冬の魔物

 ……全く思い浮かばない。明るくて楽しい『いい未来』なんて。


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 二週間前に我らが高校にやって来た高校三年での転校生は、さすがに訳ありなんじゃないかと、色々と話題になった。

 夏休み明けの月曜日の憂鬱を吹き飛ばす転校生。

 日本人形のような整った顔立ちと、向こうまで見えそうな透き通るような白い肌。そして、笑わない彼女。

 隣に立った先生の説明によると、先天性の疾患持ちで近くにある大きな病院に通うため、わざわざ引越ししてきたらしい。

 ふーん。田舎だと空気もいいからかな。俺はそう思っただけで、特に彼女とのラブロマンスなんて頭に描かなかった。

 だって、あと数ヶ月で進学して東京に行く。そういう理由でこちらに引越ししてきたなら、彼女はここにいるだろう?

 そんな彼女が……また、こっちを見た。なんだろう。俺に何かご用事ですか。

 なんて、一挙手一投足まで話題になる転校生に聞けるわけもない。別に目立ちたくもないもので。

 誰かの好意や嫌悪が可視化されて仕舞えば、この世の全ての関係は、あっさりと壊れてしまうのではないだろうか。だって、好意だとは限らない。