
 性別 男
 職業 農家/ファーマー
 レベル 1
 体力 F
 気力 G
 知力 G
 器用 G
 筋力 E

 技
 ・捕まえる
 ・合成する
 ・鍛える
 ・道具を作る

 手持ち
 ・フレック・ミンナ レベル1 

 ミンナさんの画面を更に注目してみると彼女のステータス画面が現れ、そこには先ほどとは別のステータスが書かれていた。

 名前 フレック・ミンナ
 種族 人族
 年齢 18
 性別 女
 職業 魔法使い
 健康 良好
 好感度 25/100

 レベル 1
 割り振りポイント5

 HP G 0/5
 MP G 0/5
 パワー G 0/5
 ガード G 0/5
 マジック G 0/5
 スピード G 0/5
 ラック G 0/5

 一気にステータス欄がごちゃごちゃしているが、その欄を凝視して確認していく。

 追加されたのは種族、健康状態、そして好感度、レベル、ポイント、あとステータスのGと0/5というもの。

 調べてみると、種族はまんま種族名であり、種族が変わればステータスの英語表記も変わるらしい。

 健康状態、好感度はわかりやすい。

 彼女の健康についてと俺に対する好感度。

 そしてステータス欄のGの羅列。

「多分後ろのが割り振りポイントを割り振ると変わるんだろうな……」

 俺は割り振りポイントからマジックの数値に割り振るとGがFへと変化し、0/5が0/10へと変化した。

 HP G 0/5
 MP G 0/5
 パワー G 0/5
 ガード G 0/5
 マジック F 0/10
 スピード G 0/5
 ラック G 0/5

「んん? これを変化させることで何が違ってくるんだ? 普通の数値が伸びるのか?」

 分からない。

 ただミンナさんを捕まえている状態から外に出す必要がある。

 俺はステータス欄を指で触れると、ミンナを外に出すという表記が出現したので、迷わず押す。

 すると俺の体から光の玉が出てきて、ミンナが外に現れた。

「ちょ、ちょっと! 試すだけって言ったじゃない! なんで私を捕まえているのさ」

「わ、悪い……2%の確率だったから大丈夫だと思って……ところで収納されている間はどんな感じなんだ?」

「んーっと、ゴーストみたいな状態でサイトウの周りを漂う感じ。壁や物をすり抜けて、移動もできた。ただ物に干渉したりすることは無理っぽいし、離れすぎると近くに引き戻される感じ」

「なるほど……これ解除ってできないのかな。捕獲状態だとまずいよな」

「ちょっと待って、さっき私のステータスをいじったでしょ……それの確認をさせて」

 俺がGからFに上げたことだと思う。

 ミンナはステータス画面を開くが、数字は一見変わってないように思える。

「変化無し?」

「あれ~、違ったのかな?」

「うーん、謎だ……」

 しかし、俺がレベルを上げる為には仲間が敵を倒すか経験を詰む必要があると書かれていた。

 ということは、この捕獲状態でないと仲間として認識されないのではないか? 

「そうなると、当面は私も捕獲状態であった方が良いわね」

「でも不便じゃないか?」

「いや、私を外に出した状態でいれば問題はないんじゃない? 未知の能力過ぎるから色々確認した方が良いと思うし、結局当面はサイトウと一緒に行動することになるわけだから……ね」

「そう言ってもらえると助かる」

「じゃあ次に道具を作るっていうのを試してみるのはどう?」

「あ、うん……」

 俺は道具を作るを選択すると、作れる道具一覧みたいなのが現れた。

 木製のクワ、木製の器、木製のスコップ、木製の斧……木製だけでなく石製の道具も作れるっぽい? 

「道具を作るには素材が必要ってなってますね……何か木製の素材とかってあるか?」

「木製……ちょっと待ってね」

 ミンナさんは部屋を漁ると、使い古された木刀を取り出してきた。

「これなんてどう? ただの木刀だけど」

「ちょっと触れるぞ」

 触れてみると木材としてカウントされるらしく、これで別の道具が作れそうだ。

「ちょっと斧を作ってみる」

 俺はそう言うと木刀が液体の様にドロリと溶けて、次の瞬間には木刀のよりも明らかに大きな木の斧が出来上がっていた。

「なんか手に馴染むな」

 俺が触っていると、ミンナに斧を渡す。

「木刀が斧になっちゃった……確かに手に馴染むわね」

 そして俺のレベルを確認してみると、後ろに小さく経験値という表記が追加されていた。

 どうやら道具を作るのでも経験をしたことになるらしく、経験値を微々たる量だが貰えるらしい。

 今の感じだとあと30回何か道具を作ったら次のレベルに上がれそうだ。

「ん? ちょっと待てよ……ということは木の斧を次々に別の道具にしていけば経験値貰えるんじゃ……」

「……試してみる価値はあるんじゃない?」

 俺は木の斧を木のスコップに、クワに、こん棒にと次々に変化させていく。

 合計30回変化させたところで、頭の中にぱんぱかぱーんとファンファーレが響き渡った。

「レベルアップしたっぽい」

「ステータス見せて」

 俺のステータス欄を見るとレベルが2に上がっていた。

「「おお……」」

 確かに上がっているし、器用のステータスがGからFへと上がっていた。

 俺の場合ポイントを割り振るのではなく、経験したことに応じてレベルアップの時にステータスが伸びる仕組みっぽい。

 絶対このステータスを決めた奴は神か邪神か知らないけど、この世界のステータスの仕組みを作った奴とは思考が合わないんだろうなってのが感じる。

 だってミンナとかやってるのがドラゴンク◯ストとかとすると、俺のやってること女◯転生ことメガテ◯とかポケッ◯モンスターとかそっちの系譜がするし……別ジャンルのゲームを無理やり1つのゲームにしている感じがする。

