私の彼女は怪異を連れて…………

「家具の配置とか中身とか、全部言えますけど……」
「言わんでよろしいっ!!」
「……まぁ、これだけでも陰狼さんを知ってからなにをしていたかは分かりますよね」
「…………痛いほど」
 脳が茹で上がりそうだ……。
「私は、こういう人間ですよ。…………自分で言うのもなんですが……まったく、好かれるような人間じゃありませんよね…………。すみません、お邪魔しちゃって。……これからは、あまり迷惑をかけないよう……気をつけます……」
「あ……」
 その子は立ち上がり、スクールバッグを持ってローファーにかかとを滑り込ませた。
 その背中を見ていると、自らの目を潰したくなってくる。
 なにか言わなくちゃ。
 なにかを言わないと、この子はまた感情を押し殺して生きていくことになるだろう。
 扉が開かれる。その子は振り返らない。
「…………わ、私! ……あなたの太もも大好きだから! ま、また! 膝枕して!!」
 …………なに言ってんの……私……。
 その子もこちらを向いて呆けたような顔をする。
 開かれた扉から入ってくる風が痛い。
「…………ふふっ。えぇ、また」
 その笑顔は、やっぱり太陽のように明るかった。

 ―・―・―・―・―・―・―・―・―

「んー!! んー!!! んーー!!!!」
 枕に顔をうずめてベッドを蹴りまくる。
 なんだって私はあんなこと言っちゃったんだ……。
「もっとさぁ……他に……ねぇ……あったんじゃないのぉ……?」
 あんなものもはや告白しているのと同義じゃないか。
 明日からあの子が毎日迎えに来て、手を繋ぎながら登校、なんてことになったらどうするんだ……。
 少なからず噂になる……そうしたらきっとあの子は嬉々として妖怪を呼び寄せるだろう。
「はぁ〜……。あの子が普通の人だったらよかったのにな…………」
 ま、体質とか関係なく中々おかしな性格してるけど。
 あーゆー体質を持ってたらそーゆークレイジーな性格になるものかな。
「普通の人間でよかった……」
 もしかしたら、普通じゃない人とはいえ人生で初めてのお友達ができそう。じゃあもう普通か否かなんてどうでもいいんじゃないかな。
 …………というか……
「あの子の名前、なんだっけ……」
 明日聞こうかな。ついでに連絡先も。
 あの子は喜ぶのかな。妖怪が出てこなきゃいいけど。