たとえば私がいないほうが。

 振り返ると、そこには光里が立っていた。
 お母さんと光里の視線が繋がった。

「あ、あの、あたし……すみません」

 光里は踵を返して病室の前から足早に離れていった。

「待って!」

 椅子を鳴らし立ち上がったお母さんがそのあとを追いかける。もちろん私もついて行った。
 エレベーターの前で足止めをされていた光里に、お母さんが声をかける。

「あの子のお見舞いに来てくれたのよね? 少しだけ、お話聞かせてくれない?」

 お母さんは私の友だちなんてまったく興味がなさそうだったから、唐突な行動にとても驚いた。