朝学校に行き、夜には帰宅する。誰にも気づかれない存在のまま、いつも通りの日常を過ごした。
ここ数日で私が成長した点としては、人にくっついて建物に出入りする技術くらいだ。
透明人間になったらなにをしたい? という想像をしていた子どもの頃はやりたいことが沢山あったが、今はなにも思い浮かばない。
ひとつわかったことは、私がいなくても世界はなにも変わらないということ。
まだ死んでいないけれど、本当に消えてしまっても同じだろう。
お母さんが付けっぱなしにしていたテレビから流れるニュースは、来月からまた食品が値上げするとか、出生率が過去最低で自殺者は過去最高だとか、暗い話題ばかりだった。一応の明るい話題としては芸能人の結婚だとか、私には関係のないこと。
いつまでに答えを出さないといけないのか、どうやって自分の決定を伝えればいいのか、なにもわからない。わからないけど、どうでもいいと思った。
どうでもいい。どうなってもいい。
高校受験に失敗してから、なにも頑張れなくなった。
第一希望の高校はずっとA判定で、学力は足りていたのに。
敗因は、私が本番に弱い人間だということを、自分で理解できていなかったことだ。
テストも面談も緊張してしまい、頭の中が何度も真っ白になった。
『大丈夫よ。高校なんてどこだって、あなたが楽しく過ごせればそれで——』
お母さんの慰めの言葉に、私はカッとなって怒鳴りつけた。
『お母さんのせいだから! 私がこんなふうになったのは全部お母さんのせい!』
大丈夫なもんか。絶対落ちないと確信を踏んで、滑り止めには、ただ家から近いという理由でテスト用紙に名前さえかければ受かるという高校を選んでしまったのに。
『お母さんが離婚なんかしたからっ! お父さんに捨てられたからっ!』
『私だってあんたさえいなければこんな苦労しなかっ——』
お母さんはしまった、という顔をして口を塞いだけれど、そこまで言ってしまったのなら全部言ったのと同じだ。
ここ数日で私が成長した点としては、人にくっついて建物に出入りする技術くらいだ。
透明人間になったらなにをしたい? という想像をしていた子どもの頃はやりたいことが沢山あったが、今はなにも思い浮かばない。
ひとつわかったことは、私がいなくても世界はなにも変わらないということ。
まだ死んでいないけれど、本当に消えてしまっても同じだろう。
お母さんが付けっぱなしにしていたテレビから流れるニュースは、来月からまた食品が値上げするとか、出生率が過去最低で自殺者は過去最高だとか、暗い話題ばかりだった。一応の明るい話題としては芸能人の結婚だとか、私には関係のないこと。
いつまでに答えを出さないといけないのか、どうやって自分の決定を伝えればいいのか、なにもわからない。わからないけど、どうでもいいと思った。
どうでもいい。どうなってもいい。
高校受験に失敗してから、なにも頑張れなくなった。
第一希望の高校はずっとA判定で、学力は足りていたのに。
敗因は、私が本番に弱い人間だということを、自分で理解できていなかったことだ。
テストも面談も緊張してしまい、頭の中が何度も真っ白になった。
『大丈夫よ。高校なんてどこだって、あなたが楽しく過ごせればそれで——』
お母さんの慰めの言葉に、私はカッとなって怒鳴りつけた。
『お母さんのせいだから! 私がこんなふうになったのは全部お母さんのせい!』
大丈夫なもんか。絶対落ちないと確信を踏んで、滑り止めには、ただ家から近いという理由でテスト用紙に名前さえかければ受かるという高校を選んでしまったのに。
『お母さんが離婚なんかしたからっ! お父さんに捨てられたからっ!』
『私だってあんたさえいなければこんな苦労しなかっ——』
お母さんはしまった、という顔をして口を塞いだけれど、そこまで言ってしまったのなら全部言ったのと同じだ。
