冬の魔物

「そうだね。家は病院から、そんなに遠くないし、会えると思うよ」

 俺は近い未来を想像し、そう思った。まあ、大学に行って夏休みか冬休み。数日帰ってくるときに、病院にいて治療中の綾川さんをお見舞いにいく俺。

 なんとなく、無理なく想像つく。全然あるだろうなと思った。今ではもう、知らない同士でもないのだし。

「そっか……私は、年明けには入院するんだ。もう少しで、学校来なくなる」

「三年生は、皆そうなるから……うん。綾川さんだけ、特別でもないよ」

 三年生は出席日数が足りたら、学校に来なくなる。塾で受験勉強したほうが、専門の先生がすぐそこにいるし効率的なのだ。

 綾川さんが入院して来なくなっても、皆そう思うだけで、気がつかないかもしれない。

 俺はなんだか、胸が痛くなった。心臓だ。痛い。どうしてだ。俺には彼女のように、先天性疾患はないはずなのに。

「うん。そうだね。ありがとう。佐倉くん」

 そう言って、綾川さんは嬉しそうに微笑んだ。何の礼だろうか。そう思った。

 俺は特別なことなんて言っていないし、三年生が学校に来なくなるのは例年のことだ。変わらない。