クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った

「マリー的には現王族を恨んでるってことで良い?」

「恨み辛みはあるけど、それで彼ら彼女らを害そうって気持ちはありませんね。それをしてしまったら、私を毒殺した彼らと同じになってしまいますから」

 マリーが凄い理性的で助かった。

 幾ら夜行性だからってゴーストを捕まえるのは危なさはマリーで十分に理解できた。

 まぁ言ってしまえば死者蘇生みたいなもんだからな。

「マリー。町に戻るけど、一度捕獲状態に戻ってくれないか。4人に増えていたら衛兵に怪しまれるから」

「ええ、それは構いません。では捕獲状態になりましょう」

 マリーの姿は消えていく。

 墓地でやることをやったので、町に戻る俺達だった。







「とりあえず、夜に泊まる人数を増やしても、宿側も困ると思うから、マリーは明日から泊まれるようにするとして……マリーの冒険者登録も明日しないとか」

「そうだね、あと服もサイトウが作るか、お店で用意するかしないと……今の格好のままじゃ冒険者には見えないからね」

 圧倒的なステータスを手に入れたマリーであるが、服装を整えないといけないし、元王族かつ15年間ゴーストやっていて常識とかも欠落しているだろうから、ミンナの負担が増えるだろう。

 そこは我慢してもらうしかないが。

「明日の午前中悪天候じゃなかったらこの際全員の服とかも買いに行くか。俺も服についてのデザインとか知りたいし」

「か、買い物デート……」

「4人で買い物するのデートっていうのかなぁ……」

 藤原さんがデートって言って顔真っ赤にしていたけど、普通に買い物以上の感情は湧いてこないが……。

 まぁ女性陣と買い物するってことは荷物持ちは俺がやることになるんだろうな。

 良かった……収納の技があって……。

 そうこうしていると宿に到着し、宿の女将のバーバラさんに、明日パーティーメンバー候補の人物が加入するかもしれないので、そしたらミンナの部屋を2人部屋に交換できないかと聞く。

