土曜の午後、市街地のある大きな公園は家族連れやカップルなど様々な人で賑わっている。
その一角の、比較的空いている緩やかな坂になった芝生の上に、2人並んで腰を下ろした。一瞬、俺のバッグの上に座る?と言いかけ、やめた。そういう行動が、今まめにこんな顔をさせているのだ。お茶かなんか買ってこようか。……これもダメだ。カバンに添えた手を固く握りしめる。
「気持ちいいねぇ」
まめが、すうっと息を吸い込んで肩の力を抜く。
空の青と、雲の白がちょうど半分ずつ混ざり合ったような、気持ちの良い空模様だった。
まめにバレないように背後の芝生に落ちている枝を払うと、次の瞬間にはまめが両手を広げて「えいっ」と芝生に寝転んだ。
「のむ?なーにニコニコしてんの?」
「ん?いや、なんでも」
俺につられるように笑うまめをみて、ふふ、と、さらに笑みがこぼれる。結局俺は、"まめに何かしてあげたい"という欲を叶えないと気が済まないのだ。これは優しさとか献身的とか、そういうことじゃない。俺の欲だ。
ーーそれでそのまま、俺がいないと生きていけなくなったらいいのに。
開放的な公園の雰囲気におよそ似つかわしくないことを思いながら、芝生に全身を投げ出して横たわるまめの、その柔らかい髪を指先で弄んだ。高校時代、よくはねていたまめの髪が、今日ははねていなかった。"デートだから"だったらうれしい。
にこにこしながらされるがままになっていたまめが、「よいしょっ」と寝返りを打ち、不意に俺の手の上に頭を乗せてきた。頬を手のひらに預けられ、まめの体温が伝わってくる。
「……のむもゴロンしないの?」
何事もなかったように、まめが言う。芝生に座る俺からは耳と首筋しか見えなくて、今まめがどんな顔をしているのかわからない。
まるで自分の部屋にいるかのようにくつろぐ様子を、少しうらめしく思った。こっちはこんなことされたら、それどころじゃないっていうのに。
反応できずにいると、まめがまた口を開いた。
「ねぇのむ。……やっぱこういうの、ちょっと違うのかなぁ」
瞬きする度にまめのまつ毛が手のひらをくすぐり、全神経がそこに集中した。
「俺、なんかさ。なんか、今日ずっとのむに触りたいなぁって思って……外なのにごめん。嫌だったら言ってね」
声が少し震えていた。この声を聞いて、まめも勇気を出して行動してくれているのだと気付いた。そんなまめの気持ちに気付けなかった自分が情けない。
二度、三度と手のひらにまつ毛が触れ、俺は堪らず口を開いた。
「嫌なわけないだろ。まめがしてくれることは全部うれしい」
「本当?」
「本当。……今までまめへの気持ちは隠してることが当たり前だったから、突然"もういいよ"って言われて、正直、ちょっとまだ慣れないんだ。本当にいいのかなって」
「そっか。……そっかぁ」
まめは安心したようにそう呟くと、「もーいいよ!」と、まるでかくれんぼのような言い方で言い、手のひらに頬ずりをした。どう?と得意げな表情のまめと目が合う。
ーーまめ、誰にもそんな顔見せないで。頼むから、ずっと俺だけにしてよ。
祈るような気持ちで、そう思った。幸せなのに苦しいなんて、おかしいのかな。
俺も体勢を崩して、まめの隣に寝そべった。
「……なぁまめ。俺、思ってたより重いかもしれなくて」
罪を白状するように、呟いた。これまで隠してきたまめへの思いも欲望も、今日のデートで一気に行動として表に出てしまった。自分でも気付かないふりをしてきたけれど、もう誤魔化しようもなかった。
その一角の、比較的空いている緩やかな坂になった芝生の上に、2人並んで腰を下ろした。一瞬、俺のバッグの上に座る?と言いかけ、やめた。そういう行動が、今まめにこんな顔をさせているのだ。お茶かなんか買ってこようか。……これもダメだ。カバンに添えた手を固く握りしめる。
「気持ちいいねぇ」
まめが、すうっと息を吸い込んで肩の力を抜く。
空の青と、雲の白がちょうど半分ずつ混ざり合ったような、気持ちの良い空模様だった。
まめにバレないように背後の芝生に落ちている枝を払うと、次の瞬間にはまめが両手を広げて「えいっ」と芝生に寝転んだ。
「のむ?なーにニコニコしてんの?」
「ん?いや、なんでも」
俺につられるように笑うまめをみて、ふふ、と、さらに笑みがこぼれる。結局俺は、"まめに何かしてあげたい"という欲を叶えないと気が済まないのだ。これは優しさとか献身的とか、そういうことじゃない。俺の欲だ。
ーーそれでそのまま、俺がいないと生きていけなくなったらいいのに。
開放的な公園の雰囲気におよそ似つかわしくないことを思いながら、芝生に全身を投げ出して横たわるまめの、その柔らかい髪を指先で弄んだ。高校時代、よくはねていたまめの髪が、今日ははねていなかった。"デートだから"だったらうれしい。
にこにこしながらされるがままになっていたまめが、「よいしょっ」と寝返りを打ち、不意に俺の手の上に頭を乗せてきた。頬を手のひらに預けられ、まめの体温が伝わってくる。
「……のむもゴロンしないの?」
何事もなかったように、まめが言う。芝生に座る俺からは耳と首筋しか見えなくて、今まめがどんな顔をしているのかわからない。
まるで自分の部屋にいるかのようにくつろぐ様子を、少しうらめしく思った。こっちはこんなことされたら、それどころじゃないっていうのに。
反応できずにいると、まめがまた口を開いた。
「ねぇのむ。……やっぱこういうの、ちょっと違うのかなぁ」
瞬きする度にまめのまつ毛が手のひらをくすぐり、全神経がそこに集中した。
「俺、なんかさ。なんか、今日ずっとのむに触りたいなぁって思って……外なのにごめん。嫌だったら言ってね」
声が少し震えていた。この声を聞いて、まめも勇気を出して行動してくれているのだと気付いた。そんなまめの気持ちに気付けなかった自分が情けない。
二度、三度と手のひらにまつ毛が触れ、俺は堪らず口を開いた。
「嫌なわけないだろ。まめがしてくれることは全部うれしい」
「本当?」
「本当。……今までまめへの気持ちは隠してることが当たり前だったから、突然"もういいよ"って言われて、正直、ちょっとまだ慣れないんだ。本当にいいのかなって」
「そっか。……そっかぁ」
まめは安心したようにそう呟くと、「もーいいよ!」と、まるでかくれんぼのような言い方で言い、手のひらに頬ずりをした。どう?と得意げな表情のまめと目が合う。
ーーまめ、誰にもそんな顔見せないで。頼むから、ずっと俺だけにしてよ。
祈るような気持ちで、そう思った。幸せなのに苦しいなんて、おかしいのかな。
俺も体勢を崩して、まめの隣に寝そべった。
「……なぁまめ。俺、思ってたより重いかもしれなくて」
罪を白状するように、呟いた。これまで隠してきたまめへの思いも欲望も、今日のデートで一気に行動として表に出てしまった。自分でも気付かないふりをしてきたけれど、もう誤魔化しようもなかった。

