たとえば私がいないほうが。


『まだ生きる? ここで死ぬ?』

 目を瞑って横たわる私の身体から、私の心に声が流れ込んでくる。

 私が、私に問いかけてきている。

 死にたい気持ちはある。けれど、体は懸命に生きようとしている。
 どちらが本当の私なのだろう。

 来年には大学受験が待っている。またあの地獄がやってくる。
 親子関係も友人関係も、うまくいかないことばかり。
 将来への不安は両手の指では足りないくらい思いつくのに、楽しみなことは、指折り数えるほどもない。

 楽になりたい。
 なのに。
 だけど。
 目の前のひと粒の涙が重くて、沢山の嫌なことよりとてつもなく重たくて、どうしようもなく私を引きとめる。

 どうして。
 どうしてそんなふうに泣くの?
 お母さんは、私がいない方が楽なんじゃないの?

 どうして。
 光里たちと私は、友だち未満の関係じゃないの?
 本当の友だちになりたいって、どういうこと?

 私は、なにを間違えてきた?
 私は、なにを見落としてきた?

 ねえ、みんな。
 もしかして、私のことを、大切に思ってくれているの?


 みんなの本心を知りたいと思ってしまった私の目に、熱いものが込み上げてきた。
 重くて仕方のない瞼を持ち上げると、眩しいほどのオレンジ色が視界を埋め尽くした。