冬の魔物

 秘密を共有した二人は、その後仲良くなるものらしい。

 俺は綾川さんの心臓がシャレにならないくらいに悪い状態であることを知っているので、なんとなく彼女の様子を気にかけるようになっていた。

 そうすると、彼女は女子からはぶられているわけでもないのだが、一人の時間が多い。一人でも平気な顔をしている、そんな女の子だった。

 高校三年生にもなると、グループがガッチリと出来上がってしまうものだし、あれに横入りするのは健康な女子でも大変かもしれない。

 そんなわけで、何かと困っている時を俺が助けることが多かった。

 秋深まってきた校舎の間にある自販機の前で、途方に暮れている綾川さんを見つけたのも俺だった。

「あれ? 綾川さん……何がどうしたの?」

「あ! 佐倉くん……あの、自販機にお金入れたんだけど……どうしても出てこなくて」

 なるほど、自動販売機に硬貨が飲まれてしまったらしい。

 お釣り返却のボタンを押しても出ないので、彼女には手詰まりになったらしい。業者の人を呼ぶと面倒なことになると思い、一人でどうにかならないか悩んでいたのだろう。