クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った

「質問に答えた訳だが、ちょっと俺は広間の様子を見てくる。サイトウも行くか?」

「いや、知り合いではあるが、仲が良いって言われると微妙な間柄の関係だから……俺だけ居ないことに気がついて問い詰められる方が面倒くさい。まだ知りたいこともあるし、ちょっと別室で待機させてもらいますわ」

「そうか……ミンナ、何かあったら魔法で伝えろ」

「了解」

 タジマさんは再び洋風のいかにもなヘルメット? ヘルム? を被ると、部屋から出ていってしまった。

「さてと、改めてミンナです。よろしくねサイトウ」

「ああ、よろしく」

 俺とミンナは握手をする。

「しっかし異世界の農家って皆サイトウみたいにゴツい体付きをしているの? 見た目だけなら兵士に引けを取らないくらい筋肉付いていると思うけど」

「うーん、牛を飼育してたり、農作業して沢山飯を食べれば自ずと体はデカくなると思うけどな。まぁ両親も結構体大きかったからそれでかもしれないが」

「遺伝って奴か……良いね。さてと、いきなりこの世界に呼び出された訳だから色々不満はあるだろうけど……」

「まぁ不安も不満もあるな」

「やっぱり……でもそれをしないといけないほどこの国も窮地だから……理解してほしいっていうのは都合が良すぎるかな」

 まぁ一発逆転の目があるなら試してみたくなるのはわかる。

 それが生存をかけた戦争をしているなら尚更だ。

「で、俺は何時までこの城にいれるんだ? 勇者以外は追い出されるんだろ?」

「すぐって言ったけど、数日は留め置かれると思うよ。まぁ希望すれば直ぐに出ることも可能だけど」

「居る間は食事は出るのか?」

「出るね。勇者が召喚された際にはなるべく勇者達の希望を聞いた食事が出されるけど」

「ふーん。じゃあ米はあるのか?」

「あるよ。この国の特産品だからね。過去の勇者達も米の有り無しで士気が変わったって伝えられていたけど、異世界の人って米が大好きなんだね」

「まぁ二千年以上も前から食べ続けてきた主食だからな」

「食事はどうする? 皆と食べる?」

「情報の共有をするべきか。園田には別れの挨拶くらいはするのが礼儀か。食事は皆と一緒にとることにするよ」

「うん、分かった。じゃあ他に聞きたいこととかある?」

「いまいち能力についてが分からないんだが……」

 ステータスは見れたが、皆と違うということは能力も違っているのかもしれない。

 一応技っていうのが多分俺が使える能力だろうから、それを試していくのが手っ取り早いか……。

「能力を試してみる?」

「そう、俺のステータスに技っていうのがあったから、試してみようかと」

「なるほどね……私に手伝えることって何かあるかな?」

「ちょっと待ってくれ」

 俺は技を確認する。

 表記されているのは、

 ・捕まえる
 ・合成する
 ・鍛える
 ・道具を作る

 この4つ。

 よーく注力して見ると、違う文字ウィンドウが現れた。

「うわ、なんか出た」

「説明欄? 根本的にステータス画面が違うね。普通そんなの出ないし」

「……ちょうどいいから普通のステータスについて説明してもらえないか?」

「良いよ」

 ミンナ曰く、普通のステータス画面は以下の通り。

 名前 フレック・ミンナ
 年齢 18
 性別 女
 職業 魔法使い
 HP 125
 MP 320
 パワー 105
 ガード 310
 マジック 756
 スピード 180
 ラック 75

