冬の魔物

 けど、そこで二週間前に転校してきた転校生が床に倒れているなんて、まるで思ってもみなかったわけで。

「わ! ……大丈夫ですか?!」

 俺はうつ伏せに床に倒れている彼女に駆け寄り、声を掛けた。うめき声が聞こえたので意識はある、ここはなんとかしてくれる大人を呼ぶべきだと思った。

「少し待っててください。俺、先生呼んできます!」

「……待って」

 彼女がポツリと呟いた声は、慌てていた俺の耳にも届いた。

「え……けど」

 倒れている。心臓が悪い。そんな時に、悠長に待っている場合ではないのでは?

「学校に来られなくなる。お願い……」

 ここで俺はとんでもなく、面倒なことになってしまったと気が付いた。うん。そう言われると、なかなかに難しい。

 正直、重いなと思った。

 もうすぐ他人になる俺には、とても重すぎる事情を知ってしまった。

「……わかりました。とにかく、座れます……?」

 流石に、床に倒れたままではいけない。もし、このままでないといけないと彼女がいうなら、保健室に運び込むべきだろう。