冬の魔物

 けど、頭を離れなかった。いきなり会えなくなった彼女の笑顔がどうしても消えない。仕方ないとわかっていた。彼女はいま、俺に連絡できる状態ではない。

 それなのに。

 綾川さんの恋しさが強くなれば強くなるほどに、胸の苦しさはどうしようもなく増した。いけない。彼女は悪くないと思うごとに、何度も何度も気持ちは揺れた。

 どうか、無事であって欲しい。けれど、そんな情報はどこからも得られない。

 綾川さんは引っ越してきたばかりで、同級生で話すと言ったら俺くらい。それでも、彼女は学校に通えることが嬉しいと言って、そう言って楽しそうに笑っていた。

 心臓が潰れるように痛む。なんでだ。ああ。神様。どうして。

 可愛い恋人ができた途端に、俺から奪って行くんですか。もし、そうなら最初から与えないで欲しかったです。

 絶頂とも言える高みに押し上げられて、そこから落とされる悲しみに耐えられなかった。

「どうしても……連絡はできないんですか」