冬の魔物

 彼女から向けられる視線の意味がわかりかねて、俺はそんなことを考えてしまった。

「おいおい。お前。転校生に、声かけろよ」

「嫌だよ……もう九月なのに、何の意味もないよ」

 俺たちは高校三年生。突然の転校生は恋愛対象からは外れる。×。なし。そんなことにかまけている時間もない。

 向こうは違う理由で、俺のことをないと思うかもしれない。それを知るには話しかけるしかない。しない。

 恋愛関係は双方の条件が折り合わないと成立しないことは猿でもわかるのだから、俺たち二人はこの先恋愛関係になることはないだろうという、とてもとても簡単な計算式。

 面白くはないけどね。

 そういうわけで今は同じ教室で席を並べて座っているけれど、卒業したら即他人だななんて、俺はなんとなく思っていた。

 けど、やたらと目が合うな……なんだろう。偶然だろうなと、考えていた。

 なんとなく、図書館に行ったのは、ただの偶然だ。これからその後の人生が決まると言って過言でもない大学受験が待っているので、家に帰るのも怠いし塾に早めに行くのもしんどいな~その程度。