「はーい、みんな早く集合して並んでー」
幸か不幸かクラス長に任命されてしまった僕は、登山口の広場でクラスのみんなを並ばせていた。
「歩くん、女子は全員並んだけど男子はどうかな?」
「まだ、清と大竹が来てないな」
大竹裕一郎はクラス一の大男で、中学時代は硬式野球部の大砲だったらしい(本人談)。清は昔から遅刻癖があるのは僕も知っていた。
「もう、あと3分したら始まっちゃうのに」
副クラス長の大辻はじたばたと足踏みしていた。すると、後ろから身長差のある男二人組がこちらに向かって突進してきた。
「おお、悪い悪い遅れたわ」
そう言いながら反省している様子一つ見せずに登場した。まあ、みんなが早く並んでいるだけで遅れているわけではないのだけれど。そして、全員がそろったのを確認した後に先生に報告に行く。
「先生、A組全員揃いました」
「了解!お前たちは一番前で座っていてくれ」
そして、先生は学年主任の元へ連絡に行った。僕と大辻の二人は、A組の列の一番前で並んでいた。地面に腰を付けると、大辻は僕の顔をちらちらと見ていた。
「どうしたの?こっちをちらちら見て?何か顔についてる?」
「いや、なんでもないよ、なんでもない」
「ほんとに、?」
ちょっと動揺したような顔をした後に頬を赤らめ、声を小さくして僕にささやく。
「ねえ、私たち、どこかで会ったことがある気がしない?」
「え?」
「いや、なんというか、昔仲良かった人に歩君に似た人がいたような気がして」
「えーっ」
僕はそんなこと全く考えていなかった。いや、僕が正しいはずだ。きっと大辻の勘違いか、本当に僕に似ている人がいただけだろう。
「んー、きっと覚えているエピソード話せるんだけどなあ、ほら、あの時、、、」
「みなさん!おはようございます!」
大辻が話そうと口を開いた瞬間にでっかいメガホンを持った先生が前で号令をかけた。「いいところだったのに」と少しもったいない気がしたが、登山の途中で聞けばよいか、と今は前の先生に注目した。
「はい、登山は自分勝手な行動をするととても危険ですから、ちゃんと周りにいる先生方、お友達と一緒に登ってください。休憩できるところまではなるべくノンストップで歩くようにして下さい。それでは、お友達をたくさん作って高校生活最初の思い出にしましょう」
体育科のおっちゃんの先生が注意を話し終え、遂に登山が始まった。登山口から、クラスでまとまって登ることになる。僕は、歩き始めると同時にさっきの続きを聞こうと大辻に話しかけようとした瞬間、後ろから服を引っ張られた。
「歩、一緒に山登ろ」
振り返ると、多音が上目遣いで僕の顔をじっと見ていた。まばたきもないその瞳に吸い込まれそうになる。
「ええ、まあいいけど」
「歩、一緒に登ってくれる友達いないから当然だよね。私しかいないよね」
「そんなことはないぞ!僕だって友達の一人二人は」
僕はそう言いながら、自分の誇らしき幼馴染を目で追った。しかし、傍から見たらイチャイチャしているように二人にわざわざ絡んでくれる人はいない。なんなら、少し笑われているかのような生暖かい視線がそこにはあった。みんな僕たちを置いてのしのしと山奥に入っていく。大辻も他の女友達と一緒に先に登ってしまい、姿も見えなくなっていた。
「ね、言ったでしょ。ほら、登るよ登るよ」
そう多音に急かされ、文鎮のついたような重い脚をゆっくりと振り上げ、僕は山の中に入っていった。しかし、彼女が何も計算していないはずがなかった。それに気づくにはあまりにも遅すぎた。
幸か不幸かクラス長に任命されてしまった僕は、登山口の広場でクラスのみんなを並ばせていた。
「歩くん、女子は全員並んだけど男子はどうかな?」
「まだ、清と大竹が来てないな」
大竹裕一郎はクラス一の大男で、中学時代は硬式野球部の大砲だったらしい(本人談)。清は昔から遅刻癖があるのは僕も知っていた。
「もう、あと3分したら始まっちゃうのに」
副クラス長の大辻はじたばたと足踏みしていた。すると、後ろから身長差のある男二人組がこちらに向かって突進してきた。
「おお、悪い悪い遅れたわ」
そう言いながら反省している様子一つ見せずに登場した。まあ、みんなが早く並んでいるだけで遅れているわけではないのだけれど。そして、全員がそろったのを確認した後に先生に報告に行く。
「先生、A組全員揃いました」
「了解!お前たちは一番前で座っていてくれ」
そして、先生は学年主任の元へ連絡に行った。僕と大辻の二人は、A組の列の一番前で並んでいた。地面に腰を付けると、大辻は僕の顔をちらちらと見ていた。
「どうしたの?こっちをちらちら見て?何か顔についてる?」
「いや、なんでもないよ、なんでもない」
「ほんとに、?」
ちょっと動揺したような顔をした後に頬を赤らめ、声を小さくして僕にささやく。
「ねえ、私たち、どこかで会ったことがある気がしない?」
「え?」
「いや、なんというか、昔仲良かった人に歩君に似た人がいたような気がして」
「えーっ」
僕はそんなこと全く考えていなかった。いや、僕が正しいはずだ。きっと大辻の勘違いか、本当に僕に似ている人がいただけだろう。
「んー、きっと覚えているエピソード話せるんだけどなあ、ほら、あの時、、、」
「みなさん!おはようございます!」
大辻が話そうと口を開いた瞬間にでっかいメガホンを持った先生が前で号令をかけた。「いいところだったのに」と少しもったいない気がしたが、登山の途中で聞けばよいか、と今は前の先生に注目した。
「はい、登山は自分勝手な行動をするととても危険ですから、ちゃんと周りにいる先生方、お友達と一緒に登ってください。休憩できるところまではなるべくノンストップで歩くようにして下さい。それでは、お友達をたくさん作って高校生活最初の思い出にしましょう」
体育科のおっちゃんの先生が注意を話し終え、遂に登山が始まった。登山口から、クラスでまとまって登ることになる。僕は、歩き始めると同時にさっきの続きを聞こうと大辻に話しかけようとした瞬間、後ろから服を引っ張られた。
「歩、一緒に山登ろ」
振り返ると、多音が上目遣いで僕の顔をじっと見ていた。まばたきもないその瞳に吸い込まれそうになる。
「ええ、まあいいけど」
「歩、一緒に登ってくれる友達いないから当然だよね。私しかいないよね」
「そんなことはないぞ!僕だって友達の一人二人は」
僕はそう言いながら、自分の誇らしき幼馴染を目で追った。しかし、傍から見たらイチャイチャしているように二人にわざわざ絡んでくれる人はいない。なんなら、少し笑われているかのような生暖かい視線がそこにはあった。みんな僕たちを置いてのしのしと山奥に入っていく。大辻も他の女友達と一緒に先に登ってしまい、姿も見えなくなっていた。
「ね、言ったでしょ。ほら、登るよ登るよ」
そう多音に急かされ、文鎮のついたような重い脚をゆっくりと振り上げ、僕は山の中に入っていった。しかし、彼女が何も計算していないはずがなかった。それに気づくにはあまりにも遅すぎた。