 だからミンナみたいに俺が捕まえると、ステータスが2重表記になるバグ技みたいなのが発生するんじゃなかろうか……。

「レベルが上がったからさ……技の1つの鍛えるっていうのが使えるんじゃない?」

 ミンナに言われて気がついたが、確か鍛えるは俺のレベルまで捕まえている人物を時間経過で鍛えることができる技だってステータスには書かれていたから、試してみることに。

 一度ミンナをまた収納状態にして、技から鍛えるを選択すると、誰を鍛えるかの表示が出てきたので、ミンナを選択。

 すると、

 ミンナ レベル1→レベル2 00:00:60

 というタイマーみたいなのが表示され、秒数がどんどん進んでいく。

 俺は待っている間、また木の斧に戻していたのを色々木製の道具に変化させて時間を潰しながら経験値を獲得する。

 すると60秒が経過して、ミンナのレベルが2に上がった事を確認した。

 ミンナのステータス欄に再びポイントの割り振りがあり、1レベル上がるごとに5ポイント入るっぽいので、今度は幸運をGからFに上げておく。

 そしたら、ミンナを外に出して、鍛える状態がどうだったか聞いてみる。

「んーんとねぇ……寝てるみたいだったって言えば良いかな。鍛えている間は別の空間に飛ばされて、強制的に眠らされる……みたいな感じ? 気がついたら時間が経過していて、体が元気になっている……みたいな?」

「ふーん、なるほど?」

 いまいち、ミンナもはっきりしない感じだが、時間が飛ぶこと、元気になることの2つは分かった。

 これ……何かに使えるか? 

 そんな感じで、俺の能力について色々確認していると、食事の時間になったので、ミンナに連れられて食堂へと移動するのであった。







 食堂に移動すると、クラスメイト達がグループを作って飯を食べていた。

 俺は端の席に座って、皆の様子を確認する。

 一部は浮かれている。

 異世界転移という普通じゃない状態に特殊能力まで備わっているとなれば浮かれるのは当たり前か。

 大半は不安を抱えながらもクラスのリーダーである園田の周りに集まっている。

 園田が勇者という役職に選ばれたので、彼に頼ろうとしている魂胆が透けて見える。

 日本人らしい長いものに巻かれろ理論は異世界でも健在か? 

 あとは完全に悲観している者もいる。

 ヤケ食いしている者もいる。

 俺も食事を始めようとしていると、俺の前にいじめっ子のリーダーである後藤が座った。

「斎藤、お前何処に行っていた?」

「別室に居た。あの混乱の中にいたくなかったからな……後藤は何処までこの世界についての情報を聞いた?」

「勇者の園田が魔王を倒せば元の世界に返してくれるって事、勇者に選ばれなかった者で勇者と共に魔王を倒す旅に向かう者は城で戦闘訓練を受けてもらうこと、そうでない選択をする者は支援金と生活が安定するまで従者を付けるって事だな」

「後藤はどうするんだ? 園田についていくのか?」

「いや、独自に動く。元々園田とソリが合わないし、オレにもグループのリーダーとして仲間を守らないといけないからな。斎藤はどうするんだ?」

「俺も別行動。というよりクラスに馴染んで無いから分かるだろ」

「まぁな。職業は何だったんだ? オレは格闘家だったが」

「俺は農家だよ」

「やっぱり非戦闘職か……戦闘職なら仲間に誘おうと思ったんだが」

「その気持ちだけ受け取っておく、俺が聞いた情報をついでに伝えておくぞ」

 俺は冒険者という職業があること、町の外にはモンスターが湧くこと、信用を獲得しないと町で職を探すのも難しい事を伝える。

 あと通貨の価値も。

「支援金として貰えるのが2万シンクって話だったから、円換算で20万か、宿1泊400シンクらしいから50日分……稼がないと直ぐに尽きる計算になるな……非戦闘職でも稼げるのか?」

「日雇い労働はあるらしい。あと冒険者になって半年は国の援助を受けながら仕事をすることができるから、それまでは生活は何とかなるとみている。ただそれ以降についてはそれまでに冒険者ギルドの方で信用を稼げているかによる……かな」

「なるほどな。良い情報だった。食事の邪魔をして悪かったな」

「数日は城に滞在してもよいことになっているらしい。その間にグループを纏めたりした方がいいぞ」

「ああ、園田にも話しておく。あと……松田どうするべきだと思う? あいつ異世界転移って現象に有頂天になっているが……金持ちのボンボンだ。生活力もあるとは思えねぇ……」

「かといって俺は松田みたいなタイプは合わないぞ……まぁ死ぬ前に現実が見えるんじゃないか?」

「だといいが……パシリに使っていたとはいえ、同じクラスメイトが死ぬのはなぁ」

「後藤……お前って俺が思っている以上に良い奴なんだな」

「どういう意味だゴラ!」

「わりい、緊急時だと人の本質が見えるって話だ」

「たく」

 悪態つきながらも後藤は自分のグループへと戻っていくのであった。