 これが普通のステータスで、能力を持っている人の場合、職業の横に/が入るらしい。

 職業は10歳から15歳までに経験した事を元に教会で幾つか職業を選択することができて、それに合わせてステータスの成長しやすさが変わってくるのだとか。

 ミンナの場合魔法使いだからMPと魔法の威力に関わるマジックの数値が高くなっている。

 あとラックは基本50前後で落ち着いて、70超えていれば高い方、90とかあると相当幸運な人生を歩めるらしい。

 逆に20以下は大抵大きくなる前に事故に遭って亡くなるらしい。

 そんな子は1万人に1人とかの割合らしいけど。

 まぁラックが低くても40までは底上げしてくれるアイテムを錬金術師達が作れるらしいので、運が低くてもお金が有れば大丈夫らしい。

 一方で、俺のステータスはこう。

 名前 サイトウ・タカシ
 年齢 17
 性別 男
 職業 農家/ファーマー
 レベル 1
 体力 F
 気力 G
 知力 G
 器用 G
 筋力 E

 技
 ・捕まえる
 ・合成する
 ・鍛える
 ・道具を作る

 幸運なんてステータスは何処にも無い。

 20以下は早死にするって聞くと怖くて仕方がないんだが……。

「ど、どうなんでしょう……ステータスが違うって初めての事案過ぎて……これだと冒険者としての登録もどうなるんだろう」

「冒険者への登録もステータスが関わってくるのか?」

「ええ、ステータスを見て、昇級が決まったりするので」

 冒険者にもランクがあるらしい。

 アイアン→カッパー→ブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナ

 全6階級で、話を聞いていると運転免許とかに近い。

 アイアンは半年冒険者として生き抜けばカッパーに更新、カッパーは1年半、ブロンズは5年で最短7年でシルバーになることができるのだとか。

 シルバー以降から実力で上に行ける仕組みなのだとか。

 これは昔の召喚された人が整えて、現在でも行われている仕組みらしい。

「アイアンの依頼は正直安いけど、宿で過ごせるだけの金額は国からの補助で出るから、厳しくなるのはカッパーからって言われてるの」

 上手いこと弱者救済として冒険者という職業は成り立っているらしい。

 まぁ魔物が郊外に湧くらしいので、それを定期的に間引かないといけないのであれば仕方がないだろう。

「冒険者についてはその職に就いてからだな……とりあえず拡張したステータス欄には何が書いてあるかな?」

 俺はステータスを覗き込むと、それぞれステータスについての説明が書かれていた。

 レベル……レベルが上がるとステータスポイントが貰えます。

 レベルは自身が技を使うか使役している者が経験を詰むと向上します。

 体力……体力です。

 体力は時間経過、食事の質、休憩の質により回復量が上下します。

 体力が無くなると気絶します。

 気力……技を使う時に必要になります。

 気力が高いほど技の成功、大成功率が高くなります。

 体力と同じ仕組みで回復します。

 知力……高いほど獲得経験値が上昇します。

 知力が高くないと覚えられない技もあります。

 器用……高いほどレベル上昇の必要経験値量が下がります。

 器用が高くないと覚えられない技もあります。

 筋力……力強さです。

 高いほど持ち歩けるアイテムと使役している者を増やすことができます。

 筋力が無いと身につけられない道具が存在します。

 とのこと。

「一見似てそうな項目も全然違うわね……レベルは幾つまであるのかしら」

「それはわかりません」

 ゲームなら100とか999だろうが、実際どうなのやら……。

「ちなみにミンナのステータスの数値上限って幾つなんだ?」

「上限は分かりません。ただ各数値で1000を超えると一流と言われます。冒険者でゴールドに到達する人だったり、凄腕の商人や魔法使い、錬金術師や戦士とかは1000を超えて2000、3000と数値がどんどん高くなるようです。勇者はこの数値が異様に伸びやすいのが特徴で、過去の勇者数名のステータスが記録されていますが中には1万を超える人も居たらしいです」

「そりゃ凄いな……」

 1000で一流の世界で10倍のステータスをしていたら敵無しだろう。

 そりゃ戦略兵器として勇者召喚に国力を注ぎ込むわ。

 動き回る戦術核兵器みたいなもんだろうからな。

 でもそんな存在が人間に牙を剥くことはないのだろうか? 

 園田はそういうことはしなさそうだとは思うが……。

「過去の勇者で人類の敵になった奴とかいないのか?」

「記録に残っている限りではいませんね……言いたいことは分かります。そんな状態になったら止められませんものね。だから勇者には国が手厚く支援して、魔王討伐が終わったら可能な限り願いを聞くと約束するのですよ」

「勇者が全員の帰還を望んだ場合は?」

「なるべく意向に沿いますが、帰りたがらない人も居るわけで……」

「なるほど」

 結局園田が勇者として魔王を倒してくれなければ国は動いてくれない。

 その間に生活基盤ができてしまったり、恋人でもできてしまえば日本に帰りたがらない人物も出てくるか。

「待てよ……帰ったとして年齢はどうなるんだ? こっちの世界で10年過ごせば帰ったとしても20後半で、行方不明期間も合わされば酷いことになるが……」

「すみません、帰還した後は流石に分かりかねます」

「……」

 結局のところ帰ったとしても社会的に死んでる可能性が高いわけか。

 俺はまだ実家に帰れば農地で働ける場所があるから良いが、他の奴は帰ったとしても就職は絶望的だろう。

「これは伝えられねぇわ。伝えたらヤケを起こす奴も現れるかもしれない」

 そんな話をしながらも、次に異様を放っている技という欄を確認する。

「技……説明は……これもあるか」

 捕まえる……対象を捕まえる。

 捕獲する時は相手が降伏の意思を表示するか弱らせる。

 捕まえるを発動すると対象の捕獲率が表示される。

 合成する……捕まえている対象もしくは道具、植物を合成する。

 生き物同士で合成すると対象の種族が変化することもある。

 鍛える……捕獲している者を異空間で鍛える。

 時間経過によりレベルが上がる。

 能力者のレベルまで鍛えることができ、レベルの数まで並行して鍛えることができる。

 道具を作る……器用と知識の範囲で道具を作り出すことができる。

 現在は石の道具まで作れる。

「なるほど……モンスターを捕まえる事ができるのかな?」

「かもしれません……人でも捕まえることができるのでしょうか?」

「私で試してみる?」

「え、良いんですか?」

「いや、そんな簡単に捕まらないと思うし、試してみるだけなら別に良いかなって」

 お言葉に甘えて、俺はミンナさんに捕まえるという技を使う。

 するとミンナさんの頭上に%表示が見えた。

「2%まぁ捕まるわけないよな……捕まえる時は対象を5秒間見つめる……するとレジストされたら%表記の横に✕印が付く。そしたら1分間クールダウンタイムとなる」

 そう説明が書かれていたので、俺はミンナさんを5秒間見つめる。

 するとミンナさんが光に包まれて、俺の中に入っていった。

「……え? 捕まえられた?」

 ミンナゲットだぜ?