冬の魔物

 俺のことを『出会った頃から好きだった』とそう言って、嬉しそうに笑ってくれたのに。

 俺は授業が始まる鐘の音を聞きながら、廊下を歩く先生に駆け寄った。

「先生! すみません。綾川さんと連絡を取りたくて……」

「ああ。お前か……ご両親から、昨夜彼女を無理をさせた同級生がいるのでと、報告を受けていた……佐倉と話したかったら本人から、連絡があるだろう」

「そんなに……! 状態は悪いんですか……昨日は……だって、そんな!」

 俺は目の前が真っ暗になりそうだった。

 どうして。だって、少しの間なら大丈夫とそう言っていたのに。

「綾川は……元々、相当状態は悪かった。ここに手術にきたのは、万が一の可能性に賭けてだ。学校なんて通っている場合ではなかったんだが、本人の希望でどうしても……となってな。できるだけ無理はしないという条件で、ここに来ていたんだ」

 俺はその瞬間、仲良くなるきっかけとなった、図書館の床に倒れていた、綾川さんの姿を思い出した。

 そうだ。あの時、彼女は『誰にも言わないて』と言った。学校に来られなくなるから……と。

 もしかして、あの頃にはもう……。