クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った

 異世界転移11日目……俺は両足筋肉痛で動くのが辛い中、ベッドから起き上がる。

 依頼で走らせまくられたけど、依頼が終わったことで気が抜けたのか、痛みを感じまくっていた。

「つぅ……今日もランニングは止めておこう」

 早朝ランニング……現状一日坊主になってしまっているが、動きにくいのだから仕方がない。

「クラリンが回復魔法を覚えたって聞いたから、クラリンに治癒してもらうことできねぇかな?」

 そんな事を思いながら、宿の裏手の庭に出ると、鉢植えから膝くらいの背丈の綺麗な花が咲いていた。

 俺は道具を作るで作ったハサミでステータスの花をそれぞれ収穫し、インベントリの中に収納。

 部屋に戻って収穫した花から種を取り出して、それぞれ袋に分けて、再びインベントリの中に。

「うん、やっぱり50粒収穫できたな。ミンナと藤原さんには後で20粒ずつ食べてもらって、ステータスを上げてもらおう」

 そんな事を思っていると、外からザーっと雨が降る音が聞こえてきた。

「雨振ってきたか……今日の冒険は辞めておこうかな? いやスライム達は雨の日ほど輝くのか?」

 そうこうしていると朝食の時間。

 俺はミンナと藤原さんの部屋をノックして、2人を朝食に誘うのだった。





「今日は雨か……雨の中活動すると風邪をひくことがあるから、今日は冒険お休みにしない?」

 ミンナが雨の日は休みにしないかなって提案してきた。

 俺的にも疲れが抜けきれてないので賛成する。

「そう言えば、ゴースト捕まえたいって言っていたよねサイトウ?」

「そうだけど」

「もし夜に雨が上がっていたら墓地に行ってみない?」

「お? いいのか?」

「うん、フジワラも一緒に行ける?」

「う、うん……ちょっと怖いけど行く。呪われたりしない?」

「強いゴーストとかだと呪われたりすることもあるけど、町が管理している墓地から湧くゴーストで呪いを振りまくってことはまず無いね。青白い火の玉がふよふよ浮いていたりするくらいだから」

「なるほどねぇ……」

 ミンナがせっかく提案してくれたし、日中は休んで、夜から活動することに。

 それとミンナに下半身が筋肉痛なんだけど、回復魔法で治すことができないか聞いてみると、

「あ、筋肉痛だったんだ。治せるよ!」

 治すことができるらしい。

 俺は頼むとお願いして、朝食後、俺の部屋でミンナに足を見てもらうのだった。





 温かいミンナが放つ光が俺の両足を包み込む。

「ああ、気持ちいい」

「筋肉痛って傷ついた筋肉の回復の過程で炎症している状態だから、回復と痛みの原因の炎症を取り除けば……はい、終わり」

 20秒くらい光に包まれていたが、ミンナが終わりって言った瞬間に、両足の痛みがスウッと消えた。

「おお、ありがとうミンナ!」

「どういたしまして」

「終わりました?」

 ちなみに俺の部屋には藤原さんも一緒に居て、俺のベッドの上で洗濯した洋服のシワ伸ばしをしてくれていた。

 生活魔法を色々覚えたおかげか、藤原さんの家事能力がどんどん向上している気がする。

 ちょうどいいので、2人に今日食べてもらう分の種を渡す。

「80粒もあると、食べるのに時間かかるね」

「うん……朝食の後だから今はお腹に入らないかな?」

「まぁそうだろうな。ゆっくり食べて」

 焦る必要は無いからな。

 スナック菓子感覚で2人はポリポリ食べる。

 小動物みたいで可愛らしい。

「昨日転職の話題があったけど、上位職業ってどんなのがあるんだ?」

 教会で転職しようって話が出たが、ミンナは会話の途中に上位職業というワードを話していたのを思い出して質問する。

「それはねぇ……」

 ミンナ曰く、上位職業は現在の職業よりも明確に上の職業であり、魔法使いの場合は魔道士、魔術師、治癒師、魔剣士とかの役職に転職することができるらしい。

 転職できるかはステータスと才能次第ではあるらしいが、上位職業の方がステータスの数値の成長補正が高かったり、今まで覚えられなかった魔法を覚えることが出来たりと有利な点が多いとのこと。

 藤原さんの場合は家事手伝いなので、戦闘職に変わるだけでも大きく成長できるかもしれないし、非戦闘職でも、上位職業はあるので、一気にステータスの数値が伸びる可能性を秘めているってミンナは言う。

「まぁ俺はこのままで良いな。現状でも十分だし」

「サイトウは役職変わったらステータスも正常なのになってしまうかもしれないからね。今のままでも十二分に強いし」

「うんうん!」

「ありがとう」

 その後1時間くらい雑談した後に、各々各部屋に戻って、ゆっくり休むのだった。





「はぁ……朝風呂気持ちいい」

 昼寝しようとも考えたが、午後一から風呂場は掃除で入れなくなるのを思い出し、清掃前に風呂入っておこうと思って、湯船に浸かっていた。

 今日は生憎の天気なので、この時間にも風呂に入って疲れを癒している冒険者達は多い。

「でもそっか……せっかくだったら公衆浴場に行っても良かったかもな」

 公衆浴場……国が管理している銭湯みたいな施設で、安宿の場合、宿に風呂付きではなくシャワーだけって場合もあり、公衆衛生を保つために公衆浴場を使うことを推奨されている。

