親友からのステップアップ

あきに話を聞いてもらってから数日が経った。その間も、あやと共に行動している。けど、なかなか話すタイミングが掴めず、自分の気持ちについて話すことができていない。
そんな日々が続き、気づけば春休みに入っていた。春休み中、あやを遊びに誘ったけど、全部断られちゃった。なんでも、春休みから予備校に行くことにしたらしい。春休みが終われば、オレたちは三年生になって進学か就職かを決めなければならない。あやは既に進学を希望しているため、さらに勉強するようだ。
「あー、ひまー!」
「暇なら、あんたも綾斗くんを見習って勉強でもしたらどうなのよ」
「だって、オレはまだ進学か就職か決めてないもん」
「どっちを選ぶにしても、勉強しておいて損はないんだから」
「わかってるけどさー」
母さんと話していると不意にスマホから新着メッセージを知らせる音が鳴った。オレは、あや!?とワクワクして急いで見てみると、差出人はあきだった。なんだ、あきか。って、なんだってなんだ。あきに失礼じゃないか。オレ、やっぱり、あやのこと、そういう意味で好きなのかな…?と悶々としながらも、あきとのトーク画面を開く。
【奏人、今暇?】
【ちょー暇してるー。どした?】
【良かった。今、図書館で勉強してるんだけど、奏人も一緒にどう?】
【まじ!?行く!】
【了解。待ってる】
「母さーん、今から図書館行ってくる―!」
「あら、残念。買い物頼もうと思ったのに。でも、勉強する気になったなら良かったわ。行ってらっしゃい、気を付けてね」
母さんの言葉に返事をして、図書館に向かうべく歩を進める。

図書館に着いて、あきの姿を探す。けど、探しても探しても、あきの姿は見当たらない。大きい図書館っていったら、ここしかないはずなんだけどなぁ。あきに連絡しようとスマホを取り出したと同時に、後ろからオレの名前を呼ぶ聞き慣れた声が聞こえて振り返る。すると、そこにはあきではなく、あやが立っていた。
「し、の…?なんで、」
「俺は、明楽に呼ばれて…今日、予備校休みで、家で暇してたから。かなはなんで、ここに?」
「オレも、家で暇しててゴロゴロしてたら、あきから図書館で勉強してるから一緒にどうかって」
「…同じこと、言われた」
そう言い、あやはあきとのトーク画面をオレに見せてくれた。見てみると、言い方は違えど、オレのと同じことを言ってあやを誘っていた。それはわかった。けど、なぜ、呼び出した当の本人はいないんだ!?
「あ」
「ん?何?」
「いや、今、明楽から連絡が…えっと、急用できたからもう帰ったって」
「はぁ!?なんだよそれー!!まあ…急用なら仕方ないか…ん?」
「どうしたの?」
「オレの方にもあきから…頑張って、って…何を?」
「勉強じゃない?」
「それもそうか。せっかく来たし、二人でやろう!」
この時、オレは春休み前にあきに相談していたことをすっかり忘れていた。