冬の魔物

 綾川さんと公園のベンチで話した。彼女は門限があるからと、二十時には帰って行った。

 ……まあ、これまでに一日で落ちる程度の生半可な勉強はしていなかったから、大丈夫だろうと思った。

 そういえば、綾川さんの連絡先を聞くのを忘れていたと、帰り道を歩きながらそう思った。

 空を見上げればそこには満点の星空で、まさに絶景。

 俺はそんな星が見える空気の綺麗な場所に、生まれた時から住んでいる。

 だというのに、そのことに気がついたのは、初めて彼女が出来た……高校生の、この日だった。


◇◆◇


 朝のホームルーム。慌てた様子の先生が遅れて入ってきて、俺は嫌な予感がした。綾川さんも転校してから、初めて学校を休んだ。

「……突然体調を崩されて、入院されることになりました」

 そして、まるで現実味はなく、夢の中にいるような気持ちになった。

 先生は沈痛な面持ちで、そう言った。教室内はざわざわとしていた。

 俺は信じられない気持ちで聞いていた。もうすぐ、入院するとは聞いていたけれど、昨日見た彼女は元気そうだった。