 1回の入場料も10シンクと安く、冒険者ギルドの他に色々な職業や町の人が集まる場所として情報収集をしたり、新しい縁を紡いだりするのにはもってこいの場所である。

「まぁ雨も強いし、無理して行く必要はないか……さて、体温まったし、ストレッチでもして寝ますかね……」

 俺は風呂から上がると、体を拭いて、部屋着に着替えて昼寝を堪能するのであった。







「「「「「乾杯」」」」」

 俺は後藤健一郎……周りからは後藤って呼ばれている。

 一応今つるんでる連中のリーダーをやっている。

「後藤俺達運が良かったな」

「斎藤の奴に感謝しないとな」

 雨の今日は冒険を休みにして、昼メシを案内人(監視役)のジーナとキルコの2人に教えてもらった安くて美味くて量が食える店で、パーティーメンバー5人で食事を取りながら駄弁っていた。

 今いる店は焼肉屋。

 ご飯おかわり無料で、日本の焼肉屋みたいな感じで肉を焼いて食べることができる。

 わさび醤油やレモンを付けて食べられるのには感動した。

「斎藤には感謝だな」

 こうして休みを取って安いとはいえ焼肉屋で飯が食えてるのも斎藤が薬草の群生地を教えてくれたおかげである。

 最初町から10キロ近く離れた場所に向かうと言うのは抵抗があったが、ダメ元で行ってみて、実際に取り切れないほどの薬草が生えていて、ここ最近はそこで毎日薬草取りをしていたおかげで金に余裕が出てきたのである。

 スライム狩りも合わせて毎日1万5000シンクほど稼げていて、5人で割っても3000シンクになる。

 おかげで宿や飯代を支払っても2000シンクは貯金に回すことができていて、もう少しでそこそこのグレード防具と剣を整えることができそうだ。

 俺とダチの2人は戦闘職で、案内役の女性2人からは装備が整えば、換金率が高い森でモンスターを狩れるようになれるって言われている。

 森のモンスターはスライムに比べて換金の値段も高く、薬草取りをしなくても十分食っていける値になるって言われているので、そこのステージに到達することを目標に頑張っている。

「斎藤のおかげでスタートダッシュは決められたな……他のクラスメイトは苦戦をしていると聞くな」

 男だけのパーティーはまだ何とかなっているらしいが、男女で組んだパーティーや非戦闘職を抱えたパーティーはだいぶ辛い目にあっていると案内役の女性達は他の案内役と連絡を取り合っているらしく現状を教えてくれた。

 目減りしていく貯金、宿代と食費でトントンの報酬、使いこなせない能力……。

 戦闘なんてしたことなかった高校生がいきなりモンスターと戦闘して金稼いで自立しろと言うのは無理な話だ。

 いや、社会人になればこんな理不尽は普通に起こるとは思っていたが、大半が大学に進学する予定だったから、1人で生きていく覚悟がまるでない。

 結果、パーティーの空気は悪くなったり、うまく回ってなかったりするらしい。

「たぶんそういうパーティーは雨の今日も町の外に行くんだろうな……それで風邪をひいて逆に休む羽目になると」

「後藤、肉焼けてっぞ」

「あ、わりい田島。ありがとう」

 それに比べて貯金できている俺達はどれだけ恵まれていることか……。

「斎藤の奴って確か藤原とパーティー組んでるんだよな? 両方非戦闘職で……薬草の群生地でまた会えると思ってたんだが」

「農家って役職だったから、もしかしたら薬草を栽培して稼いでたりして」

「ありそー」

 ダチの田島と宍倉はそんな事を言っていたが、正直助けてもらった恩がある。

「いつか返さないとな」

 俺は焼肉を食べながら、恩を返せるようにしないといけないと思うのであった。






「ふぁー、よく寝た」

 昼寝をした俺は廊下の時計を見る。

 時刻は15時30分。

 ちょっとお腹が空いているが、夕食がもう少しで食べられることを考えると我慢我慢。

「こういう時にスマホとか有れば時間潰せるんだけどなぁ……」

 無いものは無いので仕方がない。

 俺はステータスを確認して作れる物一覧を確認していく。

「思ったよりは作れる様になったな……木の壁とか石の壁とかそういうのもあるし……マジでステータス上げていけば家とか作れるようになるんじゃないか?」

 そんな事を思いながらも他には……って見ていくと、足踏み機織り機だったり、足踏み回転脱穀機だったり、江戸時代から明治、大正時代に使われていた農具や道具がちらほら確認できた。

「道具ってなってるから、手で持てるサイズが基本とばかり思っていたけど、大型の道具も作れるのか……」

 勿論その分素材は必要になるが、素材さえ有れば簡単に作り出せてしまうと言うのは十分にチートだと思う。

「あとクロスボウ……あれ装填状態にしてインベントリに複数個持っていたら……連射できるんじゃね?」

 収納の裏技を思いついてしまった俺はこれ使えるだろうと思いながら、色々確認して時間を潰すのだった。