「あら、良いわよ! 新しく加入する子は女の子?」

「ええ、まぁ」

「サイトウ君……頑張りなさいよ!」

 ぐっと親指を立ててサムズアップ。

 言われなくても頑張りますよ……。

 俺達は風呂に入った後に、それぞれ部屋に戻って、眠るのだった。








 翌朝、俺は5時くらいに起きて、顔を軽く洗面所で洗った後に、宿の庭に出て、昨日雨が上がった後に植えていたステータスの花を回収しておく。

「これ夕方植えて、早朝に回収しているから良いけど、一歩間違えればトラブルの元になるよな……」

 俺自身このステータスの種を育てるのは結構危険な事をやっている自覚はある。

 なのでミンナと藤原さんのステータスがだいたい1000を超えるあと3日これを繰り返したら、一端やめるつもりだ。

「危ない事は程々にってな。転移者だし、色々目立つからな。今は程々に……」

 そんな事を呟きながら、インベントリに収穫したステータスの花を入れて、部屋で種を取っていく。

 時計を見るとまだ5時20分。

 朝食まで時間があるし、一日坊主になっていたランニングをやるかと、寝間着から動きやすい格好に着替えて、ランニングをして時間を潰すのだった。






「ふう、朝風呂気持ちいい!」

 ランニングを終えて、朝風呂に入って6時30分。

 コンコンと2人の部屋をノックする。

 もう毎朝の決まりみたいになってきたな。

「おはよう斎藤君!」

「おはよう藤原さん」

 最近だと前髪をヘアピンで横に流して、前髪で目を隠すことが無くなったことにも藤原さんは慣れてきたのか、しっかり俺の目を見て話せるようになってきていた。

 信頼が積み上がっている感じがする。

 ミンナも部屋から出てきて、朝食を食べ終え、一度俺の部屋に集まる。

「よし、マリー出てきてくれ」

 俺はマリーを外に出す。

「見ていたから分かるけど、これから冒険者ギルドに行くんでしょ? 宿の中で呼ばなくてもよかったんじゃない?」

「いや、その格好で外出歩くと目立つからもう少し格好を整えてな」

「ドレスよりも動きやすくてよかったんだけど……まぁ外の常識に合わせるわ」

 まぁシャツの上からジャケットみたいな服を羽織るのと、昨日は暗くて忘れていたが、運動靴を作る。

 マリーは膨大な魔力で浮いて機動行動をすることができるのだが、そんな事をしたら不自然極まりないので、ちゃんと靴を用意する。

「マリー15歳って言う割には若いよね」

「藤原さん、この世界日本と違って1ヶ月1年の日数が短いから15歳でも実際は13歳と数ヶ月って計算になるから……」

「じゃあマリーって実際は中学1年生くらいってこと?」

「そうなる」

 それでよくゴーストになって15年間意識を保ち続けたな……うん、魔力量が化け物かもしれないけど、意志の面でも化け物だ。

 そんなこんなでマリーの服装をとりあえず整えることはできたので、また捕獲状態になってもらい、外の人気のない場所で実体化する。

「……城から見る外の世界と、実際に町に出る世界は違うのね」

 色々な思いをマリーは思っているのだろう。

 冒険者ギルドに向かいながら、マリーは感傷に浸っていた。

 冒険者ギルドに到着すると、今日も若い冒険者達が良い依頼を取ろうと掲示板の前がごった返しており、朝特有の喧騒が響いていた。

「凄い活気」

「マリー、今冒険者の登録をすると騒ぎになるかもしれないから、軽く食事にしよう。あと1時間もすれば落ち着くから」

「あら、もしかして食事を食べさせてもらえる為に早めに冒険者ギルドに?」

「うん、そうだ」

 マリーは俺の返答に嬉しそうな顔をする。

 4人で座れるテーブル席に移動すると、マリーはメニュー表を確認する。

「朝はメニューが少ないのね」

「まぁ基本宿で朝食は食べてくるからな。昼メシの弁当を買ったり、飯が付いてない宿で生活している人向けだし……質も王宮とは違うからな」

「それは分かっているわ。というか、魔力に侵食されてから味覚や嗅覚が死んでいたからろくに食事も喉を通らなかったし……だから毒の味がわからずに死んだんだけど……」

「おう……」

 いきなりお辛い話が出てきた。

 マリーはメニュー表の一番上にあった1番モーニングセットを注文し、ミンナと藤原さん、俺は適当に酒以外のジュースを注文する。

 数分後、纏めてメニューが運ばれてきた。

「1番モーニングセットとジュース4つです。ごゆっくり」

 ギルド職員の方が提供してくれて、テーブルに料理が並ぶ。

 メニューはベーコンエッグとポテトサラダが乗ったメインに、ご飯と韓国のクッパに近いスープ。

 肉体労働が主な冒険者向けに味濃いめでの提供。

 この時間に開いている飯屋知らないので、冒険者ギルドでマリーは朝食を食べることになったが、最初恐る恐る口にしていた。

「ちゃんと味が分かる! 美味しい!」

 新しい肉体を得たことで、味覚や嗅覚も復活し、十数年ぶりのまともな食事に涙を流して感激。

 俺達は微笑ましそうにマリーの食べる様子を眺めるが、やっぱり元王女様ということで、食べる所作も様になっているというか無駄な動作が一切ない。

 一定のペースで偏り無く食べ進めて、10分足らずで全部食べ終えていた。

「あまりの美味しさにがっついてしまって恥ずかしい」

「全然そうには見えなかったよ」

 藤原さんがマリーにフォローを入れる。

 実際、がっついて食べてるようには全く見えなかったし、美味しそうだった。

 マリーが食事を食べ終わって、4人でジュースを飲んでゆっくりしていると、次第に人が減り始めて、若い冒険者達は依頼を受けに履けていったっぽい。

 受付の人達も仕事が一段落したのを見計らって、俺達はカウンターに移動した。

「ヤッホーマーヤ。相変わらず忙しそうね」

「ミンナじゃない。仕事は捗っているの?」

「ぼちぼちね。今日はパーティーの仲間となる新人を連れてきたから冒険者登録をお願いしたくてね」

 マーヤと呼ばれた受付嬢が、マリーを値踏みする様な目で見る。

「お嬢さん名前は?」

「マリーです」

「マリーさんはミンナから聞いていると思うけど冒険者になる注意事項を改めて説明するわね」

 俺と藤原さんが冒険者になる時にも言われたが、犯罪を犯さない、依頼の受け方、冒険者のランクなど、基本的なことの説明である。

 説明が終わったら写しの水晶に手を乗せてステータスオープンと言う。

 すると紙にステータスが移され、それを見た受付嬢のマーヤさんは目を丸くして驚いていた。

「な、何このステータスの数値……ちょっと悪いのだけど、ステータスを直接確認させてもらっていい?」

「ええ、良いですよ」

 マリーはステータスオープンと改めて言って、ステータスをマーヤさんに見せる。

「ミンナ……あんた何処でこんな逸材拾ってきたの……勇者様だったりしないわよね?」

「勇者なら職業欄が勇者になるでしょ……異世界人の人達と一緒に監視する必要がある人物って言えばわかるかしら」

「ああ、訳ありね……まぁ深くは聞かないわ。職種はヴァンパイア……日中に活動して大丈夫なの?」

「膨大な魔力で自動回復しているから、日光に当たっても肌が少しピリピリする程度で大丈夫だから問題なく活動できるわ」

「……こんな凄い逸材が眠っていたなんて……マリーさん、ステータスが凄くても規約が規約なので、アイアンランクから始めてもらいます」

「はい! 問題ありません」

「では、これがマリーさんの情報を刻んだアイアンのプレートになりますので、無くさないようにしてください」

 マリーは大事そうにプレートを受け取ると、紐を取り付けて、首にネックレスみたいにぶら下げた。

 これでマリーの冒険者登録は完了。

「さて、じゃあ洋服買うための金を集めに行きますか」

「「「おー!」」」

 冒険者ギルドを出て郊外に向かうのだった。